2016年度の本場のカレッジフットボールが8月末に開幕した。その中核、全米大学体育協会(NCAA)フットボール部門のボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)も傘下128校が10組織、4独立校に分かれて熱戦の火ぶたを切った。
 FBSはこの後、12月半ばの陸海両士官学校の対戦までレギュラーシーズンを戦い、年頭まで恒例のボウルゲームを催した後、1月9日の選手権決勝で今季の全米王者が決まる。


 本稿はこれまで通り、記者投票と監督投票の二つのランキングに挙げられた大学の勝敗を中心に紹介しようと考えている。
 またランキング校同士の「大一番」、ランキング校の意外な黒星、などもできる限り取り上げたいと思う。歴史に満ちたこのフットボール界では、ランキングなどに基づかない「伝統の一戦」も多い。これにも可能な限りアプローチしたいとの気持ちもあるが、限られたスペースで、どれほどのことができるか。今季も地道にやるしかないだろう。


 この週の「大一番」は4試合だった。うち上位が勝ったのが3試合、負けたのが1試合という結果が出た。
 上位の勝ちは、1位アラバマ大が52―6で20位17位の南加大に大勝。18位16位のジョージア大が33―24で22位20位の北カロライナ大を下し、4位フロリダ州立大が45―34で11位12位のミシシッピ大から白星を挙げた試合。


 これらの組み合わせを見たとき、アラバマ大の苦戦を予想し、ひそかに結果を楽しみにしていた。しかし、これは30年も40年も昔のカレッジフットに触れ始めたころの話で、今の力関係がピンと来ていない古い男にとっては、認識不足を痛感する結果だった。


 下位校が上位を倒すのは、やはり番狂わせと言ってもいいだろう。この週は15位13位のヒューストン大が33―23で両ランク3位のオクラホマ大を破る快挙を演じた。
 主役はDBのブランドン・ウィルソン。ヒューストン大はこの名門チームと互角に渡り合い、19―17と2点をリードして後半を迎えた。


 オクラホマ大は第3Q、53ヤードのFGで逆転を狙った。しかし、オースチン・セイバートのキックはクロスバーに届かなかった。
 ヒューストン大は左のポストの根本で待ち構えていたウィルソンが、このボールを腕の中にすっぽりと納めた。
 ウィルソンはコースを右に取り、そのままサイドラインを一気に駆け上がった。その進路を阻む選手は誰もいなかった。109ヤードの独走でヒューストン大は7点を加えた。試合の流れを瞬時に取り返すビッグプレーだった。ヒューストン大はこの後、さらに1TDを加え、オクラホマ大の第4Qの反撃を6点に抑えて33―23で金星を挙げた。


 北カロライナ大と好ゲームを展開したジョージア大ではRBニック・チャブが注目された。接戦ではやはり、スーパースター、スーパープレーが明暗を分ける。
 ジョージア大にとって、昨秋10月、膝を痛めて残りのシーズンを棒に振ったチャブが、見事に戦列に復帰したのが大きかった。この日は32回で222ヤードを走り、2TDをマークして勝利の立役者となった。チャブ自身の200ヤードゲームは、今回が3度目という。


 このほか2位クレムソン大がオーバーン大に19―13で辛勝した。オーバーン大がランク校ではなかっただけに意外に感じられたかもしれないが、やはりアラバマ州の有力校としての力は並ではないようだ。
 クレムソン大の勝因は、WRマイク・ウィリアムズの活躍が大きい。この試合では今年のハイズマン賞最有力候補のQBデショーン・ワトソンの第1ターゲットとして球を受け、9回で174ヤードを稼いだ。


 ランク外といえば名門テキサス大が大健闘、9位8位のノートルダム大を延長の末50―47で倒したのがこの日の目玉だったかもしれない。
 交互に点を取り合い第4Q残り3分35秒、RBドンタ・フォアマンの19ヤードのランで37―35と逆転した。


 しかし、この直後のポイントで、話がもつれた。ノートルダム大はCBショーン・クロフォードがキックをブロック、そのまま93ヤードを走り切って2点を返したのだった。
 試合は37-37で延長戦。第1延長はテキサス大がQBタイロン・スウォ―プスのランでTDすれば、ノートルダム大もパスですぐに同点。そして第2延長はノートルダム大のジャスティン・ヨーンが39ヤードのFGを決めたが、テキサス大は再びスウォ―プスの6ヤードの突進でTDを返し、激闘にけりをつけた。


 なお6日発表のランキングでは記者投票、監督投票ともテキサス大や、ルイジアナ州立大を倒したウィスコンシン大が10位あたりへランクイン。オクラホマ大やノートルダム大は順位を下げた。
 カリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)を破ったテキサス農工大は新たにランクイン。黒星スタートのUCLA、南加大、北カロライナ大は姿を消した。

【写真】第3クオーター、アラバマ大QBハーツが7ヤードを走ってTD(AP=共同)