常緑の芝生の上で躍動する「青」と「臙脂」のコントラストが、とても新鮮だった。


 12月18日に阪神甲子園球場で開催された「第71回甲子園ボウル」。2016年度の学生日本一を決める大一番は、関西学院大学と早稲田大学という、大会史上初めての顔合わせとなった。


 2年ぶりの王座奪回に燃える青の関学。一方、初優勝を目指す2年連続4度目の出場の早大は、お馴染みの臙脂がチームカラーだ。
 見にくいという声もあるが、会場の何とも言えない雰囲気は野球のスタジアムならではと言っていい。キックオフが近づくにつれて一、三塁側のアルプススタンドが、スクールカラーでくっきりと色分けされていく。


 早大のキックオフで始まった試合は、第1クオーター9分34秒に、関学がQB伊豆の11ヤードTDランで先制する。
 「みんながいいブロックをしてくれたので、あそこはただ走るだけでよかった」。伊豆はこう振り返った。


 早大も負けていない。4分後にRB北條の4ヤードTDランで追いつく。鉄壁の関学守備陣を攻略してロングドライブを完成させた、見事なオフェンスシリーズだった。


 しかし、ここから試合の流れは関学に傾く。決定的だったのは第2クオーター12分20秒。一時ベンチに下がっていた主将のLB山岸に代わって出場していたLB山本が、ゴール前で早大QB笹木のパスをインターセプト。そのままエンドゾーンまで持ち込んだ。
 勝った関学の鳥内、敗れた早大の濱部両監督が試合のターニングポイントに挙げたビッグプレーだった。


 「僕の代わりに出た山本が、素晴らしいプレーをしてくれたのがうれしい」。年間最優秀選手に贈られる「チャック・ミルズ杯」を受賞した山岸は、同じ4年生の控え選手の活躍をわが事のように喜んだ。


 昨季関西学生リーグで2位に終わった関学にとって、この一年は「打倒立命大」がチームの目標だった。
 今季、リーグ最大のライバルである立命にリーグ戦と西日本代表決定戦で2度勝ったことで「正直なところ、僕自身も含めて気が抜けたところがあった」と山岸は言う。


 一度達成感を味わってしまうと、さらにもう一度気を引き締めて新たな目標に向かって動き出すのはなかなか難しい。今回の「ファイターズ」がまさにそうだった。


 最終的な目標はあくまでも「社会人に勝って日本一」。その前に負けるわけにはいかない関学は、高度で奇抜な戦術を駆使して対抗する関東の覇者・早大を相手に覚醒する。
 DB小池の狙い澄ましたインターセプトに象徴される、終盤に見せた守備陣の高い集中力は、まさにそうした思いから生まれたものだった。


 「僕みたいな人間は、一人でうまくやろうとしても駄目。試合に出られない選手、裏方で頑張ってくれているメンバーすべてが、それぞれ違う役割を果たしてこそ日本一は見えてくる」
 部員223人の大所帯をまとめるリーダー役として、山岸は試行錯誤を繰り返しながらその思いをいつも発信してきたという。


 「こういう大きな試合では、ちょっとしたミスが勝敗を分けるんですね」。濱部監督の言葉は、そのまま来年1月3日の日本選手権(ライスボウル=東京ドーム)で、社会人王者の富士通と日本一を争う関学に当てはまる。


 苦戦が予想される決戦までの2週間で、どんな準備をしてくるのか。
 いつものことながら、何かをやってくれそうな関学というチームには、周囲をワクワクさせる不思議な魅力がある。

【写真】甲子園ボウルで2年ぶり28度目の優勝を果たし、喜びを爆発させる関学大の選手たち