関東学生アメリカンフットボール連盟が、2014年から現行の16校を各8校のA、Bブロックに分けてリーグ戦を実施している1部リーグを、1部の上位と下位の各8校が別々にリーグ戦を行うとするリーグ再編を発表した。


 上位の優勝校を全日本大学選手権の関東代表として出場させるという。そこには、大学日本一を決める「甲子園ボウル」で関西勢になかなか勝てない状況を打破したいという、連盟幹部のジレンマが見え隠れする。各連盟の取り組みなどを織り交ぜて、学生アメリカンフットボールの現状を紹介する。


 ▽大所帯ならではの悩み
 関東連盟には、全国にある8連盟の中で最も多い96大学が加盟している。1部リーグを8校で編成する関西学生リーグと比べ、シーズン序盤は1部の試合でも大差がつく試合が少なくない。実力が接近したチームが、緊張感のある試合を数多く経験することで、甲子園ボウルに勝てるチームを送り出したいというのが、リーグ再編の狙いだ。


 もともと、関西の優勝校が関東の優勝校を招く「招待試合」として始まった甲子園ボウルでの関東勢は1950、60年代は立大、70、80年代は日大、90年代に入ると法大を中心に関西の優勝校としのぎを削ってきた。
 その頃にも、消化試合のようなものはあったが、最近のように甲子園ボウルで「西高東低」が長く続くことはなかった。「覇権奪回」に向けたリーグ再編案は、関東連盟の中では常にくすぶっていたといえる。


 甲子園ボウルの主催者である、毎日新聞社運動部の飯山太郎記者の記事を引用させていただく。大学時代にフットボールのプレー経験のある飯山記者は、8月25日付の紙面でこう解説している。【甲子園での敗北が続く中、関東学連内にも「関東も一つのリーグで強豪校が切磋琢磨(せっさたくま)し、力をつけないと関西には勝てない」との意見が出ていた。だが、一方で各チームには「『1部』というだけで大学側から選手獲得のための推薦枠がもらえる」などの声もあり、意見集約には時間を要した。】紆余曲折を経て、今回の発表に至った経緯がよく分かる。


 ▽関西の「アメリカン」は人気抜群
 関西ではアメリカンフットボールのことを「アメリカン」という。駆け出し記者時代の5年間を、大阪で過ごした。驚いたのはその人気で、野球やラグビーを押しのけて、学生スポーツとしては注目度ナンバーワンである。その状況は、今も変わらない。
 スポーツ紙はもちろん、一般紙もリーグ戦の結果は写真付きで取り上げる。関学と京大の対戦は、関東の「早慶戦」に匹敵し、90年代から急速に台頭した立命大、古豪・関大など、群雄割拠の状況で、リーグ戦は盛り上がりを見せる。テレビで放送される試合も、関東では考えられないほど多い。スタンドは、ほとんどの試合がファンでいっぱいだ。


 人気にあぐらをかかない、いわゆる〝企業努力〟も見逃せない。私が関西のフィールドを取材していた当時、関西連盟の理事長をしていた関学OB古川明さんの精力的な活動が思い出される。
 古川さんは試合が終わると、スコアシートに自ら書き込み、ファクスで報道各社に速報する。記者席を最後の取材者が出るまで、あらゆる質問に答える。時には記者を誘って居酒屋で「第5クオーター」といった具合で、「われわれは、皆さんに書いてもらってなんぼですから」が口癖だった。関西リーグの隆盛は、こうした連盟幹部の努力のたまもの、と言っていいだろう。


 ▽九州は関西をモデルに
 久留米大の元商学部長で九州連盟の石内孔治理事長は、アメリカンフットボールを「美球」と呼び、リーグの発展に尽力している。久留米大は韓国のソウル大と独自に定期戦を組むなど、国際交流にも力を入れている。
 地元テレビ局は毎年1、2試合を地上波でリーグ戦を放送するなど、関西をモデルにリーグを運営している。西南大、福岡大、九大の指導者はXリーグや関西1部校出身者らをコーチに呼び、甲子園ボウルへの道が開けてからは、チーム強化に一層力が入っている。


 ▽ポテンシャル秘めた東海地区
 名城大は、槇野均監督が82年に就任して以来、常に上位を狙えるチーム作りをしている。槇野監督は日体大、シルバースター(現アサヒビール)での選手時代は、守備ラインとして活躍。日大の故篠竹幹夫監督から「関東のグリズリー」というニックネームをもらい、指導者としての薫陶も受けた。

 名城大と覇権を争う中京大は、五輪選手を多数輩出している、スポーツの名門。打倒関西だけにとどまらず、全国制覇も視野にチームを強化しているだけに、楽しみな存在だ。

【写真】2011年、甲子園ボウルで最多24度目の優勝を果たし、スタンドの声援に笑顔で応える関学大の選手ら