北陸学生リーグは、金沢大が19連覇を達成した。10月28日の最終戦は、昨季2位の福井県立大(以下、県立大)が、前節に福井大に敗れ、さらにこの日の第1試合で福井大が勝利し3勝1敗としたため優勝が確定。(負けても1敗で3チームが並ぶため、同率の場合は前年度順位で決定するリーグ規定による)。雨の中、観戦に訪れたファンや両校OBにとっては少し物足りない終幕となった。


 ▽挑戦者貫いた県立大
 それでも県立大は挑戦者の姿勢を貫いた。2001年に北陸リーグ1部に昇格すると、10季で2位7回とめきめきと頭角を現す。昇格当初には1対1のブロッキングによるランなど“昭和のフットボール”ともいえる単調な戦術も散見されたが、ショットガンやワンバックからの多彩な攻撃など“中央の戦術”を積極的に取り入れ加速度的に力をつけてきた。今季登録選手は34人。金沢の26人を上回り、リーグ関係者の中でも「今季はアップセットがある」と見られていた。
 試合開始直後から降りしきる雨の中、主将QB高橋建太が、ワンバックからのパス攻撃を展開。「自分たちから攻めないと勝てない」(高橋)と、前半から再三のギャンブルや、パントフェイクランもみせ互角以上に渡り合った。第3クオーターには、2タックルをふりほどきTDを決め、7-6と逆転に成功。再逆転された後にも、ゴール前インチまで攻め込んだ。挑戦の歴史を続けてきた県立大。「ずっと『俺らの分までやってくれ』といわれてきた。苦しいときがあってもメンバーはくさらずにやってきた。今年こそ『いける』とおもっていたのに…」(高橋)。試合後、雨脚が再び強くなる中、目を赤くしながら話した。


 ▽すべての人の想い胸に
 最終スコアは25-7となったが、連覇達成直後のハドルは静まりかえっていた。優勝の決まっていた金沢大は、戦略上、ある程度プレーを制限していたかもしれないが、反則やキッキングでのミスも相次いだ。「次(東海学生代表・名城大戦)にこんなことをしていたら、絶対に勝てない」。永田啓造主将は全員の顔を見回しながら、そう諭したという。
 そもそも今季の金沢大は苦戦が予想されていた。春には、大雨の中での試合とはいえ、福井大とスコアレスドロー。永田主将が運動量の求められるミドルラインバッカーとオフェンスタックルを兼任するなど攻守両面出場選手も少なくない。それでも「人数が少ない分、体力的に厳しいのは、わかりきっていたこと。夏に走り込んできた」と永田。名城大戦は11月11日。「OBや応援してくれる人などすべての人の想いを胸に、この2週間臨みたい。壁を破りたい」


 ▽地方リーグ発展へ
 地方リーグとはいえ、スカウティングや戦略面など情報格差がなくなりつつある近年のフットボールでは19連覇は異例だ。「自分たちの代で、連覇を止めるわけにはいかない」(永田主将)と、並々ならぬ重圧の中でリーグ戦に臨んでいることも強さの秘密かもしれない。一方で、09年から始まった全日本大学選手権では、2-55(名城大)、6-46(南山大)、0-38(中京大)と東海学生に3連敗。北陸学生アメリカンフットボール連盟の松井俊宣理事長は「金沢大にもっと迫るチームが出て、やっと優勝できるくらいになれば、リーグ全体が強くなるのだが…」と話す。
 学生日本一を決める甲子園ボウルに直接つながるトーナメント戦の創設は、北陸をはじめ、北は北海道から、南は九州まで地方学生の悲願だった。ただ、トーナメント戦のレベルは、関西・関東学生リーグ戦と比べ見劣りすると言わざるを得ない。各地方リーグが活性化し、甲子園ボウルに地方大学が出場する日を心待ちにしている。(福井新聞社 近藤洋平)


【近藤洋平(こんどう・ようへい)のプロフィル】
 1976年生まれ。北海道大学卒。2000年福井新聞社入社。編集局社会部などを経て、メディア・システム局で電子サービス「福井新聞fast(ファスト)」を担当。大学からアメリカンフットボールを始め、在籍時は北海道4連覇、北日本3連覇。2年時に地方大学リーグによる地区対抗王座で福岡大を破り優勝。現役時のポジションはオフェンスライン。

【写真】再三、ゴール前インチまで迫った福井県立大QB高橋=写真提供:福井新聞社