荒れた。大荒れだった。最終週まで残りわずかになった米カレッジフットボールは、ランキングの上位校に相次いで土がついた。
 全米大学体育協会(NCAA)フットボール部門のボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)第11週は、12日を中心に8日から全米各地で大詰めの死闘を展開。この日までランキングに踏みとどまっていた5校の全勝チームのうち、3校が今季初の敗戦を喫した。


 まず全勝校から話を進める。記者投票のAP通信、監督投票のUSAトゥデー、両ランキングと合わせて11月1日から、FBSの選手権試合の出場校を決める選考委員会のランキングが発表されるようになった。
 その上位を占めていたのが南東リーグ(SEC)のアラバマ大を筆頭に、大西洋岸リーグ(ACC)のクレムソン大が2位、ビッグ10のミシガン大が3位、太平洋12大学(Pac12)のワシントン大が4位と、上位を独占していたのはご承知の通り。


 いずれも9戦全勝。誠に納まりのいいランキングだった。5校目に中部アメリカン連盟(MAC)のウェスタンミシガン大がこれも9戦全勝で21位に名を連ねていた。
 この序列がたった1週で崩れ去った。全勝で勝ち残ったのはアラバマ大とウェスタンミシガン大の2校だけだった。


 まず地元にミシシッピ州立大を迎えたアラバマ大は51―3と一方的に勝利を収めた。QBのジャレン・ハーツが素晴らしい出来栄え。パスは37本を投げて28本を通し、347ヤードを記録、4TDを挙げた。走っては自ら11回ボールを持ち、100ヤード1TDをマークした。
 ニック・セイバン監督が同校に就任して10シーズン目。同監督の下でパス300ヤード、ランで100ヤード、計5TDの数字を残したのはハーツが初めてだった、と地元ニュースは大いに持ち上げていた。チーム成績は、トータルヤードでアラバマ大615ヤード、ミシシッピ州立大274ヤード。この試合のすべてを物語る数字である。


 もう1校、全勝をキープしたウェスタンミシガン大は、他校に先駆け8日が試合日だった。相手はオハイオ州のケント州立大。これが予想外の苦戦で、いきなり2TDを奪われ、前半終了時に辛くも1点差に詰め寄るような状態だった。
 第3Qにようやく2点のTFPで勝ち越したものの、すぐさま第4Qに追いつかれる始末。結局第4Q半ばからセフティーと2TDを奪って、37―21で白星を手にした。今思えばこの後に起こる波乱の予兆だったのかもしれない。


 12日は、クレムソン大がピッツバーグ大に42―43、ミシガン大はアイオワ大に13―14でともに1点差で敗れた。
 まずクレムソン大だが、まれにみる点取り合戦が展開された。ピッツバーグ大はQBネイサン・ピーターマンが次々とTDパスを決めて一進一退の展開に持ち込んだ。クレムソン大もハイズマン賞有力候補のQBデショーン・ワトソンのパスで反撃。前半はクレムソン大が1点差をつけて優位に立ち、第3Qの猛攻で42-34と点差を広げた。


 しかし第4Qに波乱が起きた。ピッツバーグ大は5分42秒、インターセプトからセフティーのブライトウェルが70ヤードをリターン。ゴール前20ヤードからRBジェームズ・コナーが快走してTDを奪ったのだ。
 無論同点を狙って2点のTFPに出たが、パスに失敗。このままクレムソン大の逃げ切りかに見えた。だが、ゲームを捨てぬピッツバーグ大は終了直前、パスを重ねてゴール前へボールを運び、残り6秒、クリス・ブルーイットが48ヤードのFGに成功した。相手QBの力を知り尽くした上で、あえて点の取り合いへ持ち込んだピッツバーグ大の策が当たったゲームだった。


 試合の流れから見ると、逆にアイオワ大は守り合いに持ち込んだのが勝因といえるかもしれない。ミシガン大はFGで先制し、第2Q半ばでTDを加えて優位に立った。
 しかしアイオワ大はここからセフティーの2点を皮切りに、パスでTDを挙げて差を詰めた。後半はアイオワ大が第3Q10分に逆転のFGを決めると、ミシガン大も第4Qの9分42秒、51ヤードのFGでリードを奪い返した。


 しかしアイオワ大は残り1分23秒からランを重ねてミシガン大ゴール前へ迫り、残り3秒、キース・ダンカンが33ヤードの決勝FGを決め、14―13で大きな1勝をもぎ取った。
 1点差といえば、SECではミシシッピ大がランク8位のテキサス農工大を29―28で破る番狂わせもあった。またランク外のジョージア大がランク9位のオーバーン大に13―7で勝つなど、南部では波乱が続いた。


 Pac12では、敵地シアトルに乗り込んだ南加大が第2QにQBサム・ダモールドのTDパスなどで2TDを挙げて17―6と主導権を握ったあと、点差を広げてワシントン大を寄せ付けなかった。
 ランク校同士の対戦として注目されたカードで、スコアも南加大26―13とさほど大差がついたわけでもなかったが、内容は一方的。とりわけ南加大の守備陣が目覚ましく、ワシントン大のダウン更新をわずか13、トータルを276ヤードに抑え込み、さらにパスを2本奪うなど、守りで圧倒した。

【写真】TDを挙げチームメートに祝福されるピッツバーグ大のTEスコット・オルンドフ(AP=共同)