週を重ねるごとに盛り上がりを見せる全米大学体育協会(NCAA)フットボール部門のボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)は第3週を迎え9月15、16日の両日、全米各地で熱戦を繰り広げた。


 ランキングに名を連ねる有力校は、全チームがゲームを予定していたが、前週上陸したハリケーンの影響で、ランク11位のフロリダ州立大と、同17位のフロリダ州のマイアミ大の試合が中止された

 両校が所属する大西洋岸リーグ(ACC)の優勝争いを左右するカードだけに、どこへ組み込むか難しいところだ。


 ACCのもう一つのビッグゲーム、3位のクレムソン大と14位のルイビル大のランク校同士の対決も注目された。
 昨季の全米チャンピオンと、ハイズマン賞に輝いたQBラマー・ジャクソンが率いる攻撃陣との激突という、きわめて珍しい組み合わせとなったからである。


 結果は王者クレムソン大が、ルイビル大を47―21で退けた。卓越した個人の力が勝敗に大きく影響するケースは、この世界では決して珍しくはない。
 しかし、その能力が発揮される場を、チームが用意できるどうかはまた別問題である。その意味から、ジャクソンに仕事をさせなかったクレムソン大が一枚上手だった。


 クレムソン大は第2Qから攻守ともに本領発揮。連続26得点するとともに、ジャクソンを抑え込んだ。
 とりわけ、昨季のエースQBデショーン・ワトソンの後任に指名されたケリー・ブライアントが、パスで32本中22成功、316ヤード、1TDをマーク。自らのランでも2TDを加えて見事抜擢に応えた。


 もう一つのランク校同士の対戦は南東リーグ(SEC)の好カード、23位のテネシー大と24位のフロリダ大の顔合わせ。
 あきれるほどの低得点ゲームで、第3Qを終えてフロリダ大が6―3とリードしていた。ところが第4Qに入ると途端に激しい点の取り合いになる。


 残り53秒のテネシー大のFGで、20―20となって延長戦やむなしの空気がスタジアムに漂い始めた。
 キックオフもタッチバックでフロリダ大の25ヤード線。ところがここからフロリダ大の反撃が始まった。


 レッドシャツの新人QBフェリップ・フランクスが短いパスや自らのランで12ヤード前進した。ダウンは更新したものの、残り時間は乏しかった。
 フランクスはちゅうちょなく、WRタイリー・クリーブランドに左のライン際を走らせた。運を天に任せる「ヘイルメアリ」のパスは、ゴールラインぎりぎりでクリーブランドの腕に。クリーブランドがそのままエンドゾーンに転がり込んで試合終了。フロリダ大は26―20で劇的な勝利を手にした。


 一方が勝ち、一方が敗れるランク校同士の決戦とは別に、この週はランク校がランク外のチームに次々と敗れ、その数は実に4校に達した。
 上位から見ると、まずはSEC。ランク12位のルイジアナ州立大(LSU)がミシシッピ州立大に7―32と完敗した。


 地元ミシシッピ州スタークヒルにLSUを迎えたミシシッピ州立大は、第2Q残り7秒、QBニック・フィッツジェラルド自らが3ヤードを突進して17―7と差を広げた。これが明暗を分けた。
 ミシシッピ州立大は後半、勢いに乗って20点を加える一方、LSUの攻撃陣を封じ込んだ。


 SECといえば、テネシー州ナッシュビルのバンダービルト大も、ランク18位のカンザス州立大(ビッグ12)に14―7と土を付けた。


 カリフォルニア州サンディエゴでは山岳西部連盟(MWC)のサンディエゴ州立大が、ランク19位の太平洋12大学のスタンフォード大を迎え撃って、20―17と白星を挙げた。
 サンディエゴ州立大としては、前週のアリゾナ州立大との試合に続いて、太平洋12大学勢に連勝である。


 決勝TDは13―17で迎えた残り時間54秒、QBクリスチャン・チャプマンからTEデビッド・ウェルズへ放ったパス。ゴール前3ヤード地点でこのパスを受けたウェルズは、タックラーをはねのけ、体を伸ばしてTDを挙げた。


 APランキング25位、太平洋12大学のカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)をテネシー州へ迎えたメンフィス大も、地元に晴れがましい姿を披露することが出来た。
 試合は得点しては取り返される、攻撃力がまさった内容。メンフィス大は41―38で第4Qを迎えたが、UCLAにすぐさまTDされた。
 しかしその直後の10分1秒、QBリリー・ファーガソンがゴール前3ヤードからWRフィル・メイユーへTDパスを投げて、48―45と逆転した。メンフィス大はこの残り時間を守りに守って貴重な勝ちを手にした。
 こうした番狂わせはいずれも「地の利」の勝利だった。


 このほかランク4位で太平洋12大学の優勝候補の南加大が、ビッグ12のテキサス大と対戦。延長2回の末、新人のキッカー、チェース・マクグレースの43ヤードのFGで27―24と勝利をつかんでいる。


 テキサス大はランク外とはいえ、カレッジフットボールの歴史を彩ってきた名門中の名門校。あわや南加大も、この日5校目の「番狂わせ」の憂き目に遭いかねない試合だった。


 首位アラバマ大(SEC)、2位オクラホマ大(ビッグ12)、5位ペンシルべニア州立大(ビッグ10)、6位ワシントン大(太平洋12大学)は、安定した戦いぶりで大量点をマークしている。
 やはり強いチームは強い、とも思ってしまうのである。なお、この週の結果、記者投票で3位だったクレムソン大が、17日のランキング発表で、1位票15票を集めて2位へ上がった。

【写真】テキサス大との試合で、決勝FGを決めた南加大のキッカーマクグレース(40番)(AP=共同)