2014年シーズン、NFLにはスケジューリングとテレビ中継において大きな変化がもたらされた。
 第2週から第8週まで現地木曜夜に開催される「サーズデーナイト・フットボール」(TNF)を地上波のCBSが全米中継を行うようになったことだ。これはTNFが新たな放送パッケージとして確立したことを示している。


 現在のTNFの原型は06年に始まった。キーポイントは以前紹介したリーグ自前のNFL専門のケーブル、衛星チャンネルであるNFLネットワークにある。
 同チャンネルは03年に設立されたものの、当初ゲーム中継の放送権を持っていなかった。このためケーブルテレビや衛星放送運営会社と思うような配信契約を結ぶことができず、伸び悩むことになったのである。


 そこで、てこ入れ策として導入されたのがTNFだった。シーズンの約半分である8ゲームの中継をTNFとして、NFLネットワークで放送するようにしたのである。
 リーグ傘下のチャンネルであるため、他のテレビネットワークのように放送権料は発生せず、無償でキラーコンテンツを手に入れたのだ。


 このTNFも当初、対戦チームの地元地域ではファンが見られなくならないよう地上波でも同時中継することなどについてトラブルもあったが、やはりその効果はてきめんで、NFLネットワークは以後、契約数を着実に増やしていったのである。
 それに伴い12年には開幕戦や最終週を除くほとんどの週でTNFが開催されるようになった。そうなるとTNFへの関心がさらに高まり、TNFのテレビ業界での価値も高まるという相乗効果が生まれることとなる。


 その結果が今回のCBSによる放送だ。CBSはTNFが放送パッケージとして十分に価値が確立したと判断し、TNFの変形として第16週に2ゲーム行われる土曜日開催の「サタデーナイト・フットボール」と合わせ、計9ゲームの新たな放送権契約をNFLと結んだのである。
 放送権料は9ゲームのみにもかかわらず、年2億7500万ドル(約288億7500万円)に達しているというのがもっぱらの見方だ。


 またNFLネットワークはCBSが放送するゲームも含め、TNF全ての中継は継続する。つまりCBSとNFLネットワークの2チャンネルで同時中継するという、これまでにない放送形態となっているのだ。これはNFLネットワークの価値を下げないためだろう。
 TNFのカードも初戦第2週のレイブンズ対スティーラーズや、第4週のジャイアンツ対レッドスキンズといった、注目度が高い地区内ライバル対決など好カードがそろえられている点にNFLの力の入り方が感じられる。


 さらにCBSによるTNF放送は、アメリカのテレビ業界にも大きな衝撃を与えた。CBSは元々、秋のシーズンの木曜夜にいわゆるアメリカで最も視聴者の多い人気コメディー番組「ビッグバンセオリー」などを放送していたのである。
 その枠に多くの視聴者が集まるTNFが入り、「ビッグバンセオリー」は月曜夜に移行したのだ。当然他のネットワークは強敵との視聴率争いにおいて、番組編成などで頭を痛める結果になったというわけである。


 そして注目の今シーズン、TNF第1戦レイブンズ対スティーラーズはRBレイ・ライスのDV事件の影響が懸念されたものの、総世帯視聴率で13・7(うちCBSが11・2、NFLネットワークが2・5)を記録、同時間帯でのトップに輝いた。
 期待通りの滑り出しだといえよう。今後どのように発展していくか楽しみだ。
 ちなみに開幕戦と11月の感謝祭のナイトゲームも木曜夜に開催されるが、TNFとは別契約となっており、現在NBCが放送権を保持している。

【写真】NFL中継は平日夜でも高視聴率をたたきだしている=写真提供:NFL JAPAN