福井県で開催される北陸最大級のアメリカンフットボールのボウルゲーム「ナルシアスボウル」が7月7日、福井県立大学松岡キャンパスでフィナーレを迎えた。連日雨模様で、当日の朝も時折激しい雨が降るなど開催が危ぶまれたが、第4クオーターには真夏の日差しが照りつけた。約300人の参加者、観客が訪れ、大会は成功裏に終わった。


 ▽アメフットをメジャーに
 福井県の県花・水仙(ナルシアス)の名を冠したボウルゲームは2008年、「福井でアメフットをメジャーにしたい」という関係者の思いでスタート、今年で6回目だった。中心となったのは、06年に福井市に移住してきた星谷直貴さん(38)。日本代表として03年ワールドカップに出場。05年にはオービック・シーガルズが、日本選手権(ライスボウル)を含め一度も負けないパーフェクトシーズンを達成したメンバーとして、チームの屋台骨を支えた攻撃ライン(OL)の名選手だ。
 その星谷さんの呼びかけもあって、近年は国内のトップリーグ日本社会人Xリーグの現役や日本代表クラスの選手、大学日本一を決める甲子園ボウルやライスボウル経験者らが集結。アメフットというスポーツの認知度がまだまだ低い福井で、レベルの高いプレーを披露し、北陸大学リーグの選手たちにとっては大きな刺激になってきた。


 ▽豪華メンバー
 最後のナルシアスボウルにも豪華メンバーが名を連ねた。「福井オールスター」には、星谷さんのほか、福井在住でアサヒ飲料チャレンジャーズで日本一を経験した道根文彦さんのほか、堀泰宏さん、牧野太郎さんらXリーグ経験者が加わった。「Xリーグオールスター」は、アサヒ飲料チャレンジャーズの現役選手が中心。名門・関学大で活躍したQB加納友輔さんとWR太田薫さんのコンビが5年ぶりに復活する、フットボールフリークへのサプライズもあった。
 星谷さんはOLではなく、QBとして出場。ロングパスに加え、自らのパワフルな走りを披露。RBにハンドオフした後に、本職のブロッキングで豪快なヒットも見せ、試合を盛り上げた。福井チームは、少ない練習時間ながら用意したスペシャルプレーや、守備のインターセプトなどのビッグプレーでスタンドをわかせた。
 さらに、関東、関西のXリーグチアリーダーOGも参加。試合前やハーフタイムはもちろん、クオータータイムや両チームのタイムアウト時にも華やかなショーを繰り広げた。ハーフタイムには、地元空手道場の演舞や、子どもたちにアメフットのボールを無料で配布しパスを体験してもらうなど、趣向を凝らしたファンサービスは好評だった。サイドラインには、アイスコーヒーやかき氷、地元名物のソースカツ丼弁当などの店が並び、お祭りムードを盛り上げた。


 ▽世代交代が必要
 関東、関西の選手やチアリーダーたちは、自費で駆けつけた。試合途中で帰宅する選手がいるなど、スケジュールの調整は大変だった。福井メンバーもSNSなどでプレーブックを共有し、試合の準備をしながら、イベント集客のためにポスター配布や運営費のためのタオル販売なども行ってきた。
 星谷さんは、この一大イベントとなったナルシアスボウルを最後とする決断をした理由を「どこかで世代交代が必要だと思った」と説明。「この6年間でどのようにアメフットの普及活動をやっていけばいいか分かってもらえたと思う」とも付け加えた。福井をはじめ北陸のアメフット発展のためにも「自分が突破口となるのではなく、現役の選手に発信していってほしい」との願いもある。
 最後は、参加選手にチアリーダー、そして観客も入っての「ハドル」で締めくくった。関東や関西から駆けつけた参加者からは「また福井に来たい」との声もあった。七夕の7月7日。織姫と彦星のように、一年に一度選手も観客もアメフット好きが再会できるイベントが来年以降も続いてほしい。そう願わずにはいられなかった。(福井新聞社 近藤洋平)


【近藤洋平(こんどう・ようへい)のプロフィル】
 1976年生まれ。北海道大学卒。2000年福井新聞社入社。編集局社会部などを経て、メディア・システム局で電子サービス「福井新聞fast(ファスト)」を担当。大学からアメリカンフットボールを始め、在籍時は北海道4連覇、北日本3連覇。2年時に地方大学リーグによる地区対抗王座で福岡大を破り優勝。現役時のポジションはオフェンスライン。

【写真】選手、チア、観客のハドルで締めくくったナルシアスボウル=撮影:Yohei kondo、7日、福井県立大学