失意の敗戦から5カ月。関学大の4回生エースQB伊豆充浩は、どこか吹っ切れたような表情をしていた。丸刈りだった頭髪が伸びて、幾分イメージが柔らかくなったからだろうか。
 最上級生という自覚がそうさせるのか、言葉を選びながら冷静に淡々と大学最後のシーズンに臨む心構えを語ってくれた。


 5月1日、神戸・王子スタジアム。春恒例の東のライバル日大との定期戦で、伊豆はノースーツでサイドラインに立っていた。
 4月の日体大との試合で負傷し、大事を取ってこの日は出場を見合わせた。2番手の2回生QB光藤航哉も故障していて、関学大は急きょ、3月にQBからWRに転向したばかりの3回生、百田海渡を司令塔としてフィールドに送り出す。


 高槻高校時代にQB経験のある百田は2TDパスを決めるなど、宿敵を相手にチームを勝利に導いた。スコアは23―10だった。


 「サイドラインで後輩が活躍するのを頼もしく見ていた反面、焦りもあった。自分はもっと頑張らなあかんと思った。そういう意味ではいい日だった」。伊豆は正直にそう言った。
 鳥内秀晃監督をはじめ、チーム関係者の誰もがエースは伊豆であることを認めているが、本人は可能性を感じさせる後輩のプレーに気が引き締まったという。


 昨年の11月22日に、大阪・ヤンマースタジアムで行われた立命大との関西学生リーグの優勝を懸けた一戦。関学大は27―30で屈し、チーム史上2度目の甲子園ボウル5連覇の夢を断たれた。


 エールの交換、スタンドのファンとの校歌斉唱の間、伊豆は肩を震わせ、表情は憔悴しきっていた。
 「去年は、すごく悔しい思いをした。立命戦が終わった後、何も記憶がない日が続いた。そして自分一人では勝てないこと、チームメートの大切さをあらためて知った」という伊豆は、「4回生になって、QBとしてチーム全体を動かすことが僕の役割だと思う」と話してくれた。


 今、最も重要視しているのはフィジカル面の上積みだそうだが、なかなかうまくいかないとジレンマを感じている。
 「立命に負けてから、時間がたつのは早かった。やるべきことがたくさんある中で、一つずつクリアしていくつもり。それも目標はあくまでも高く、というのが前提にある」


 箕面高校時代からつけていた、愛着のある「6番」は今年で3年目。「自分がうまくなることでチームは強くなる。僕らが目指す『打倒社会人』を成し遂げるためには、今のままでは駄目。チームとして、もっとえげつない集団にならないといけない」と話す。


 関学大は6月に、国際交流の一環として単独でメキシコに遠征し、強豪のメキシコ国立自治大との親善試合を予定している。


 体力面で上回る相手との対戦を控え、伊豆は「メキシコでの試合は大切なものになる。立命、社会人という高いフィジカルを誇るチームに対抗するという意味で、いい経験になる」。ファイターズのエースQBとして2年目を迎えた伊豆は、海外での試合を楽しみにしている。(敬称略)

【写真】「KGファイターズ」のエースQBとして2年目を迎えた伊豆充浩=5月1日、神戸・王子スタジアム