先週からアメリカ出張に来ているが、スポーツニュースで見る各プロスポーツの「企画力」には驚くばかりだ。

 まず、アイスホッケーの北米プロリーグNHL。来月には、プロ選手が国の代表としてソチ・オリンピックに参加するため、オリンピックの開催に合わせて中断するが、先週末はロサンゼルスのドジャースタジアムと、ニューヨークのヤンキースタジアムで公式戦を行った。

 野球場に氷を張ったのである。大胆な企画とあって、ニュースでも大きく報じられていた。

 バスケットボールのNBAでは、エンターテインメントの祭典、グラミー賞に合わせて、多くの選手たちがゴールドのシューズを履いてプレーした。この時期に合わせた特別製である。

 スポーツとエンターテインメントが、何らかの形で融合するのが、いかにもアメリカらしい。

 そして数あるスポーツイベントのなかでも、試合内容もさることながら、最もエンターテインメントとして洗練されているのが、現地時間2月2日(日本時間2月3日)に行われる米プロフットボールNFLの頂上決戦「スーパーボウル」だ。

 今回はデンバー・ブロンコスとシアトル・シーホークスの対戦。週末には両チームが会場となるニューヨーク入りして、「スーパーボウル・ウィーク」が始まった。

 今回の試合では、ブロンコスのクオーターバック(QB)ペイトン・マニングが、2度目の頂点に立てるかに注目が集まっている。

 アメリカ人は、「復活劇」を好む。

 マニングはインディアナポリス・コルツの看板選手で、チームを2006年度のスーパーボウル優勝に導いた。しかし、首のけがで2011年のシーズンを全休し、再起を危ぶむ声が高まってしまった。

 マニングがいないコルツは低迷し、そのおかげで成績が悪い順に指名順が決まっていくドラフトでは、なんと1位指名権が手に入った。皮肉なものである。コルツはその指名権を使って新しいQBを獲得することを決断、マニングは解雇された。

 どんな功労者であっても、ビジネスの判断が優先されるのだ。これがアメリカのプロスポーツの現実だ。

 古巣を離れ、ブロンコスに移籍したマニングは2012年に見事に復活、2シーズン目でスーパーボウルに戻ってきたわけである。

 プレーオフに入ってからのマニングのプレーぶりは、非の打ちどころがない。「時間」と「空間」を支配し、常にチームを有利な状況に導いている。

 マニングはすでに37歳になっており、とっくにベテランの域に達しているが、年齢のハンディキャップをまったく感じさせない。

 マニングの復活劇で感じるのは医療、そしてリハビリ技術の発達である。首は完治しているとはいえない状態。シーズンが終わってからのメディカルチェック次第では、9月に始まる来シーズンの欠場もあり得るというが、トータルの医療技術の発達が、マニングの選手寿命を延ばしている。

 マニング自身は、「スーパーボウルのその先も、プレーを続けるつもりだ」と記者会見で話しているが、稀代の名QBが2度目の栄冠を手にすることができるのか。

 対するシーホークスはNFLでナンバーワンのディフェンスを誇っており、失点が一番少ない。

 マニングを核に抜群の攻撃力が持ち味のブロンコスと、守備のシーホークス。見応えのある試合が期待できそうだ。


生島 淳(いくしま じゅん)のプロフィル

 1967年、宮城県気仙沼市出身、スポーツジャーナリスト。五輪や、米国のプロ、大学スポーツなどを中心に執筆。著書に『箱根駅伝』(幻冬舎新書)など多数。また、黒田博樹らメジャーリーガーの本の構成も担当。NHKBS1の番組『BSベストスポーツ』ではキャスターを務めている。

【写真】記者の質問に答えるブロンコスのQBマニング=26日(AP=共同)