私が勤務している職場は、山梨県清里高原にあります。標高1300メートル、南には富士山を望み、北には八ヶ岳、東は南アルプスと広大な自然の中にあります。管理栄養士として、八ヶ岳の自然の恵みである季節の食材を最大限活かしたお食事を提供するのが私の仕事です。


 そんな私が、アメリカンフットボールと出会ったのは、ここ清里、キープ協会に勤めてからです。「アメリカンフットボールの父」と呼ばれるポール・ラッシュ博士は、職場である公益財団法人キープ協会(山梨県清里)の創設者でもあります。
 日本の青少年育成のため、また戦後の復興時、清里を中心とした農村復興のために尽力したラッシュ博士の精神が、今も立教大学と清里をつないでいます。


 2000年の夏、キープ自然学校を立ち上げ、以来15年間、欠かさず「立教大学体育会アメリカンフットボール部ラッシャーズ」が夏合宿にやってきます。合宿の食事を作ることも、私の仕事の大きなウエートを占めることになったのです。
 未熟だった私が、アメフト選手の食事と向き合うようになったきっかけです。選手にとって食事の量はどのくらい必要なのか、厳しい練習の中で何が食べたいのか…。不安いっぱいの中で料理したことを今でも覚えています。


 15年間、ラッシャーズの選手の皆さんに食事の嗜好を教えてもらいながら、ここまで来たといっても過言ではありません。そして今、選手と関わる中で自分の腕を磨き、少しでも食べることがパフォーマンスの向上につながること、更に心の栄養にもつながるような食事をアドバイスできればと思います。


 スポーツ選手でも、そうでない方でも、どんな方でも「食べる」ことは毎日の出来事です。毎日の積み重ねが、自分の体を作り、健康を保ちます。
 でも、場合によっては健康を害してしまうこともあります。どうか食べることが毎日の楽しみとなり、毎日の糧になればと願ってやみません。


 さて、11月に入り、おいしい新米が食べられる季節になりました。「白いごはん」は栄養の側面から見れば炭水化物で、人間の体のエネルギー源となることは周知の事実ですが、毎日の生活でどのくらい食べるのかがポイントです。一般的には、一日の摂取エネルギーの60%が適切といわれています。


 今アメリカンフットボールはリーグ戦後半。試合はさることながら、緊張を伴う練習も重なっていることでしょう。
 徐々に気温が下がってきていることもあり、爆発的にエネルギーを必要とすることが多いのではないでしょうか。最も基本的なことですが、再度振り返ってみてください。


 もし、今「エネルギー切れ」を感じるときは、その都度の補給が必要です。練習開始時に空腹感があるようではNG。練習が始まる1時間半前には、ごはんや麺、時にはパン、バナナなどでエネルギーを蓄えておく必要があります。
 練習途中でのアメやチョコレートも効果的です。練習直後、おなかがペコペコなら、すぐにおにぎりやバナナ、栄養補助食品で補給します。スポーツはけがと隣り合わせです。エネルギーを保つことは集中力にもつながりますので、けが防止にも役立つはずです。


 スポーツ選手に限らず「早寝、早起き、朝ごはん」といわれます。この“朝ごはん”は、以上の理由からもご理解いただけることでしょう。大切な授業や仕事が始まるとき、「お腹がすいている」ようでは集中できませんよ、ということですね。


 食事は毎日の積み重ね。必ずや自分の糧となるでしょう。そんなコラムを、続けさせていただければと思います。どうぞこれからもお付き合いください。


 大柴 由紀(おおしば・ゆき)プロフィル
 管理栄養士。奈良女子大学食物学科卒業後、大阪市立附設栄養専門学校で栄養士免許取得。1998年財団法人キープ協会入社。レストラン勤務の傍ら、料理に自然の恵みを表現するため、八ヶ岳の自然を大切に循環型農業で米や野菜を育てる農家との交流を深める。2000年7月、キープ自然学校開校、アメリカンフットボールと出会う。現在公益財団法人キープ協会勤務。学校法人新宿調理師専門学校講師、日本ウエルネス学会常任理事、山梨県栄養士会理事を務めている。

【写真】自然学校のごはん。清里産虹鱒の塩焼きと季節の野菜