アメリカで絶大な人気を確立させたNFLが近年力を入れているのが、国際的な普及だ。
 地域、国別にさまざまな取り組みが行われているが、そのなかでも特に目立つのがアメリカと国境を接しているカナダとメキシコ、さらに中国と後述する英国である。


 第49回スーパーボウルに合わせ、アリゾナ州フェニックスで開催されたNFLの臨時テーマパーク、NFLエクスペリエンスでこの国際展開に関する興味深い展示が行われていた。
 それによるとカナダには1160万人のNFLファンがおり、さらに2014年シーズンにバファローやデトロイト、ミネソタ、シアトルなどカナダ国境に近い都市で開催されたゲームにカナダから観戦のために10万人以上が訪れたということである。
 またカナダ人選手が8人、NFLロースターに登録されていた。自国出身の選手がいるとそのスポーツの人気が高まるとはよく言われることだが、カナダはその点で一歩先を行っているといえるだろう。


 また、メキシコにはカナダを上回る1590万人のNFLファンがいて、スーパーボウルのウイークエンドにはメキシコ市とモンテレイの2都市でフェスティバルが開催されたということだ。


 成長著しいのが中国で、元49ersのQBジョー・モンタナが参加したイベントや10都市を回ったNFLエクスペリエンスのトラックツアー、大学フラッグフットボールリーグなどの積極的な展開で、ここ4年間でファンの数が462%アップの1410万人に達したということである。


 NFLが進める国際展開において特別な地位を確立させているのが、英国である。英国では2007年からレギュラーシーズンゲームの開催、インターナショナルシリーズが継続開催されている。
 このインターナショナルシリーズは別名ロンドンゲームスと呼ばれていることからも分かるように、ロンドンのウェンブリースタジアムが開催スタジアムとなっている。


 NFLは当初、国際展開としてプレシーズンゲームを”アメリカンボウル”として日本を含め、メキシコ、英国などで開催していた。だが、真剣勝負として注目度の高いレギュラーシーズンゲームを2005年のメキシコ開催を発端に、シリーズ化したのがインターナショナルシリーズなのである。


 2007年からは1シーズン2ゲームまでの開催が可能となり、2007年ロンドンでのジャイアンツ対ドルフィンズがシリーズ最初のゲームとなった。最初は1ゲームだけのロンドン開催だったが、毎ゲーム8万3000人を超えるファンが集まった。


 これを受け、2011年にはロンドンでの固定開催と2017年までの継続が決まり、さらには2013年に2ゲーム、2014年には3ゲームまでに拡大された。
 また2014年のライオンズ対ファルコンズ戦では、それまで米国時間に合わせ、イギリスの夜に開催していた試合を、昼に開催する試みも行われている。


 このようにロンドンゲームスが拡大している背景にはNFL人気の高さがあると言えるだろう。
 現在英国のNFLファンの数は1270万人といわれている。また日本などに比べれば、移動距離も時差も少ないことも展開を比較的容易にさせる要素となっている。


 今やロンドンを本拠にするチームの噂まで出るほどの英国でのNFL人気。これが世界的なムーブメントになっていくか注目したい。


記事提供=「NFL Japan BIZ」
「NFL Japan BIZ」・Facebookページ
https://www.facebook.com/nfljapanbiz?fref=ts
渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFLジャパンリエゾンオフィスのPRディレクターに就任。

【写真】英国で開催されているロンドンゲームス(AP=共同)