これまで紹介してきたように、NFLのゲームはアメリカの日曜午後の開催が基本となっている。ではなぜ日曜なのか?
 それはアメリカンフットボールの歴史的慣習とテレビ、そして法律が密接に関連した結果なのだ。


 プロフットボールが誕生した1890年代から1920年のNFL創設時において、フットボールで人気があったのはカレッジや高校だったのである。
 新興のプロフットボールはその人気にはるかに及ばないものであった。そして当時カレッジと高校は土曜日にゲームを開催していたのである。


 ちなみにその後、高校は安価にナイターが開催できるようになると金曜夜に行われることが定着していった。小説から映画、そしてドラマにもなった「フライデーナイト・ライツ」を覚えている方も多いのではないだろうか。


 これに対してNFLはカレッジ、高校とバッティングすることを避けるため、日曜にゲームを開催することを選んだのだ。棲み分けることで成長する道を探ったのである。こうして着実に人気を獲得していったのだ。


 そんななか、1950年代になって人気とビジネスでの成功の大きなファクターとして登場したのがテレビである。
 テレビ中継とその放送権についてはこれまで紹介してきたようにうまく提携していったNFLとライバルリーグAFLだけでなく、カレッジスポーツの大半を司る全米大学体育協会(NCAA)でも、ネットワークとの間でさまざまな動きが行われることとなった。


 そして1961年にNFLとAFL、さらに大リーグ、NBA、NHLはこの年制定されたスポーツ放送法(SBA)において、テレビネットワークと放送権の独占契約が独占禁止法から除外されることを認められる。これが各リーグの成功の大きな要因となったのは言うまでもない。


 が、このSBAには、9月の第2金曜から12月の第2土曜までの間の金曜の午後6時以降と土曜において、NFLとAFLがテレビ放送契約を結ぶことを禁止する、という条項が含まれていたのである。つまり事実上カレッジ、高校のゲームと同時開催することが法的に不可能となったのだ。


 この条項はプロフットボールの人気台頭に危機感を持ったNCAAがロビー活動を行って議会に働きかけ実現したものである。


 こうしてNFLは日曜の午後開催がさらに定着することになった。1978年に条項の一部が緩和され、NFLが望めば規制期間中も金曜と土曜の一部でゲームを開催することが許可されたが、金曜に関してはこれまでほとんど開催されていない。


 その一方で、NFLはこれまでに紹介してきたように日曜夜のサンデーナイト、月曜夜のマンデーナイトに始まり、さらにはNFLネットワークの創設とともに木曜のサーズデーナイト、制限解除後でカレッジのレギュラーシーズンが終了する12月後半には土曜のサタデーナイトと、開催日を拡大させている。棲み分けは続けつつも、ビジネス機会を広げ続けているのだ。


渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFL ジャパン リエゾン オフィスのPRディレクターに就任。

【写真】人気拡大を続けるNFL =写真提供:NFL JAPAN