前週とは打って変わって静かだった。
全米大学体育協会(NCAA)フットボール部門のボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)の第12週は、米国各地でレギュラーシーズン終盤の日程を消化した、大詰めを迎えた緊張感こそ漂っていたが、結果はいたって自然だった。
選手権大会選考委員会ランキングに名を連ねる25校はこの週すべてが出場。22試合で緊迫の競り合いを繰り広げた。


 ランク校同士の「大一番」は3試合。9位オクラホマ大は14位のウェストバージニア大を56―28で退け、10位コロラド大は22位ワシントン州立大を38―24で下し、16位ルイジアナ州立大(LSU)は23位フロリダ大に10―16で苦杯を喫した。


 11月17日の木曜日、ランク5位の高順位をキープしてきた大西洋岸リーグ(ACC)のルイビル大がアメリカン体育連盟(AAC)のヒューストン大に10―36と完敗した時は、波乱の前兆かと思いもしたが、そうはならなかった。
 無論波乱はある。ランキングから言えば、太平洋12大学でオレゴン大がランク12位のユタ大を30―28の2点差で破ったケースなどがそれにあたるだろう。


 勝敗の上では番狂わせではないが、ビッグ10東地区の激しい順位争いを示すオハイオ州立大とミシガン州立大のぶつかり合いも大いに注目された。
 スコアはランク2位オハイオ州立大17点、ミシガン州立大16点。つまり1点差の勝負である。フットボールの得点の一般的な表記方法はご存知の通り。各クオーターごとの点を表記するのが普通で、ラグビー式の前後半に分けるというのはあまりない。


 試合がいっぱいあるときは、総得点を並べるのもあるが、一般の読者としては、やはりクオーターごとのをお願いしたい。
 かといってそれほど細かいものが読み取れるわけではないが、中にはそれなりに味わい深いものがある。オハイオ州立大とミシンガン州立大のスコアを並べてみよう。


 オハイオ州立大  7 3 7 0=17
 ミシガン州立大  7 3 0 6=16


 前半については特に言うことはない。問題は後半である。第3Qにオハイオ州立大が貴重な勝ち越し点を奪った。
 ミシガン州立大は点を返せぬまま第4Qを迎え、同時にオハイオ州立大の追加点を阻んで反撃のチャンスをうかがう。そして貴重な得点を挙げた。この6点をFG2本と読む人も(それもある。全面的な否定はできない)いるだろうが、ここは普通TDであろう。そしてその貴重な得点をものにしたミシガン州立大としては、まさしく勝負の分かれ目を迎えていた。


 勇躍2点のTFPを目指してスクリメージラインにつくミシガン州立大攻撃陣。これぞ正念場と勇み立つオハイオ州立大の守備陣。その結果、オハイオ州立大の守りがわずかに勝り、2点のコンバージョンは失敗に終わった。


 この第4Qの「6点」を、私は勝手にこう読み、少し胸を熱くした。
 もちろん一般論だが、キックで1点を加え、延長戦をも見据えて同点にしておく手もある。それが妥当と判断できるカードもあるし、逃げ腰といわれることもある。
 リーグの取り決め次第で、引き分けのケースもある。こうしたものを計算に入れて「2点か、1点か、0点か」をベンチは慎重に判断する。あるいは覚悟を決める。ミシガン州立大のマーク・ダントニオ監督の決断とその結果がこれだった。


 試合はミシガン州立大が先手を取ったが、オハイオ州立大はQBのJ・TバーレットがHBカーティス・サミュエルへTDパスを通して反撃。10―10の第3QにはRBマイク・ウェーバーが4ヤードのランを決めて17―10と勝ち越した。


 ミシガン州立大は第4QRBのL・Jスコットが立て続けに突進。8プレー目に1ヤードを突破して1点差に迫った。
 問題のTFPはQBタイラー・オコンナーからTEジャマール・ライルズへのパスだったが、これが不成功に終わった、というわけである。


 ビッグ12のオクラホマ大とウェストバージニア大の対戦は、調子を上げているオクラホマ大が前半で34―7と大勢を決め、そのまま押し切った。
 ランク校同士といっても、順位表作成の基準になっているのはやはり勝敗数だし、それまでのゲームでの得点と失点のバランスである。その意味では総得点498を積み重ね、336点の失点で踏ん張るあたり、リーグ首位にふさわしい数字である。


 太平洋12大学の大一番はコロラド大とワシントン州立大が取りつ取られつの激戦を演じた末、コロラド大が第3Qから試合終了まで連続3TDを奪って快勝した。
 先に触れたオレゴン大とユタ大も同様の点取り合戦。第4Q終盤のユタ大QBトロイ・ウィリアムズのTDパスで勝負ありと見えたが、オレゴン大は終了直前、QBジャスティン・ハーバードがWRダーレン・キャリングトンへ17ヤードのTDパスを通して30―28とした。


 南東リーグ(SEC)では東の地区首位争いが激しい。フロリダ大がLSUに16―10と粘り勝ったのもそのうちの一つだったといえる。
 フロリダ大は第3Q、QBオースティン・アップルビーがWRタイリー・クリーブランドへ98ヤードのTDパスを決めたり、10―10とされた第4Qには15プレー8分19秒をかけたドライブの末、エディー・ピネイロが26ヤードのFG。続くキックオフで相手ファンブルに恵まれ、34ヤードのFGを追加するなど、多分につきにも恵まれて「大一番」を制した。


 なお全勝校だが、SECのアラバマ大はテネシー大チャタヌガを31―3と一蹴し10戦全勝。中部アメリカン連盟(MAC)のウェスタンミシガン大はバファロー大を38―0と完封して11戦全勝とした。

【写真】自らのランで前進するアラバマ大QBジャレン・ハーツ(AP=共同)