新年が明けて、1月も後半になりました。アスリートの皆さんは風邪やインフルエンザが隣り合わせの季節、普段の生活にプラスしてその予防に努める毎日でいらっしゃることでしょう。
 国立感染症研究所の発表している情報では、全国的にインフルエンザの流行が高いレベルで推移しているといわれています。とはいえ、トレーニングや試合は継続して行いたいもの。冬だからこそ、冬の食材を有効利用して乗り切りましょう。


 食材は、冬ならではのおいしさや栄養素を持つものがあります。日本人が大切にしてきた季節感に溢れる料理は、決してスポーツとは関係ないとはいえないでしょう。
 冬が旬の野菜といえば大根、白菜、ネギなど。小松菜やほうれん草も生産が盛んです。私の住む山梨県清里、八ヶ岳南麓では雪が降った畑で育てる“ちぢみほうれん草”という品種がおすすめで、葉は肉厚で甘味があり、冬のビタミン・ミネラル源にはうってつけです。


 日本海側の豪雪地方では12月までに収穫したキャベツや白菜を雪の中に貯蔵して、甘味の増した野菜を慈しんでいただく文化も定着しているようです。
 太平洋側の暖かい地方では、今が大根やキャベツの旬。畑からみずみずしい野菜をいただくことができます。地域によってその鮮度はさまざまですが、地域にあるおいしい野菜を上手に利用して風邪知らずのおいしい食生活を送ることができるでしょう。


 大根は消化酵素アミラーゼを含みます。大根おろしや大根と豚ばら肉の煮付けなどは、大根パワーで体の中の消化吸収に必要なエネルギーを補います。
 消化吸収を助けるということは、それだけすばやく体に栄養素として取り込むことができるので、胃腸が弱っている方だけでなく、スポーツ選手のリカバリー食として、また夜食として注目するのもいいでしょう。


 一方、ネギにはアリシンという物質が含まれます。これは豚肉と一緒に摂取すると、豚肉に含まれるビタミンB1に作用して疲労回復に役立つといわれています。
 豚肉、ネギ、生姜たっぷりの鍋や、玉ねぎを利用して豚肉の生姜焼きなど、スポーツ選手におすすめの料理です。


 これら“野菜”には、十分なビタミン・ミネラルと食物繊維が含まれます。アスリートが風邪を回避するには、コンディションを整えることが大切です。
 糖質・たんぱく質と、トレーニングに役立つものに意識が集中してしまいがちですが、冬こそ、ビタミン・ミネラルが十分に摂取できる野菜料理も取り入れてはいかがでしょうか。


 人間の体のエネルギー源である糖質を摂取したとき、効率よくエネルギー源にするためには、ビタミンB1も必要です。ビタミンB1が豊富な食材といえば豚肉や豆類です。
 というわけで、ご飯+豚肉+ネギ類の組み合わせ、ご理解いただけたでしょうか。


 ビタミン豊富な食材といえば、野菜だけではありません。果物にもビタミンCなどが豊富に含まれます。抗酸化作用を持つビタミンCは、体内の代謝に有効であることは皆さん周知の事実です。
 冬の果物の王様は柑橘類。みかんのように持ち運びも簡単で、いつでも気軽に食べることのできる果物は有効に利用したいですね。


 みかんだけではありません。りんごもまだおいしくいただける時期ですし、キウイも国産が出回る時期です。もう少しすれば、イチゴもシーズンを迎えます。
 成人のアスリートはもちろんのこと、ジュニアアスリートを抱えるお母さん、お父さん、ご自宅の食卓や冷蔵庫に自分で食べることのできる果物を常備しておくことも、食事を作ることと同じくらい環境を整えることになりますね。


 おいしく食べて、カゼ予防。まだまだ寒い冬は続きます。できることは日常の食生活から。厳しい、きついトレーニングがあっても、楽しいスポーツを楽しんだ後も、食事はほっこり心安らぐ、温かい時間となりますように。コンディションよく冬を乗り切られることをお祈りいたします。


【参考文献】
・アスリートのための食トレ
海老久美子著 池田書店


・日本人の食事摂取基準
菱田明・佐々木敏監修 第一出版


 【参考】
・国立感染症研究所HP
インフルエンザ流行レベルマップ 第02週


 大柴 由紀(おおしば・ゆき)プロフィル
 管理栄養士。奈良女子大学食物学科卒業後、大阪市立環境科学研究所附設栄養専門学校にて栄養士免許取得。1998年財団法人キープ協会入社。レストラン勤務の傍ら、料理に自然の恵みを表現したくて、八ヶ岳の自然を大切に循環型農業で米や野菜を育てる農家との交流を深める。2000年7月キープ自然学校開校。ここで初めてアメリカンフットボールと出会う。公益財団法人キープ協会勤務。学校法人新宿調理師専門学校講師、日本ウエルネス学会常任理事、山梨県栄養士会理事を務める。

【写真】キープ自然学校特製 白菜と鶏団子のお鍋