いよいよ冬の到来です。


 寒さに体が慣れず、インフルエンザや感染症にかかりやすい時期です。忘年会なども多く、日常生活やトレーニングが乱れがちになって、「ちょっと気になるな…。」と感じる時もあることでしょう。体調管理は上手にコントロールしていたいものですね。


 アメフト選手にとっては、すでに次のシーズンに向けての体作りが始まっているといっても過言ではないのではないでしょか。


 そんな時こそ、毎日の食生活が大切です。今回はその中でも「栄養のバランス」をキーワードにしてみたいと思います。
 成長期にあるお子さんからご高齢の方まで、どのステージでも話題になるキーワードの一つです。スポーツ選手も同じです。


 アメフト選手も体作りを始めようとする今、良いコンディションを目指すためには再度見直していただきたいキーワードです。どんなスポーツ選手でも、栄養のバランスが整った食事を美味しく食べて、心も体も心地よく満たされてからいるからこそ、特化したトレーニングが活かされていくと言われています。


 「栄養のバランス」といっても、毎日繰り返す私たちの食事。その一回一回すべてにその気配りをしていたら大変ですね。炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルと並べてみても、さてどこから手を付けましょうか。
 栄養素の観点だけからバランスを整えていくのは細かい調整が必要ですし、毎日欠かさずというのはかえって食事の支度や献立を考えることが面倒になってしまいそうです。


 そこで、今回は「主菜」といわれるメインのおかずに注目してみます。
 ハンバーグ、トンカツ、焼き魚、ロールキャベツ、唐揚げ、豚肉のしょうが焼きなど、肉や魚を主な材料に使った料理です。


 肉や魚はたんぱく質を多く含む食材で、主に体の組織・筋肉を作る基になる栄養素です。その摂取のタイミングや、料理法の詳細はまた別の機会にご紹介することにして、まずは広い視野をもって見てみましょう。


 まずは一つの食材で。たとえば鶏肉とします。これを部位に分けて考えてみると、脂質を多く含むもも肉、良質たんぱく質の含有量が高い胸肉やささみ、コラーゲンを多く含む手羽元・手羽先など、その特徴を活かして料理への使用用途も様々です。


 調理法も、油を多く使った揚げ物、さっぱり仕上げる蒸し物や鍋物では食事として取り込むエネルギー量が変わってくるのはみなさん周知の事実です。ここで一言、決して油がNGというわけではありません。
 揚げたてのジューシーな唐揚げやチキンカツなんて、とっても美味しそうで食欲をそそるではありませんか。鶏肉という食材でも、これだけの料理の幅があるということです。


 もっと広く眺めてみます。肉・魚だけでなく、牛乳・乳製品、卵、豆類や大豆の加工品(豆腐、納豆、厚揚げなど)、魚の加工品(ちくわやはんぺんなどの練り製品)や貝類もたんぱく質を多く含む食品です。
 これらのおかずを思い浮かべると、湯豆腐や麻婆豆腐、グラタン、おでん、オムレツなど、おかずの幅はいっぺんに広がって、色とりどり。そして和・洋・中・イタリアンとどんどん料理の幅が広がります。


 そう考えればたくさんのおかずが目の前に広がっていませんか? これらをいろんなパターンで組み合わせてみます。肉+魚、魚+豆腐、乳製品+肉、魚+卵など、いろんな組み合わせができます。1回の食事でメーンとなるおかずを2種類にしてもいいのです。


 ハンバーグとシーフードサラダ、焼き魚と豆腐の田楽、朝食は焼き魚とハム、でOKです。おかずに使う食材の種類が増えればそれだけ様々な栄養素が摂取できることになるので、必然的に「栄養のバランス」が良くなってきます。


 「そんなにたくさんの種類をそろえるなんて…。」確かに、できない時もありますよね。でしたら、これを一日のトータルで考えてみてみましょう。毎食肉料理ばかりになっていませんか? 一日の中で魚や豆腐、卵、乳製品もチョイスします。


 「それでも面倒だ…。」なら、連続3日、夜のおかずだけでもチェックしてみてください。昨日は焼肉。なら今日は魚料理。次はこの季節おすすめの鍋料理。こうするだけでも食材が肉ばかりに偏るよりは、栄養のバランスは改善されます。


 ある一定期間(たとえば1日、3日、1週間など)を決めて、その期間できるだけいろんな種類の食材の料理を意識すると、おのずと「栄養のバランス」は偏りが減ります。栄養素もいろんな種類が摂取でき、体作りや体調を整えるのに有効です。


 最後に、おいしく食べることを忘れずに。忘年会だったら思いっきり楽しい時間を過ごしましょう。だって、次の日で帳尻を合わせればいいのですから。
 今日が満腹なら明日は控えめ、夜がパーティだったら昼は控えめ。そんなプラスとマイナスでいいのではないでしょうか。心地よく美味しく食べて、栄養のバランスを整えて、年末年始をスムースに過ごしていただけたら幸いです。


 一方、体作りを始める選手のみなさん、まずは毎日の食生活が満たされていることが大切です。ご自身なりの期間を作って栄養のバランスを振り返ってみてください。
 「アレ?」と思ったらその時がチャンスです。次は同じことを繰り返さないように料理をチョイスしてください。年末年始に振り回されず、次のシーズンに向かわれることをお祈りしています。


 どうか皆様、寒さがどんどん厳しくなりますが、心地よい食生活とともに、良いお年をお迎えください。


 大柴 由紀(おおしば・ゆき)プロフィル
 管理栄養士。奈良女子大学食物学科卒業後、大阪市立附設栄養専門学校で栄養士免許取得。1998年財団法人キープ協会入社。レストラン勤務の傍ら、料理に自然の恵みを表現するため、八ヶ岳の自然を大切に循環型農業で米や野菜を育てる農家との交流を深める。2000年7月、キープ自然学校開校、アメリカンフットボールと出会う。現在公益財団法人キープ協会勤務。学校法人新宿調理師専門学校講師、日本ウエルネス学会常任理事、山梨県栄養士会理事を務めている。

【写真】肉味噌豆腐 大根葉とともに