標高1200メートルを越える清里高原では、すでに朝の気温が氷点下になる日もちらほら。八ヶ岳の山頂のうっすらとした雪化粧と山すそに広がる紅葉を楽しみながら、季節の移ろいを感じています。


 皆さんのグラウンドでの練習の環境も変わってきていることでしょう。食事もそろそろ温かいものが食べたいシーズンになりますね。
 肉や魚、豆腐や野菜をたっぷり入れた鍋や、野菜や肉をコトコトと煮込んだスープが体を温め、原動力となるでしょう。


 炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルを「五大栄養素」といいますが、ご自身の体に見合ったバランスでこれらを摂取しいていれば、理想的な食生活といえます。
 しかし、アスリートは運動強度が高い分、必要なエネルギー量(主に糖質でまかなうもの)は高く、筋力強化など体作りをするときには、エネルギー量に加えてたんぱく質をより多く必要とします。
 一方、減量が必要なときは食事からのエネルギーや栄養素の目標摂取量を特別に設定する必要があります。


 2003年に国際オリンピック委員会(IOC)は「スポーツ栄養に関する公式見解」(注1)を公表しています。
 中でも毎日の食生活に参考にすべきは、糖質とたんぱく質の摂取量ですが、アスリートのエネルギー消費量、必要な筋量はその種目によって違いますので①筋力・瞬発系のアスリートと②持久系のアスリートに分類されて考えられています。


 また、選手には男女比、基礎代謝量、年齢などの違いがありますので、体重1キロ あたり、一日に必要な糖質(炭水化物)量、たんぱく質量が設定されているのです。


 例えば、アメリカンフットボールの選手はマラソン選手のような持久力を必要とはしませんので、ポジションによる違いはあるにせよ、摂取目安量は大まかに体重1キロ あたり糖質7グラム、たんぱく質2グラムくらいで設定するといいのではないでしょうか。これはあくまでも私の個人見解であり、一つの目安としていただきたい数値です。
 具体的に体重90キロの選手であれば、一日の摂取推奨量は糖質約630グラム、たんぱく質約180グラムとなるわけです。


 例えば、おにぎりを100グラムのご飯で握ったとします。ご飯100グラムには糖質が37・1グラム含まれているので、一日の糖質摂取推奨量630グラムにするためには、100グラムのおにぎりが約17個分ということになります。
 もちろん、一日でおにぎりばかりというわけにはいかないので、パンやうどん、パスタなど、自分の食べやすい炭水化物を積極的に取り入れるようになりますね。ちなみに6枚切りの食パン1枚で糖質約28グラム、乾燥パスタ100グラムで72・2グラムの糖質を含みます。


 朝食に食パン2枚、お昼におにぎり3個、夜にパスタ大盛り一人前を食べたら、糖質は202・4グラム摂取したことになります。これでようやく必要量の約30%を達成です。


 一方、たんぱく質はどうでしょうか。アスリートのたんぱく源として重宝されるのは、鶏肉のささみ、胸肉、豆腐、卵などですが、ささみは1本約60グラムとして、たんぱく質含量は13・8グラムです。
 鶏胸肉(皮なし)で一枚約250グラム、たんぱく質含量は55・8グラム、冷奴一人前の豆腐は約150グラム、たんぱく質含量は9・9グラムです。


 食品の重さの目安としておすすめしたいのが卵ですが、大まかに卵1個約50グラムと覚えると便利です。鶏卵50グラムには6・2グラムのたんぱく質が含まれます。
 これらを全部足すと、85・7グラムのたんぱく質を含むことになります。他食品に含まれるたんぱく質は、豚ロース200グラムで38・6グラム、納豆40グラムで6・6グラム、ヨーグルト100グラムで3・6グラム、鮭の切り身130グラムで28・2グラムなどとなります。


 さて、ご自身の体重で比較されて、いかがでしょうか。もし、目標の摂取量に足りないと思ったときは、三度の食事に一品ずつプラスしてください。
 鍋やシチューも具沢山に。白身魚の鍋にも豆腐やはんぺんをプラス。シチューなら肉類だけよりも豆乳や牛乳をたっぷり使えば、たんぱく質源はアップします。
 お昼も温かいうどんだけでなく、ちくわの磯辺揚げや納豆や豆を使った副菜をプラス。そして、補食(間食)も充実させて目標値に近づけます。


 いろんな食材を使って三度の食事をしていれば、おのずと五大栄養素はまかなうことができるでしょう。
 しかし、競技力に向上を求められるアスリートは、毎日の食事から摂取している糖質量(炭水化物量)とたんぱく質量にはご自身の“ものさし”を持っておかれることをお勧めします。
 増量を求められるとき、試合の直前エネルギーを必要とするとき、食べ慣れている食材をアイテムとして持っていることは、きっと良い結果につながることと思います。


<参考>
(注1)鈴木志保子,基礎から学ぶ!スポーツ栄養学、株式会社ベースボール・マガジン社、2014
(注2)食品の成分値は「日本食品標準成分表2015」から算出しています。


大柴 由紀(おおしば・ゆき)プロフィル
 管理栄養士。奈良女子大学食物学科卒業後、大阪市立環境科学研究所附設栄養専門学校で栄養士免許取得。1998年財団法人キープ協会入社。レストラン勤務の傍ら、料理に自然の恵みを表現するため、八ヶ岳の自然を大切に循環型農業で米や野菜を育てる農家との交流を深める。2000年7月キープ自然学校開校。アメリカンフットボールと出会う。公益財団法人キープ協会勤務。学校法人新宿調理師専門学校講師、日本ウエルネス学会常任理事、山梨県栄養士会理事を務めている。

【写真】豆腐のサラダ