1ゲームのために10万人もの人々が開催地を訪れ、地元に5億ドル(約575億円)もの経済効果をもたらすスーパーボウル。当然のことながら開催を望む都市、地域は引きも切らない。


 そのため地元有力者が招致委員会を作って、開催候補地として名乗りを上げ、招致活動の後にオーナー会議で評決によって開催地を決定するオリンピックと同様の決定方法が採用されている。


 もちろんどこでもスーパーボウル開催に立候補できるわけではない。明文化されているわけではないものの①仮設スタンドを含み7万人以上収容できる②施設の充実した大型スタジアムであること③十分なホテルの客室数が確保できること④大型イベントなどのためのコンベンション機能が備わっていること―などだ。


 さらに2月上旬という開催時期のため、雪の降りにくい南部の都市が有利と言われてきたが、2014年の第48回大会は屋根のないニュージャージー州のメットライフスタジアムで開催されている。
当日は幸い温かかったものの、常に積雪対策が話題になっていたのも事実だ。


 一方で、スタジアムを新設すると開催地に選ばれやすいという傾向もある。第48回大会のメットライフスタジアムも2010年開業だし、2009年の第43回から2018年の第52回大会のうち、新設後4年以内に初開催したスタジアムが五つあるのだ。ある意味ご褒美の一種になっているといえるだろう。


 ゲームのみならず、さまざまなイベントなどによって大きな盛り上がりを地元にもたらすスーパーボウルは、その形態には近年新しい傾向が出ている。開催地域のコンパクト化だ。
スポーツ大会のコンパクトな開催というと、オリンピックでもよく使われるフレーズであり、2020年の東京オリンピックでもキーワードの一つになっている。それと同様の傾向がスーパーボウルにも出てきているのだ。


 以前のスーパーボウルは経済効果を広く出そうとしたためか、イベントや施設などが広い地域に渡っていたことが多かった。出場2チームの宿泊ホテルが車で1時間近くかかるほど離れている、ということもよくあった。
 さらにアメリカの中都市によくあるのだが、ダウンタウンがビジネス街化しており、夜間休日人口が少ないところが多い。そのためスーパーボウルの開催都市であるはずなのに、ファンが集まるイベントは郊外で開催され、中心地はがらんとしているということがままあったのである。


 これに対してイベントなどをダウンタウンに集中させ、一体感のある盛り上がりを演出しようという動きが出てきた。
きっかけはインディアナポリスで開催された2012年の第46回大会だった。同市の規模はスーパーボウルを開催するのにはぎりぎりだったこともあって、出場チームの宿泊ホテルやNFLエクスペリエンスなどファン向けイベントをダウンタウンに集約したのである。それが大きな盛り上がりを見せたこともあって、コンパクト開催が注目されるようになったのだ。


 今年の第49回も、開催したユニバーシティ・オブ・フェニックス・スタジアムは郊外のグレンデールにあるものの、ファン向けイベントやメディアデー、メディアセンターなどはフェニックス市のダウンタウンに集められていた。


記事提供=「NFL Japan BIZ」
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渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFLジャパンリエゾンオフィスのPRディレクターに就任。

【写真】第46回大会の舞台になったコルツの本拠地ルーカスオイルスタジアム