NFLは近年、ある問題についてNFL選手会(NFLPA)だけでなく、もっと多くの人々を相手に取り組みを続けている。脳しんとうとその後遺症についてだ。


 スポーツで発生する脳しんとうとその後遺症は、アメリカで大きな社会問題となっている。児童レベルから広く深刻な課題として捉えられいるのだ。特にプロスポーツにおいては、リーグのこれまでの安全管理と情報開示などが問題視されることが多い。


 NFLでも2009年から約4500人にのぼる元選手たちが、NFLの責任を問う形で100を越す訴訟を起こしている。
 最終的に集団訴訟としてまとめられ、13年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病を発症した元選手たちに賠償金を支払うことや、健康診断プログラムなどを実施することで和解している。
 賠償額は当初総額6億7500万ドルとされていたが、昨年賠償額の上限をなくすことが決定した。


 一方、NFLPAとは新たな診断、対処プログラムなどの導入などを11年の現労使協定に盛り込んでいる。この新たな対策によって脳しんとうの発症率は25%も減少したということだ。
 NFLは今後もNFLPAと協力し、この対策をアップデートしていくことを明らかにしている。


 これで脳しんとう問題は解決したというと、そうでもない。元選手たちの合意した賠償対象は十分ではないという意見もあるし、合意は基本的にその時点での引退選手約1万8000人が対象で、それ以後に引退した選手たちが新たに訴訟を起こす可能性もあるのだ。


記事提供=「NFL Japan BIZ」
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渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFLジャパンリエゾンオフィスのPRディレクターに就任。

【写真】対策が進むNFLだが、脳しんとう防止策はまだ確立されていない(AP=共同)