当時Xリーグ普及委員だった私は、「Xリーグファンの集い」というイベントを企画中だった。
 一緒に普及委員をやっていた当時シーガルズの代田昭久氏(現・佐賀県武雄市教育監)や山谷拓志氏(のちのリンク栃木ブレックス代表)の後押しで、ファンの集いの前に「鈴木弘子アメリカプロリーグ参戦記者会見」をやることになった。


 その時に集まってくださった記者の一人に「ビザの種類は?」と聞かれた。「日本人はビザはいらないのでは?」という私の認識に、記者さんから、「3カ月以上の滞在だと必要ですよ」と言われ、帰宅後すぐにウィメンズ・プロフットボール・リーグ(WPFL)のオーナーにメールで問い合わせた。


 リーグの方もあまり情報を持っていないようようで、オーナーから「だったら、フロリダのチームにしたらいい。チームのオーナーが弁護士だし、フロリダのデイトナビーチは安全な地域だ」という返信が来た。
 WPFLは2000年の初年度のみ、リーグ主催トライアウトと各チーム主催のトライアウトがあった。
 私が受けたのが、たまたまリーグ主催のトライアウトだったので、それに合格すると希望するどのチームにでも行けるシステムだった。オーナーの一言で、私は「デイトナビーチ・バラクーダス」に行くことにした。


 そして、チーム決定後は、チームオーナーと連絡を取り合うことになった。彼女は、ミネソタの弁護士で、引退後は、暖かい土地に住んで、フットボールチームのオーナーになることが夢だったという。
 女子プロリーグ創設のニュースを聞いてすぐに、オーナーになる権利を買ったとのことだった。


 アメリカには、オーナーになりたい人、選手になりたい人、コーチになりたい人、トレーナーになりたい人がわんさといる。残念なことに、「女子アメフトを見たい」という人だけが、なかなかいないのだ。


 最初は、このアメフトに心底惚れ込んだオーナーの下、全てがうまくいくような気がしていた。しかし、彼女はビザにトライしている様子はあるものの、作業が進んでいる様子がなく、同じような質問メールが何度も来る。
 らちがあかないので、英語のできる友人に電話してもらったところ、彼女が離婚専門弁護士であったという事実が判明する。そして彼女は「とりあえず、来てくれればアメリカで取るから」と言っていると説明された。


 誰に聞いても「日本で取らなくちゃ駄目だよ」と言うのだけど、日にちは迫ってしまい、ビザを取らないまま、アメリカに向かうことになった。
 不安のままの出発、アトランタで乗り換えて、ディズニーワールドで有名なフロリダ州オーランドへ向かう。
 意気揚々、無事オーランドに到着! しかし、ここでまたまた信じられない現実に遭遇することになる。

【写真】米国挑戦を表明した当時のベティさん=2000年