世界一高額な放送権料を支払って放送されるスーパーボウル全米中継のテレビCM。当然広告主の企業はその効果を最大限に高めようとする。そのため、さまざまな取り組みが行われているのだ。


 この日のために特別なCMを制作し、お披露目するのはもはや一般化している。その代表ともいえるのが1984年の第18回大会で、アップルが放送した「1984」と題されたCM。
 初代マックの発売をアピールするもので、スーパーボウル中継内で一度だけ放送されたのだが、当時大きな話題となった。このCMは今もテレビ史上歴史に残る作品として度々話題に上るほどである。


 また豪華な出演者でアピールする作品も多い。昨年の第48回大会では、アーノルド・シュワルツェネッガーやベン・キングズリー、スカーレット・ヨハンソンといった俳優の他、U2、ボブ・ディラン、デービッド・ベッカムらが出演するCMが放送されている。


 さらに一般的な30秒というCM枠にとらわれず、インパクトやメッセージ性を高めるために、より長いCMを制作、放送する例も増えている。なかには2分に及ぶものもある。
 こうしたこともあって、中にはゲームそのものよりも、CMを見ることを目的に中継を見る視聴者もいるほどである。


 注目度の高いスーパーボウルCMの効果をより高める努力は、CMの放送そのもの以外にも及んでいる。
 まず近年散見されるようになってきたのが、スーパーボウルCMの放送を事前に知らせるティザー広告だ。いわば予告編のようなものだが、普通ティザー広告は新製品発表の予告で行われる。
 それがCM自体の予告として展開されるのだから、いかにスーパーボウルCMが特別な存在かわかるだろう。


 また最近増えているのが、スーパーボウルCMをゲームデー以前にYouTubeなどネットで事前公開する手法だ。スーパーボウルよりも前に公開してしまったら元も子もないような気もするが、スーパーボウルCMへの注目度の高さを考えれば関心が高いうちに見てもらうほうが良い、という考えなのである。
 実際事前公開した方が視聴数が多い、という調査結果もあったりするのだ。


 さらにSNSと連動させてアピールすることも広く行われるようになっている。過去にはコカ・コーラがSNSでの投票で放送するCMのバージョンを決めたこともあったし、放送されたCMやゲームの内容によってそれに対応したメッセージを随時投稿するリアルタイムマーケティング(RTM)を取り入れる動きも広がっている。


 どんな取り組みが行われるかをウォッチするのも、スーパーボウルの魅力といえるかもしれない。


記事提供=「NFL Japan BIZ」
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渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFLジャパンリエゾンオフィスのPRディレクターに就任。

【写真】スーパーボウルで放送されたCM(AP=共同)