NFLにおけるリーグ運営の統括責任者がコミッショナーだ。日本のプロ野球などにも同様のポストはあるが、アメリカのプロリーグ、特にNFLと日本野球機構のそれとは大きな違いがある。リーグの経営において絶大な権限が与えられている点だ。


 その最たるものが後で詳しく紹介するリーグに莫大な収益をもたらしているテレビ放送権をめぐる契約である。NFLの場合、コミッショナーが先頭にたち、レギュラーシーズンとプレーオフ、スーパーボウルの放送権の交渉をリーグが一括して行うのだ。
 この他、シーズン、イベントなどの運営管理など、コミッショナーが最高責任者となり、リーグによって運営されているのだ。


 ただ、留意しておかなければならないのは、コミッショナーはあくまで前に紹介したチームのオーナーたちによって選出されている点である。リーグはチーム、さらにはオーナーたちによって形成されているからだ。
 そのため、例えばこれも後で紹介する選手会(NFLP)との労使協定の交渉は基本的にオーナー会とNFLPAとの間で行われるのである。さらに前述のようにリーグにおける重要事項の決定はオーナー会議の採決が必要となる。


 オーナー間などで意見の相違があることも多いし、放送局やNFLPAなどとの交渉も厳しい展開になることも多々ある。その点において、コミッショナーには全方位的に高い交渉能力が要求されるのだ。


 そんな現在のNFLコミッショナーを務めているのがロジャー・グッデル氏である。1959年生まれのグッデル氏は、82年にインターンとしてリーグオフィスに入り、その後コスト削減などで才能を発揮し、2001年からは最高執行責任者(COO)を務めた。
 06年、ポール・タグリアブー前コミッショナーの退任に伴い、オーナー会議で第9代コミッショナーに選出されている。


 選出後はロックアウトに及んだ11年の労使交渉や放送権交渉、ロンドンでのレギュラーシーズンゲーム拡大など、リーグの発展に尽力、いずれも成功させてきた。その一方で積極的にファンと交流するなど親しみやすい存在としても知られる。
 グッデル氏につけられた「アメリカのスポーツ界で最もパワフルな男」というニックネームは、まさにNFLコミッショナーという職業を表しているといえるだろう。(NFL JAPAN 渡辺 史敏)


渡辺 史敏 (わたなべ・ふみとし)のプロフィル
1964年生まれ。明治大卒。雑誌編集者を経て1995年に渡米。ニューヨークを拠点にNFLやサッカーなどスポーツ、ITの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国。フリーランス・ジャーナリスト活動を行う他、NFLの日本窓口、NFL ジャパン リエゾン オフィスのPRディレクターに就任。

【写真】NFLのコミッショナーを務めるロジャー・グッデル氏=写真提供:NFLJAPAN