米国内の総視聴者数1億6000万人以上、視聴率40%以上というアメリカで一番の人気番組であるスーパーボウルの全米テレビ中継。当然その中で放送されるCMは他にないほどの視聴者が見てくれることとなる。


 そのため、CMを流すために広告主の企業が放送局に支払う契約料は毎回高額になることでも有名だ。アメリカのCMの基本である30秒1回あたりの契約料では、毎年世界一高いものになるのも恒例である。


 ではどれぐらいか。シーホークスとブロンコスが対戦した2014年2月に行われた第48回大会の場合、30秒1回の平均契約料は400万ドル前後(約4億8000万円)だったと言われている。
 担当した放送局FOXのCMの数は101本に上ったが、その全てが2013年12月8日までに完売したほどの人気だった。つまりFOXはスーパーボウル中継のCM契約料だけで単純計算400億円以上の収入を得たことになる。


 放送局のスーパーボウル中継関連収入はこれだけではない。ゲーム直前に放送されるプレゲームショー、ハーフタイムのハーフタイムレポート、ハーフタイムショー、ゲーム終了直後のアフターゲームショー、それぞれでCMが放送され、冠スポンサーがつけられていた。
 さらにどの局もスーパーボウルサンデーは、ゲーム開始数時間前から記念番組などを延々と放送する。スーパーボウルの全米中継は担当放送局に莫大な収益をもたらせてくれるのだ。


 今年2月に行われた第49回大会はどうかというと、前回よりさらに上昇し平均で450万ドル(約5億4000万円)に達したと言われている。


 1回30秒放送するだけで4億円以上かかるのだから、放送する広告主の企業にもそれなりの戦略や決断が必要となる。そのため、そのときどきの景気状況や世相が反映されるのだ。


 毎年広告、放送業界ではどんな企業がどれほどCM枠を購入したが、前年11月頃から話題となるのである。
 例えば、リーマンショック後には自動車のCMが減少し、不況に強いと言われる映画のCM数が増えた。その後自動車のCMは増加に転じ、第48回大会ではマセラティやジャガーといった海外の高級車のCMが放送され、アメリカ経済の着実な復調ぶりがうかがえたのである。


 またCM枠の購入は大企業ばかりではない。新興企業などが自社の全国的認知度を一挙に上げようと、年間の広告予算の大半をつぎ込んでCM枠を購入することも毎年起こっている。
 例えば、ITバブルの当時にはIT関連のスタートアップ企業によるCM枠の購入が急増し、話題になった。もっともその数年後にはそうしてCMを放送した企業のほとんどが存続できていないことも話題になったりしたのだが。


記事提供=「NFL Japan BIZ」
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渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFLジャパンリエゾンオフィスのPRディレクターに就任。

【写真】スーパーボウルで放送された自動車メーカーのCM(AP=共同)