沖縄地方は入梅が発表されたとか。湿度も高く、気温も上がってくるので体調管理や食中毒に気を使いたい季節がやってきます。


 先日、小学校の女子ミニバスケットボールの試合会場に行く機会がありました。選手たちはびっしょり汗をかいて真剣なまなざしでボールに向かっていました。昼食の様子をのぞいてみると、チームによってさまざま。
 一日を要するトーナメント試合のため、チームの出場試合時間と食事時間のタイミングは重要です。お母さんたちが子どもたちに声をかけながら、各チーム工夫したエネルギー補給をしていました。


 Aチームの昼食内容は、各自持参したおにぎりに、チームで用意した味噌汁と漬物、フルーツ。上級生の「いただきます」のかけ声で食事が始まります。
 おにぎりからパクッといく選手、まず漬物からいく選手とさまざまですが、最後のフルーツはやっぱりお楽しみ。一人何切れ? と相談し合っていました。
 クーラーボックスで冷やしてあった漬物やフルーツは、試合で精いっぱい動いた子どもたちに栄養だけではないエネルギー補給をしたことでしょう。


 Bチームは、全員お弁当を持参です。試合時間の関係上、11時ごろの食事。その後お腹がこなれたころに試合で全力投球。次の試合までのタイミングでしっかりエネルギー系ゼリードリンクで補給している上級生の姿も見られました。


 これだけのことでも、試合時のエネルギー補給の基礎が端々に感じられます。試合前1・5時間は消化吸収を意識した食事。その後試合直前まではパフォーマンスに影響を出さないようにエネルギー補給。これだけでも試合の勝ち負け、けがの有無に直結するのは前号までに触れてきたとおりです。


 今回注目したいのはAチームの漬物やフルーツです。野菜やフルーツは皆さんもご存知の通りビタミンの供給源となります。あまり運動をしない生活を送られている方の食生活では、漬物やフルーツは塩分過多や糖質過多に気を配る必要がありますが、このような試合の場面では有効です。
 漬物は食中毒のリスクも低い上、疲れている選手の食が進むのではないでしょうか。それに、塩分の補給は熱中症にも有効です。


 ビタミンは体内では合成することができないため、食事やサプリメントで摂取する必要があります。摂取必要量は微量ではありますが、不足するとエネルギーを発揮したり、体内で筋肉を合成することができません。体の代謝を円滑にするためには、必要不可欠な栄養素といえます。


 「一日○○グラムの野菜を食べましょう」という提案を耳にしたことがあると思います。どのくらいが目安かというと、一日に食べる野菜の総量が、少なくとも“両手の手のひらに山盛り”だといわれています。あくまでも一般論ですが。


 ただし、アスリートには注意したい点が二つあります。
 一つはサプリメントの摂取方法です。サプリメントにはドーピングのリスクがあります。またサプリメントに含まれるビタミンの中には、種類によって過剰摂取になり、体調に弊害を及ぼす可能性もあります。  特に試合期には量と種類には注意を払い、自分にあったサプリメントの利用方法を探ることをおすすめします。


 2点目は食物繊維です。普段の食生活では便秘予防のために大切な栄養素ですが、試合前日、当日は同じではありません。精神的な緊張で腸の消化吸収作用が弱まっている可能性があります。
 食物繊維のとりすぎはかえってお腹が張ったり、下痢になってしまう原因にもなりかねないので、食物繊維の多い野菜は控えると良いでしょう。


 もうすぐ6月。レタスやほうれん草といった菜物、カブ、新玉ねぎ、トマト、きゅうりなど、路地ものでも新鮮で味ののった野菜が出回ってきました。
 八ヶ岳もレタスの旬を迎えています。玉レタスやリーフレタス、サニーレタスをふんだんに使ったサラダを、岩塩とオリーブオイルだけでシンプルにいただくのも最高です。


 カブやスナックエンドウ、トマトも一緒に豪華な一皿にしても良いですね。じゃが芋に含まれるビタミンCは加熱しても破壊されない優れもの。じっくり火を通した甘味たっぷりの人参もおすすめです。


 フレッシュ野菜や温野菜のサラダや旬野菜の炊き物、野菜ジュースなど種類豊富な野菜を一品プラス、色彩豊かな食卓になると良いですね。アスリートにとってコンディションと試合の結果は表裏一体。練習も大変ではありますが、食事にも気を配ったスキルアップを目指していただければと思います。


大柴 由紀(おおしば・ゆき)プロフィル
 管理栄養士。奈良女子大学食物学科卒業後、大阪市立環境科学研究所附設栄養専門学校で栄養士免許取得。1998年財団法人キープ協会入社。レストラン勤務の傍ら、料理に自然の恵みを表現するため、八ヶ岳の自然を大切に循環型農業で米や野菜を育てる農家との交流を深める。2000年7月キープ自然学校開校。アメリカンフットボールと出会う。公益財団法人キープ協会勤務。学校法人新宿調理師専門学校講師、日本ウエルネス学会常任理事、山梨県栄養士会理事を務めている。

【写真】八ヶ岳のレタスのサラダ