全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)の10リーグ、4独立校の中で、最も厳しい組織はどこか。それはもう南部の南東リーグ(SEC)と断言していい。


 米カレッジフットボールで好成績を残しにくいリーグはどこか、との質問がよく出てくる。つまり、強豪ぞろいで、勝つのが難しい、日程が強行軍で優勝するのが至難の業、といったリーグのことだが、近年は大体「それはSECだろう」ということで納まることが多い。


 向こうの言い方で表現すると、「タフな日程」とか「タフなリーグ」といったような呼び方をする。無論、構成メンバーの顔触れ次第で、時代などが影響することも多い。
 メンバーがそろっていて間違いなく強豪、というチームもあれば、大した事なさそうに見えても、必ず工夫があって上位を食うチームもある。SECとはそんなリーグなのだ。


 フロリダ州のフロリダ半島から北上するとジョージア州、その上に載るのが南カロライナ州。ジョージア州の上にテネシー州があって、ここには2校、ネシー大とバンダービルト大がある。
 その上にケンタッキー州、その西にはミズーリ州。これが6州7校の東地区である。これでもなお南部は埋め切れない。


 西地区は、ジョージアの西のアラバマ州を起点とする。ここにはアラバマ大とそのライバルのオーバーン大の2校が覇を競う。
 隣がミシシッピ州、ここも2校でミシシッピ大とミシシッピ州立大がある。さらにルイジアナ州が並び、その北にアーカンソー州、ルイジアナの西隣にはテキサス農工大のテキサス州が続く。


 1921年に生まれた南部連盟から、1933年に分かれたグループがSECの母体。それが11州14校の今日の形となった。いずれもその州を代表する大学で、その点ではこれまで紹介してきた太平洋12大学、ビッグ12、ビッグ10らと同様なのだが、州の名誉を意識させる試合ぶり、という点ではSECが最もその傾向が強い。


 特に近年は一段とその色が濃くなっているように思う。その典型的な例を見るためには、シーズン中毎週発表されるランキングに顕著であろう。
 開幕前に発表されるランキングには、このリーグから6、7校が名を連ねる。すでに発表されている8月当初の監督投票のランキングや、CBSスポーツのランキングを見ると、6校が顔をそろえていた。


 開幕後は混乱するのであまり使わないが、まあ平均的なところが出ているようだ。SECを拾ってみると、東地区では10位前後にテネシー大、次いでジョージア大、25位あたりぎりぎりにフロリダ大。
 西ではアラバマ大が首位を占め、続いて6位にルイジアナ州立大(LSU)10位を切る位置にミシシッピ大の名がある。


 このリーグに属して頑張るとしたら、少なくともここに挙げた6校中4校と顔を合わせ、そのすべてに勝たねばならない。タフなリーグである。
 優勝争いは今季も西地区有利と見る。その筆頭は連覇を狙うアラバマ大だろう。攻守のライン、LB陣などリーグ随一の陣容で、開幕すると花形選手がぞろぞろ出てきそうだ。


 中でもRBのダミアン・ハリス、ボー・スカボローらの走力が魅力だ。LSUは2番手に来るが、RBレオナード・フォーネットが全米級のスター。ミシシッピ大はQBチャド・ケリーが看板で、その一挙手一投足に全米の目が注がれよう。
 以下ではオーバーン大、テキサス農工大、アーカンソー大が三つ巴。QBトレバー・ナイトのテキサス農工大が抜け出すかもしれない。ミシシッピ州立大が下位脱出に力を注ぐ。


 東地区のテネシー大はQBジョシュア・ドブスとRBジャレン・ハードが注目される。ジョージア大はQBジェイコブ・イーソン、RBニック・チャブス、ソニー・ミッチェルが注目だ。
 フロリダ大は守りの堅さに対して、攻め手に特色を欠く。4番手以下では強力な守備ラインを持つミズーリ大が続き、ケンタッキー大、バンダービルト大、南カロライナ大らと激しい順位争いを展開しそうだ。

【写真】NFLタイタンズのキャンプで汗を流す、昨季のアラバマ大エースRBデリック・ヘンリー(AP=共同)