清里高原ではダンコウバイやコブシの花がさいています。少し里に下りれば、桜が満開。春爛漫な季節は、やはり気持ちがいいですね。
 ここ山梨県では、ハウスの桃やさくらんぼの出荷も始まったとか。畑の作物もむくむくと芽を出して、エネルギーを感じます。


 外で体を動かすのも気持ちがいい季節。持続的にしっかり動かせばすっかり汗ばむほどですね。アメリカンフットボールも春のシーズンが始まっています。いよいよ、冬の間に蓄えてきたエネルギーを発揮するときがきました。


 これまでのトレーニング期とは違った食事のコントロールが必要とされます。持続的に、比較的同じ環境でトレーニングや練習を続けていられる時期は、自分の決めた目標体重や筋力、瞬発力の目標数値に向かってコンスタントな運動ができます。
 しかし、試合が始まればそうはいかず、体力だけでなく精神力も相当量必要とされることでしょう。


 今回は試合後のリカバリーに注目したいと思います。アメフトのように高い運動レベルで試合を行うほど、体内のさまざまな消耗や損失が起こるので、結果として疲労につながっていきます。試合後はその疲労をできるだけ早く回復させ、次の試合までにコンディションを整えたいですね。
 疲労をためている場合ではありません。疲労の回復にはストレッチやクールダウン、入浴やマッサージなどの方法も有効とされていますが、食事による栄養摂取も見逃せないと思います。


 これまでにも糖質(炭水化物)摂取の重要性については触れてきました。糖質の種類にもさまざまあるわけですが、例えばバナナがスポーツ選手の強い見方であるといわれるのには理由があります。 
 バナナには、消化されやすいブドウ糖や果糖から、徐々に消化されるショ糖やオリゴ糖、さらに消化されにくい食物繊維やデンプン、難消化性デンプンといったさまざまな糖質が含まれています。
 これらの糖質は、その種類によってエネルギーに変わる早さが異なるため、バナナは、即効性と持続性に優れた食品といえるのです。


 人の体は、運動中や運動直後は、安静時とは違った糖の吸収経路が働いています。平たく言えば、試合後でくたくたに疲れているとき、素早く糖質を摂取することでエネルギーを補います。
 欲を言えばさまざまな糖質(おにぎりやフルーツなど)を摂取することで、より早くエネルギーを取り戻し疲労回復につなげられるようになるのです。


 「リカバリーのための食事」というと、運動直後の補給(プロテインやおにぎりなど)がタイミングとして重要なのは周知の事実ですが、その後食べる食事も見逃せません。
 体の中の代謝を促し、ぐっすり眠ることも疲労回復には欠かせないことだからです。食事は栄養バランスの整った、消化の良いものを。月並みではありますが、ご飯6割の主食、主菜、副菜、果物、牛乳・乳製品のそろったものに戻りましょう。


 「栄養バランス」という言葉ですが、決して侮れません。有機酸(たとえば今が旬の甘夏、レモンや梅干のクエン酸や酢酸など)と糖質(ご飯やイモ類など)を一緒に摂取することで、運動後の疲労回復により効果があることも知られています。
 酢酸は調味料のお酢に含まれている成分。酢の物や酢醤油を使ったおかずなどで摂取することができます。
 魚やお肉のたんぱく質ははもう言うまでもありません。


 どんな結果の試合であろうとも、まだシーズンは始まったばかり。シーズンインから食事も心がけていただければ幸いです。


〈参考〉
田口素子・樋口満 編著:スポーツ栄養学.市村出版・2014


大柴 由紀(おおしば・ゆき)プロフィル
 管理栄養士。奈良女子大学食物学科卒業後、大阪市立環境科学研究所附設栄養専門学校で栄養士免許取得。1998年財団法人キープ協会入社。レストラン勤務の傍ら、料理に自然の恵みを表現するため、八ヶ岳の自然を大切に循環型農業で米や野菜を育てる農家との交流を深める。2000年7月キープ自然学校開校。アメリカンフットボールと出会う。公益財団法人キープ協会勤務。学校法人新宿調理師専門学校講師、日本ウエルネス学会常任理事、山梨県栄養士会理事を務めている。

【写真】季節のフルーツと梅干おむすび