ビジネス面において、アメリカにおけるNFLテレビ中継の最大の特徴は放送契約をリーグが一括して行っていることだ。レギュラーシーズンのゲーム、プレーオフ、スーパーボウル、プロボウルに関しては全てリーグが管理している。


 リーグがゲーム中継を後述するAFCやNFCなどの放送パッケージ化し、各ネットワークと交渉、放送契約を結ぶ。契約から得られる放送権料は一部がリーグの取り分となるが、それ以外は各チームに分配される。
 これによって各チームは本拠としている都市の大小などに影響されず、安定した収益を得ることができるのだ。


 この点において、MLBや日本のプロ野球はNFLと大きく異なっている。MLBの場合、土曜の午後や夜の全米放送など一部はリーグが管理しているが、基本的に各チームが独自に契約を行う。
 さらにアメリカではケーブルテレビや衛星放送の普及率が8割を超えており、多チャンネル・サービスが浸透していることもあり、契約は地元ケーブル局と行われることがほとんどである。


 例えばヤンキースの場合、ニューヨーク地区のケーブル局、YESネットワークと年9000万ドル(約90億円)という巨額の放送契約を結んでいる。その一方で中西部のカンザスシティーに本拠を置くロイヤルズの場合、地元FSカンザスシティーとの契約料は2000万ドル(約20億円)にすぎない。
 独自契約が各チームの収益、さらに契約において大きな格差を生む原因の一つとなっているのだ。


 テレビ契約においてもNFLはリーグが一括契約をすることで、リーグ全体が繁栄することを第一とする戦略がここでもしっかりと保持されているのである。ある意味社会主義的戦略ともいえるだろう。


 では、テレビにおいて各チームが独自に努力する余地がないかというとそうでもない。
 レギュラーシーズン開幕前に行われるプレシーズンゲームにおいては一部全米中継される注目カードを除いては各チームが独自に地元局と契約を結ぶようになっている。スター選手などがあまり出場せず、勝利への意識も薄いプレシーズンゲームであっても、地元ファンにとっては人気コンテンツだ。
 さらにゲーム前などに、見どころや選手、コーチなどのインタビュー、チーム状況などを伝えるチームのリポート番組についても放送契約が結ばれ、地元地域で放送されるのが常となっている。
 このように一括契約制度の下でもそれぞれ独自の発展意識も維持されているのである。(NFL JAPAN 渡辺 史敏)


渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFL ジャパン リエゾン オフィスのPRディレクターに就任。

【写真】放送局のキラーコンテンツとなっているNFL=写真提供;NFL JAPAN