南国・沖縄特有の強い日差しを浴びながら、選手とスタッフがグラウンドで車座になって意見を述べ合っていた。「琉球大スティングレイズ」は今シーズン、初めて九州学生アメリカンフットボール1部リーグに昇格した。8月24日の開幕戦。結果は、優勝候補の九大に0―40で大敗。選手登録数35人のチームは、初戦で力の差を見せつけられた。


 「自分たちは今まで何をしてきたのか」―。上級生、下級生に関係なく、取り組みの甘さを指摘する声が相次ぐ。暑さを考慮して早朝から始まる練習は、アップに入る前の約2時間半を、炎天下でのミーティングに費やした。諸見謝友哉主将(RB、LB)は「本気になり切れていないのが初戦の点差になった。取り組む姿勢を変えられなかったのは自分の責任」と、声を絞り出した。


 厳しい言葉で反省を促した後、学生のやり取りをじっと見ていた服部敦監督(48)は、指導理念をこう語る。「自己評価が甘い。自分たちを、客観的に評価できるかが問題。勝ち負け以外の取り組みの部分で、しっかりやっていかないといけない。それを教えるのが学生生活の指導に携わる、われわれ大人の責任」。OBたちの協力も必要だという。「そうした支援がなかなかない。そこが一番うちの弱いところ。毎年一からチームを作り直すのが現状」と話す。


 琉球大アメリカンフットボール部は、医学部の学生を中心に1987年に創部。活動は沖縄県内の米軍基地の高校などとの交流戦が中心だった。2008年に初代監督に就任した服部監督は、法大時代は同好会でTE、DB、琉球大大学院ではDEとしてプレーした。「体の大きなアメリカ人に、玉砕戦法で向かっていった」と、当時を懐かしそうに振り返る。


 チームは09年に九州学生連盟に準加盟、10年には正式加盟し、昨シーズンは2部リーグで全勝優勝、入れ替え戦にも勝ち念願の1部リーグ入りを果たした。
 国立大学の宿命で、学校から出る補助金は年間10万円。遠征などにかかる費用は、学生が飲食店やコンビニのアルバイトで稼いだお金で賄う。「恵まれない環境だからこそ、時間を無駄にせず、自分を大切にしてほしい」と服部監督は言う。


 チームは2年前から頼もしい人材を得た。河合雄輝コーチ(29)。名門・関西学院で中学から大学まで選手として活躍していた河合コーチは、勤め先の転勤で沖縄にやってきた。05年度卒業の河合コーチは大学時代、関学史上初めて1年から4年まで一度も甲子園ボウルに出場できなかった学年だ。悔しい思いを胸に、社会人になってからもXリーグのアサヒ飲料などでLBとしてプレーした。
 けがをして不完全燃焼だったこともあり、沖縄でも選手を続けるつもりだったが、社会人がプレーする環境が整っていなかった。そこで沖縄で唯一活動している琉球大とコンタクトを取ったところ、コーチとして参加することになったという。


 「関西や関東にいたらコーチにはならなかったと思う。これも何かの縁ですね」。河合コーチは、爽やかな笑顔でこう語る。日本一を目指していた自らの学生時代とは違い、今の目標は1部リーグ残留だ。「とにかく気迫だけはどこにも負けないチームにしたい」と河合コーチ。コーチとしてのやりがいを問うと「沖縄唯一のチームなので、琉球大が残した結果が、すべて沖縄のアメフトの歴史になる」。
 琉球大の次戦は9月8日、相手はリーグ4連覇を目指す王者・西南学院大。「島人(しまんちゅ)」の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

【写真】今季から初めて九州学生リーグ1部に挑戦する琉球大スティングレイズの選手たち=8月31日沖縄県中頭郡西原町