高精細なHD画像、どこまでボールを進めればいいのかわかるバーチャルライン、フィールド上空を自在に動き回り、新たな視点での画像を生み出したスカイカムなど、NFLのテレビ中継は進化を続けており、それが絶大な人気獲得の要因となってきた。


 しかし、そのテレビ中継の充実が別の懸念を生むことにもなっている。スタジアム集客の頭打ちだ。チケット価格の高騰などもあって、ファンの生観戦への意欲が以前に比べ下がっているとの見方が出ているのである。


 その対策としてNFLが近年打ち出しているのがスタジアムでの生観戦体験、スタジアム・エクスペリエンスの向上だ。スタジアムで生観戦することが、テレビ観戦より楽しいものであることをファンに実感してもらおうというものである。


 同時進行している他のスタジアムのゲームを知らせるダイジェスト画像を全スタジアムでハーフタイムなどに大型スクリーンで上映する「NFLレッドゾーン」などは、テレビ観戦の強みを補完しようとする施策だといえよう。


 スタジアムで撮影した画像やテキストをツィッターなどに投稿すると、やはり大型スクリーンなどで表示する仕組みなどは、ファンがより観戦に興味を持つための策として多くのスタジアムで実施されている。


 スタイリッシュなレストランやバーを設け、観客席だけでなくスタジアム全体で楽しんでもらおうという企画は、日本のプロ野球やJリーグも取り入れるなど、もはや世界的にポピュラーな取り組みだ。
 こんな風にスタジアム・エクスペリエンス向上策を積極的に行っているNFLだが、その全てが成功しているわけではない。


 2013年にはスタジアム内のロッカールームにカメラとマイクを設置し、ゲーム前やハーフタイムにその様子を大型スクリーンに映すロッカールームカメラの導入をオーナー会議で決定した。
 スタジアムに来ないと見られないマル秘映像といったところである。だが、チームの手の内がばれることやプライバシーなどコーチ、選手レベルからの反発が強く、ほとんど実施されないままに終わった。


 そんなトライ&エラーを繰り返しながらも、NFLはさらなる発展に向け前進を続けているのである。


記事提供=「NFL Japan BIZ」
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渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFLジャパンリエゾンオフィスのPRディレクターに就任。

【写真】生観戦ならではの「スタジアム・エクスペリエンス」が注目されている(AP=共同)