パーソナル・シート・ライセンス(PSL)がゴルフ場の会員権と似ている点は、ライセンスを売買できるところにもある。つまり、バブル時のゴルフ場会員権のように、売買価格の上昇を見込み、投資目的での購入も行われているのだ。


 2012年にはカウボーイズの本拠地AT&TスタジアムにおけるPSLに15万ドル(約1650万円)もの値がつけられた、と報道されたこともある。PSL売買業者も存在しているようだ。


 ではPSLは良いことばかりなのか。チームにとっては近年スタジアムの建設費が10億ドル(約1100億円)を越えることも多くなっており、建設費捻出の一手段としてPSLは重要な存在になっているのは事実である。


 が、ファンにとっては特にシーズンチケットを購入しようとするとチケット代だけでなく、多額のPSL購入費も必要になり、観戦へのハードルが上がってしまう。
 シーズンチケットをばら売りする2次販売においてもPSL費が上乗せされることが多いわけで売買価格の上昇をまねくことになるのだ。NFLがいくら高い人気を誇るとはいえ、ファン離れの要因となりかねないのである。


 実際、ジェッツはジャイアンツと共同保有するメットライフ・スタジアムを2010年にオープンするにあたり、PSLを導入しチケットも値上げしたが、その発売時期にリーマンショックが起こってしまった。
それ以前ジェッツのシーズンチケットは10年待ちと言われていたのだが、一挙に販売不振に陥ったのである。その後シーズンチケットの価格を下げるなどしているが、苦戦が続いているようだ。


 PSLはある意味、両刃の剣のような存在といえるかもしれない。


記事提供=「NFL Japan BIZ」
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渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFLジャパンリエゾンオフィスのPRディレクターに就任。

【写真】パーソナル・シート・ライセンス(PSL)をめぐって、各チームが様々な戦略を用いている(AP=共同)