小中学生のタッチフットボールリーグ、チェスナットリーグをご存知でしょうか? 同リーグは本場米国のジュニアフットボール最大組織のポップワーナーリーグと提携し、米国遠征はじめ、長年に渡り、さまざまな国際交流が行われてきました。
 今年でリーグ創設28年目を迎えます。現在日本代表で活躍するQB高田鉄男選手(立命大出)は波除モンキーズ出身、WR木下典明選手(立命大出)も池田ワイルドボワーズ出身で、多数の名選手を輩出しています。


 関西では特に盛んで、小学生クラスは1977年度に「二条城北レッドスターズ」「千里ファイティングBee」が創設され、現在、小学生4年~6年までのピーウィークラス、小学生1年~4年までのジュニアピーウィークラスとも11チームがリーグ戦を戦っています。
 私がコーチとして携わっている「上ケ原ブルーナイツ」は2007年に、兵庫県下の小学生チームとして初めて創設されました。関西学院大学のフットボール専用フィールド(第3フィールド)を地域貢献の一環として、日曜日午前中に開放していただき、練習を行っています。


 チェスナットリーグは、中学生のタッチフットボールと同じフルスタイルで競技を行います。基本ルールはほぼ同じですが、ブリッツ禁止やFG、TFPキック、パント時の守備側のラッシュを禁止するなど、特に安全面に配慮されたオリジナルルールが採用されています。
 11人対11人が基本ですが、人数が少ない場合は8人対8人で試合を行うケースもあり、臨機応変な対応をとっています。


 何よりも「フットボールを楽しむ」ことを第一の理念に掲げています。ユニークな競技規則として「36ポイントルール」というものがあります。前半で得点36ポイント以上、前後半合計で64ポイント以上の差が出た場合、相手チームへの配慮がなされなかったとして、リードチームが敗者となります。


 ブルーナイツ他、多くのチームが「全員出場」を実践しています。日本において、野球、サッカーのようなメジャースポーツではないアメリカンフットボールで、勝利だけを追求しても、何の普及にもつながらないという発想で、これはとても大切なことだと感じています。ただ、試合時間が1クオーター6分と短いだけに、指導者としては焦ることもしばしばあります。


 ブルーナイツ創設時の2007年は、アニメ「アイシールド21」の全盛時代で、1学年で25人を超えることもあり、勝敗云々よりも試合に出場させることに最も神経をとがらせていた時期もありました。


 これは指導し始めて初めてわかったことなのですが、パントリターンやTFPキックのみに出場を予定している選手は、プレー機会がない可能性もあるということ。
 得点シーンがなければTFPはなく、相手がパントを蹴ってくれなければ、パントリターンチームの出場機会はありません。急遽、別ポジションで出場してもらいました。


 他チームも同様かと思いますが、ブルーナイツもフットボールだけでなく、多くの催しを行っています。せっかく大学内の練習場を使用させていただいていることもあり、ラグビー部の練習を見学したり、相撲部の稽古場に行かせてもらったこともありました。


 また、この時期ですと「お花見ロング」なども恒例行事です。夏は、大学と同時期に兵庫県の東鉢伏高原で合宿を行い、大学の練習見学、バーベキュー、肝試し、花火大会など、さまざまなイベントで、楽しい思い出作りを企画しています。
 毎年2月には大学ファイターズの4年生にお手伝いいただき、6年生との卒業試合を開催し、その後、保護者の方々も一緒に納会を行うなど、アットホームなチーム作りを心掛けています。


 いよいよ待望の卒業生が大学フットボールのピッチに登場してきます。ブルーナイツは創設翌年の2008年度から正式にリーグ加盟をしています。その時の6年生8人はこの4月から大学生となりますが、うち3人が高校でフットボール部に所属してくれていました。
 次の学年(高3)になると、総勢15人が関学高、啓明、宝塚東、仁川、箕面自由、三田祥雲館などに分かれて、ライバルとして、また仲間としてフットボールを続けてくれています。


 あと数年も経てば、ひょっとしたら、上ヶ原のグラウンドに、卒業生がひょっこり顔を出し、コーチを志願してくれるかもしれません。そんな日を夢見て、毎日曜日、寝ぼけ眼をこすりながらではありますが、緑豊かな甲山の麓で、フットボールに携われる幸せを感じています。(関学大ファイターズOB・埜下 雅基)

【写真】「上ケ原ブルーナイツ」の練習風景=写真提供:埜下雅基さん