米国の大西洋岸の9州14校のリーグである。歴史は意外に浅い。1953年に強弱入り混じっていたサザンカンファレンスから、北カロライナ大、北カロライナ州立大、デューク大、ウェークフォレスト大の北カロライナ州の有力4校が抜け出し、南カロライナ大、クレムソン大、メリーランド大とともに、新しく大西洋岸リーグ(ACC)という新組織を作ったのが始まりである。
 出たり入ったりの多いリーグで、そのいちいちは割愛するが、その結果高水準の大所帯となって、5大リーグの一角を形作ることになった。


 簡単に今の形を説明する。去ったのは南カロライナ大とメリーランド大。そして加盟してきたのは、順不同だが、フロリダ州からフロリダ州立大とマイアミ大(フロリダ)、ジョージア州のジョージア工科大、ケンタッキー州のルイビル大、バージニア州のバージニア大とバージニア工科大である。
 ビッグイーストの解散後にマサチューセッツ州のボストンカレッジ、ニューヨーク州のシラキュース大、ペンシルベニア州のピッツバーグ大などの参加を見た。こうなってくると南部のリーグとはとても言えないが、それも仕方あるまい。


 このACC、他の多くの組織同様、全体を二分して7校ずつの地区制を採っている。が、他が東西、南北といった形で分けているのに対しACCは少し違い、アトランティック地区、コースタル地区に分ける。
 方角はあまり関係ないようで、フロリダ州の2校は両地区に分けて入っているのに対し、バージニア州の2校は仲良くコースタル地区に所属する。


 北カロライナ州の4校は北カロライナ州立大とウェークフォレスト大の2校がアトランティック地区に、北カロライナ大とデューク大はコースタル地区に2校ずつ分けられている。この辺を詮索すると話が進まなくなるので打ち切り、今季を展望してみよう。


 注目はアトランティック地区だろう。全米ランキングの高順位に顔を出しているクレムソン大と、フロリダ州立大とが、並び立っているからである。クレムソン大では全米級のQBデショーン・ワトソンの存在が大きい。
 2年生の昨季は4000ヤードの大台を超す4104ヤード、35TDと全米をリードする成績を上げた。ハイズマン賞の選考でも3番目の投票を得たほどで、今季も同賞の最有力候補に推されそうだ。


 レシーブ陣もWRマイク・ウィリアムズとアルタビス・スコットを中心に粒ぞろい。昨季の記録を見ても、だれ一人突出しておらず、むしろ全体の能力の高さを示しているといえよう。
 ランプレーは1527ヤードを稼いだリーグの代表的RBウェイン・ゴールマンが軸。QBのワトソンも1105ヤードを走っており、その幅広い攻撃力は出色だ。ラインは攻守ともリーグ一の力を持ち、LB、DBの守備力も高く評価されている。   


 ライバルのフロリダ州立大は全米級のRBダルビン・クックがいる。昨季は1691ヤードを走り、19TDを記録した。リーグだけではなく全米を代表する好ランナーとして高く評価されている。
 QBはショーン・マグワイアだが、レッドシャツの1年生デオンドリ・フランソワも実力十分。クレムソン大を上回る攻守のラインなど、戦力は互角というのが大方の見方だが、すべてはQB次第という声もある。


 10月29日の両校の対決がすべてだろうが、このほか同地区で2強を追うルイビル大の存在も無視できない。
 2年生のQBラマー・ジャクソンが逸材で、両校も油断はできない。北カロライナ州立大ではRBマット・デイズがその脚力をどう示すかだ。ボストンカレッジ、ウェークフォレスト大、シラキュース大は順位争いに終わりそう。


 コースタル地区は、フロリダ州のマイアミ大が強そう。QBはブラッド・カーヤ、RBジョージフ・ヤービーらタレントが多く、地区タイトルの最短距離に立つ。
 大型ラインを持つ北カロライナ大はRBイライジャ・フッドを決め手に、攻守のバランスの良さを誇る。バージニア工科大はRBトラボン・マクミランの走力が見もの。


 ピッツバーグ大はカドリー・オリソンとジェームズ・コナーというレシーバー陣を生かすQBの進歩が鍵だ。Bクラスはジョージア工科大、デューク大、バージニア大の競り合いだろう。

【写真】昨シーズンの全米選手権決勝でアラバマ大に敗れたオレンジのジャージーのクレムソン大(AP=共同)