全米大学体育協会(NCAA)のフットボール部門、ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)は第7週を迎え10月13、14両日を中心に米国各地で激戦を繰り広げた。
 この週はランキング校同士の「大一番」はなく、ビッグ10のペンシルベニア州立大、大西洋岸リーグ(ACC)のバージニア工科大、独立校のノートルダム大の3校がそれぞれお休み。ベスト25勢が登場したのは22試合だった。


 前週はランク外のチームがランク校を倒した試合が五つあり「ランキング校受難の週」などと騒がれたが、今週もそのあたりは同じようなものだった。
 これを「番狂わせ」とすると、7試合もの波乱が起きている。その中での最大の番狂わせといえば、やはり昨年の覇者で今季は2位につけていたクレムソン大が、ACCのリーグ戦でシラキュース大に24―27で敗れたゲームだろう。


 10月に入るとすぐ、気の早い報道関係からは昨季の選手権決勝の再現を語るものが見られたほどだったが、それが一瞬にして消え去った。


 ニューヨーク州シラキュースのキャリアドームにクレムソン大を迎えたシラキュース大は、王者と互角の勝負を繰り広げた。
 シラキュース大の先取点で始まり、クレムソン大が取り返すという展開で、試合が終わるまで、交互に点を取り合った。珍しい展開で、1TD以上の差が一度もつくことのない緊迫した状態が最後まで続いたのである。


 断定はできないが、攻撃力の差が明暗を分けたようである。とりわけシラキュース大はQBのエリック・ダンジャーが本領を発揮し、パスを33本投げて20本成功、278ヤード、3TDを記録した。ランもよく進み、トータルで440ヤードと、317ヤードのクレムソン大を上回った。
 一方クレムソン大はQBケリー・ブライアントが前半終了間際に負傷したのが響いた。


 シラキュース大は第4Q9分45秒、コール・マーフィーが30ヤードのFGを決めて27―24とリードした。意外にもこれが決勝点となった。
 残された時間から見て、まだまだ一波乱も二波乱もと思われたが、クレムソン大はブライアント不在の攻撃陣が力を発揮できないままに終わった。
 選手権試合の輝かしい2勝を含む、昨年からの連勝は11を数えていたが、これもストップした。


 大西洋で波風が立ったのに応じて、太平洋側でも波乱が起きた。太平洋12大学のリーグ戦でランク5位のワシントン大がランク外のアリゾナ州立大に7―13と足をすくわれたのである。
 ここ1、2回、私にとって気になるチーム、意識するチームがあるなどとつぶやいてきた。実はこの日の立役者アリゾナ州立大は、指折りの気になるチームなのである。


 ほかでもない。1971年のロッテのアリゾナキャンプに記者として同行した折に、アリゾナ州立大のコーチをしておられたビル・カジカワ氏と面識を得て、オフではあったが何かと本場米国についての興味を満足させていただいた思い出があるからなのだ。


 アリゾナ州テンピのサンデビル・スタジアムと聞くと、東西に山をバックにしたというより、いつ岩をバックにした、いかにもアリゾナらしいスタジアムのことが目に浮かぶ。
 アリゾナ州立大は1978年、アリゾナ大とともにこのリーグへ加入し、のちにユタ大、コロラド大の参加を見て太平洋12大学という現在の形が出来上がった。
 優勝経験も何度かあり、リーグの一員として決して恥ずかしくない存在だった。


 この日アリゾナ州立大は第1Q5分29秒、TBアレン・バラ―ジュの1ヤードの突進で先行。第2Qに入ってすぐ、1年生のブランドン・ルイースが52ヤードのFGを決め、さらに5分46秒には25ヤードからのFGを加えて13―0と優位に立った。


 両校とも守りに守った試合で、第3Qは互いに無得点。ワシントン大にとっては前半に許した13点が重くのしかかった不本意な展開だった。
 第4Q5分38秒、ようやくQBジェイク・ブラウニングの1ヤードのランで7点を返したものの逆転には至らなかった。


 勝負を分けたのはFGの成否だったようだ。結果論めくが、アリゾナ州立大が3回蹴ってそのうち2本を決めたのに対し、ワシントン大は控えのレッドシャツの1年生バン・ソダーバーグが、第3Qに27ヤードのと21ヤードの短いFG2本をともに失敗し、無得点に終わったのは痛かった。


 番狂わせをもう少し書いておく。太平洋12大学では8位のワシントン州立大がカリフォルニア大に3―37と大敗。SECではルイジアナ州立大(LSU)が27―23で10位のオーバーン大に競り勝った。
 もっともLSUは開幕時にはランキングに名を連ねていたのだから、番狂わせ扱いは当たらないかもしれない。


 山岳西部連盟(MWC)では、ボイジー州立大が19位サンディエゴ州立大を31―14で下した。   ビッグ12ではウエストバージニア大が46―35で24位のテキサス工科大を倒し、アメリカン体育連盟(AAC)ではメンフィス大が25位の海軍士官学校に土を付けた。

【写真】シラキュース大守備陣の激しいタックルを受けるクレムソン大WRレンフロー(13番)(AP=共同)