全米大学体育協会(NCAA)のフットボール部門の第3週が終わった。
 毎週、まじめにフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)と長ったらしいタイトルを書き続けてきた。そして今回はこの連載開始以来初めて、もう一つの略称FCSが姿を現すことになった。FCS、つまりフットボール・チャンピオンシップ・サブディビジョン(旧1部AA)の見出し部分への登場である。


 単刀直入に言うと、1部AAのノースダコタ州立大がビッグ10の、それも記者投票のランキングで13位、監督投票では11位のアイオワ大に、23―21で逆転勝ちする歴史的大番狂わせを演じたからにほかならない。
 念のため申し上げる。単にFCSのチームがFBSのチームに勝ったからではない。この週の全米ベスト25に推されているランク校を、格下の1部AA校が倒した、と読んでいただきたい。


 2年ほど前だと思うが、カレッジフットボールの試合の組み方について、リーグ戦以外のカードの作り方をあこれ申し上げた。
 その中で1部Aの有力校は、1シーズンに一度、できるだけAAのチームと試合を組むよう試みていることを説明した。格下の戦力向上に資するためや、上位校の人気を利用した観客動員など、多くの目的があるからだ。


 アイオワ大はビッグ10西地区で、昨季は8戦全勝の1位となった。リーグの王座をかけてミシガン州立大と戦い13―16で惜敗、続くローズボウルではスタンフォード大に16―45で敗れたものの、年間12勝2敗の好成績を残していた。今季も西地区制覇は確実と見らる有力校である。


 ノースダコタ州立大は、19世紀終わりごろから活動を始め、1922年から約80年間2部でプレーした後、2004年からFCSへ上がり、ランキング1位の常連校として君臨している。
 所属は名門ミズーリバリー連盟(MVC)。もっとも、こうしたチームの歴史よりも、NFLフィラデルフィア・イーグルスからドラフト1巡目(全体では2番目)に指名され、新人QBとして始まったばかりのシーズンで早くも大活躍しているカーソン・ウェンツの出身校、といった方が分かりやすいかもしれない。


 同校は近年NFLの選手供給源としても注目され2014年、15年には各2人。今季はウェンツのほか、3人がプロ入りしている。
 しかし、いくら強いといっても、相手はアイオワ大。おのずとそこには限度がある。それがひっくり返った。


 ノースダコタ州立大は第1Q、ビッグ10を代表するQB、C・Jビザードのパスを奪って先取点を挙げた。
 第2Qには逆にTDパスを2本決められたが、第3QにはRBのキャム・フレージャーの1ヤードの突進で追いすがる。3本目のTDパスで再び勝ち越され、第4Q残り3分47秒、QBイーストン・スティックがTDパスを決めたがTFPに失敗し、もはやこれまでかと思わせた。


 しかし続くアイオワ大の攻撃を見事に封じ、アイオワ大ゴール前へ攻め込んだ末の残り5秒、キッカーのキャム・ペダーセンが37ヤードのFGを決めて23―21と貴重な勝ちをものにした。
 これでノースダコタ州立大はFBSのチームに6連勝。しかしベスト25に勝ったのは初めてという。勝因は堅い守りで、特に第4Q、アイオワ大を計6ヤードに封じ、大詰めのドライブをパントに追い込んだのが大きかった。


 この週はランク校同士の4試合を筆頭に、注目度の高い試合が多く、賑やかだった。ランク1位のアラバマ大は、19位17位のミシシッピ大に大量リードを許したものの、じわりじわりと追い上げて逆転。48―43でランク首位の貫禄を見せた。
 3位4位のオハイオ州立大は14位のオクラホマ大との「力比べ」をランクの順位通り45―24で制した。


 意外な結果となったのは、10位ルイビル大がフロリダ州立大を63―20と圧倒した試合。ルイビル大のQBラマー・ジャクソンがパス、ランに大活躍し、第2Q半ばから第4Q半ばまで、連続7TDを記録した。
 パスは20本中13本を決めて216ヤードの1TD。ランは自ら146ヤード、4TDを稼いだ。フロリダ州立大にとっては記録的大敗で、大西洋岸リーグでは2001年、ノースカロライナ大に59点を奪われて以来の屈辱だった。12位8位のミシガン州立大は18位のノートルダム大を36―28でかわした。


 番狂わせはランク外のカリフォルニア大が11位16位のテキサス大に50―43と競り勝った試合。22位21位のオレゴン大が、ランク外のネブラスカ大に32―35で敗れた試合など、太平洋12大学の絡むカードが目立った。


 初戦でテキサス農工大に敗れたカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)は、態勢を立て直して2勝を挙げた。
 オールアメリカ級のQBジョシュ・ローゼンも実力通りの成果を上げているが、その花形QBのセンターとして以前この連載で紹介した「ギョウ・ショウジマ」が出場選手名簿に記載されているのは立派である。背番号は「58」。


 接戦は南東リーグ(SEC)で目立ち、16位13位のジョージア大がランク外のミズーリ大に28―27で競り勝ち、20位22位のルイジアナ州立大(LSU)は23―20でランク外のミシシッピ州立大を退けた。


 ランキングはアラバマ大の首位は動かず、オハイオ州立大が2位につけ、ルイビル大が記者投票で3位、監督投票で4位と急上昇した。
 逆にフロリダ州立大、オクラホマ大、アイオワ大らが大きく後退し、記者投票ではアイオワ大、監督投票ではオクラホマ大、がそれぞれ圏外へ去った。ノートルダム大、オレゴン大もランク落ちした。


 代わってネブラスカ大、ユタ大がランク入り。記者投票ではテキサスクリスチャン大(TCU)、監督投票ではサンディエゴ州立大がベスト25へ入った。

【写真】決勝の37ヤードFGを決めたノースダコタ州立大のキッカー、ペダーセン(36)(AP=共同)