2003年、NFLはNFLを専門に毎日24時間放送するケーブルテレビや衛星放送向けチャンネル「NFLネットワーク」を開設した。


 実はこの頃からアメリカではスポーツリーグや団体が自前の専門チャンネルを開設することがちょっとしたブームになっている。
プロバスケットボールNBAはNFLに先立ち、1999年にNBA TVを、北米プロアイスホッケーのNHLは2007年にNHLネットワークを開設した。大リーグも4大プロリーグの中では最も遅く、2009年にMLBネットワークをスタートさせている。

 
では、プロリーグが自ら専門チャンネルを作る利点はどこにあるのだろうか。いつでも自リーグの録画を含むゲーム中継やニュースを見られるようにすることで、ファンの理解を深め人気の拡大につなげられるのは間違いない。
 ただ、それ以上に大きいのはやはり収益の拡大だ。これまでプロリーグはテレビ中継に関して、これまでも紹介してきたように基本的にネットワークからの放送権料が収益源となっていた。


それに対し、いわゆるケーブルチャンネルの場合、チャンネルは有料サービスであるケーブルテレビ事業会社や衛星放送会社から配信料を得て、そのチャンネルを配信するのである。配信料という直接的な収益が毎月もたらされるのだ。さらに放送内で放送される広告の放送料もチャンネルに入るのである。
こうしたことを考えれば、人気を確立したリーグがチャンネルを持とうとするのも当然といえるだろう。NFLにとってのそれがNFLネットワークだった。

 
だが、開設当初はNFLのもくろみ通りにはいかなかったのである。放送開始時からNFLネットワークは情報番組やダイジェストは放送したものの、レギュラーシーズンのゲーム放送権を持っていなかったのだ。
大手ケーブルテレビ事業者などは、このためチャンネルとして弱いと判断し、高めの配信料の設定や加入者全員に配信するベーシック・パックに入れることなどを拒否し、これを望むNFLと対立したのである。
このため開始時にNFLネットワークを配信したのは衛星放送のディレクTVだけという状況となった。

 
しかもこの対立は次第に激しくなり、一部のケーブルテレビ会社とは訴訟や非難合戦にまで発展したほどである。
 ただ、NFLは2006年に木曜夜のサーズデーナイトフットボールを創設し、NFLネットワークで放送するなどチャンネルとしての価値を上げることに努めた。
その結果、次第に大手ケーブルテレビ会社も配信契約を行うようになり、2012年にはほぼ全ての有料テレビサービスでNFLネットワークが配信されるようになったのである。2013年8月時点で、配信家庭数はアメリカ全体の約62%にあたる7091万世帯に達した。

 
また後で詳しく紹介するがサーズデーナイトフットボールを新しいパッケージとして成立させることにも成功している。
 さらに2009年には日曜午後同時に複数のゲームが開催されることを利用した新たなチャンネル「NFLレッドゾーン・チャンネル」も開設した。
これは各ゲームスタジアムで攻撃が相手陣20ヤード以内のレッドゾーンに入ったり、得点やターンオーバーなどで試合が盛り上がると、そのゲーム中継を次々につないでいくという画期的なゲームデーのみに放送されるチャンネルである。ザッピングすることなく、多数のゲームを楽しめると好評だ。


 新しい分野への進出に紆余曲折はあったものの、自リーグによるチャンネル運営でもNFLは歩みを止めていない。

【写真】2003年に解説された 「NFLネットワーク」=写真提供:NFL JAPAN