2016年度の大学フットボールのレギュラーシーズンは終盤を迎えた。全米大学体育協会(NCAA)フットボール部門のボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)は大詰めである。
 いたるところで、地元や近隣の好敵手同士が歴史に彩られた伝統の一戦を催し、多くのファンが血をたぎらせた。一方FBSの10リーグのうち、地区制を採る8リーグの王座戦の組み合わせが決まった。


 王座戦を紹介する前に、やはり第13週を代表するビッグ10の好カード、オハイオ州立大―ミシガン大の伝統の一戦に触れておきたい。
 古くからある試合である。今季で113度目。「伝統の」などという言葉は、こんな試合でこそ使うべきだろう、などと余計なことを考える。その古いカードで初の延長戦が行われた。それも「2延長」の熱戦だった。


 場所はオハイオ州コロンバスのオハイオスタジアム。オハイオ州立大の本拠地である。収容人員10万を超す大きな「入れ物」が、定員を超える11万余のファンであふれ返った。
 先取点はミシガン大。第2Qに入ってすぐケニー・アレンが28ヤードのFGを決めた。一方、オハイオ州立大は前半残り4分10秒、ミシガン大のQBウィルトン・スペイトがエンドゾーンから投げたパスを、オハイオ州立大DBマリク・フッカーが16ヤード地点でインターセプト、そのままTDに結びつけた。


 だが、ミシガン大は前半残り10秒、TEのカリド・ヒルが中央を突いて逆転。第3Q半ばにもスペイトがパスをヒルへ通して優位に立った。
 オハイオ州立大は第3Q終盤のRBマイク・ウェーバーの突進と終了6秒前の23ヤードのFGで辛くも追いつき、延長戦へ持ち込んだ。


 第1延長はオハイオ州立大がQBのJ・Tバーレットの7ヤードのランでTDを挙げたが、ミシガン大もスペイトからWRアマラ・ダーボーへの5ヤードのパスで2度目の延長へ。
 そしてオハイオ州立大はFGを先取されたものの、ゴール前15ヤードからHBのカーチス・サミュエルがライン左サイドの走路を読み切って鮮やかなTDランを決めて勝負をつけた。


 王座戦は12月最初の週末に開かれる。まずは名門の南東リーグ(SEC)だが、西地区はリーグ戦8戦全勝のアラバマ大に、東地区6勝2敗のフロリダ大(ランク15位)が挑む形となった。
 この第13週、宿敵オーバーン大を30―12と退け、満票でランク1位を守ったアラバマ大としては、ここで気を抜くわけにはいくまい。連覇への重要な第一歩となる。


 ビッグ10は東地区がペンシルベニア州立大、西がウィスコンシン大となった。オハイオ州立大、ミシガン大など、どうしたのかと思う向きもあろが、ここで簡単に地区優勝の決まりなどを説明しておこう。まず対象となる成績は、リーグ戦のものに限られていることだ。


 例えば外部組織との成績を合わせて10勝2敗でリーグ戦が6勝2敗だと、同じ10勝2敗のチームでリーグ戦7勝1敗のチームには及ばない。
 リーグ戦の勝敗が同じだと、当該校の対戦成績の勝者が上位にくる。オハイオ州立大はペンシルベニア州立大と同じ8勝1敗だった。しかしシーズン半ば、ペンシルベニア州立大に敗れているため、ランキングでは上だが、東地区の1位にはなれなかったというわけである。


 太平洋12大学はこの週の成績ですんなり決まった。北地区はランク4位のワシントン大が同23位のワシントン州立大を45―17で破り、南地区は9位のコロラド大が22位のユタ大に27―22で勝って、初の地区1位を決めた。
 ともにリーグ成績は8勝1敗。ランクから見ても王座戦らしい組み合わせとなった。


 大西洋岸リーグ(ACC)はアトランティック地区がランキング3位のクレムソン大。コースタル地区はランク19位のバージニア工科大となった。
 7勝1敗のクレムソン大はともかく、コースタル地区がギリギリまで競り合った。バージニア工科大は6勝2敗だが、5勝3敗のチームが同地区に3校もひしめき情勢は際どかった。


 レギュラーシーズン中にこの1位校同士が顔を合わせていることがよくあって、その時はまた面倒な作業をしなければならないが、今年はそれがなかっただけでも「めでたしめでたし」だった。
 アメリカン体育連盟(AAC)は東地区がランク外のテンプル大、西地区がランキング20位の海軍士官学校の対戦となった。ともにリーグ戦は7勝1敗。フロリダ勢が強いところだが、今季は東部勢の健闘が目立った。


 ビッグ12は地区制を採っていないのでリーグの王座決定戦はない。偶然だがリーグ戦8戦全勝でランキング7位のオクラホマ大が、7勝1敗でランク11位のオクラホマ州立大とリーグ最終日に顔を合わせる。
 どこから見ても王座戦だが、間違いなくレギュラーシーズンのカードである。総合成績も9勝2敗同士だから、現地は盛り上がるに違いない。


 USA連盟は東が7勝1敗のウェスタンケンタッキー大。オールドドミニオン大やマーシャル大などがからんで複雑な情勢だった。
 西が6勝2敗のルイジアナ工科大で、こちらはすっきりと王座戦出場を決めた。


 中部アメリカン連盟(MAC)は西地区を制したウェスタンミシガン大がトータル12戦全勝、リーグ戦は8戦全勝で王座戦に臨む。
 アラバマ大と並ぶFBSの全勝校で、この王座戦、そしてそのあとに来るボウルゲームを土つかずのまま乗り切れるかどうかが、注目の的となっている。この週はトリド大がよく食い下がったが、ウェスタンミシガン大は55―35で逃げ切った。


 山岳西部連盟(MWC)は山岳地区がもつれたものの、その中からワイオミング大が抜け出し、早々と西部地区での首位を決めていたサンディエゴ州立大と戦うことになった。


 なお地区制のないサンベルト連盟は次週に5試合を残し、最後の順位争いを展開する。アパラチアン州立大はすでに日程を終えて首位。トロイ大とアーカンソー州立大が2位で追っている。

【写真】ライバルのミシガン大に延長戦の末競り勝ち、ファンとともに喜ぶオハイオ州立大の選手たち(AP=共同)