現地時間2月2日(日本時間3日)に米ニュージャージー州イーストラサフォードで行われる第48回スーパーボウルは、AFC西地区優勝のデンバー・ブロンコス対NFC西地区優勝のシアトル・シーホークスの顔合わせとなった。ともに13勝3敗でレギュラーシーズンを終え、カンファレンスの第1シードとしてプレーオフを戦ってきた。


 実はカンファレンス第1シード同士がスーパーボウルで対戦するのは稀である。各カンファレンスから6チームが出場する現行のシステムが導入された1990年以降、トップシードが雌雄を決するスーパーボウルは今回でわずかに4度目だ。ちなみに過去3回はすべてNFC代表が優勝している。


 第1シードは言うまでもなく、シーズン中に最高勝率をあげたチームである。ところが、一発勝負のプレーオフではその時期に勢いのあるチームに利があり、下位シードが上位を凌駕することが珍しくない。


 裏を返せばブロンコスとシーホークスは、シーズンを通してその勢いを持続してきたことになる。17週間かけて戦うレギュラーシーズンの間にほとんどのチームが浮き沈みを経験する。シーズン序盤はまだ戦力が充実しておらず、後半は主力選手の故障欠場が戦力低下を招く。しかし、この2チームはコンスタントに高いレベルで実力を維持し、故障者の影響も克服してきた。その両者が激突する王座決定戦には見どころが満載だ。


 ブロンコスとシーホークスは好対照をなすチームだ。ブロンコスはQBペイトン・マニング率いるパス攻撃で高い得点力を誇るオフェンス型。一方のシーホークスはCBリチャード・シャーマン、Sアール・トーマスら大型ディフェンシブバックが運動能力をフルに生かした守備を見せるディフェンスが看板のチームである。ブロンコスはオフェンス総合、得点力がともにリーグ1位で、対するシーホークスはディフェンス総合、失点の少なさでやはりNFLトップに君臨する。


 注目を集めるQBもタイプが異なる。NFL16年目のベテランであるマニングは典型的な「ポケットパサー」で、ディフェンスの配置や動きを正確に読み取ることでパス攻撃をリードする。スーパーボウル出場も3度目で、王座決定戦の緊迫感は十分に経験済みだ。
 シーホークスのQBラッセル・ウィルソンは脚力を生かした「モバイル型」である。新人だった昨年はQB自らがボールを持って走るというNFLでは稀なスタイルで注目を浴び、エースの座を勝ち取った。
 今季はパスに重点を置いているものの、ディフェンスのパスラッシュを素早い動きでかわして、ある時はスクランブルで走り、またある時はそこから体勢を立て直してロングパスを決めてしまう。要所で見せるランプレーはディフェンスの脅威だ。


 今回のスーパーボウルでは、従来型のポケットパサーと革新的なモバイルQBとの「世代闘争」としての側面もある。ただし、過去はマニングのようなポケットパサーが活躍することが多く、モバイルQBが勝利した例はまだない。


 攻守のスタイルにも特色がある。ブロンコスのオフェンスは上記のとおりパス偏重型だ。WRデマリアス・トーマス、ウェス・ウェルカー、エリック・デッカー、TEジュリアス・トーマスらはいずれもビッグプレーを生みだす能力を秘めたレシーバーだ。
 対するシーホークスのオフェンスはRBマショーン・リンチのランを中心とする。リンチはディフェンスのタックルを受けてから、さらに2~3ヤード進むほどのパワーの持ち主で、確実なゲインが計算できる。スタミナも十分でディフェンスが疲弊する第4クオーターにはさらに威力を発揮する。


 ブロンコスのディフェンスはゲインを許してもTDは防ぐというスタイルで、ややソフトな印象だ。シーホークスはアグレッシブなスタイルが特徴で、ターンオーバーを積極的に狙っていく。
 今年のスーパーボウルは「オフェンス対ディフェンス」というフットボールの永遠のテーマに一つの答えを出すものとなる。あたかも「矛」と「盾」の故事のごとくだ。王座を制するのはオフェンス(矛)のブロンコスかディフェンス(楯)のシーホークスか。雌雄を決する戦いに矛盾という答えはない。(ジャパンタイムズ記者・生沢浩)


生沢 浩(いけざわ・ひろし)

1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHK―BSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

【写真】現在NFLでベストCBとの呼び声も高い、シーホークスのDBシャーマン=23日(AP=共同)