全米大学体育協会(NCAA)フットボール部門のボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)の一流チームに日本人選手が登場するニュースで、大学の後輩でもある朝日新聞の大西史恭(ふみたか)さんから問い合わせを受けてから、もう2カ月になる。


 本場のフットボールに日本人の庄島辰尭(しょうじま・たつあき)選手が挑む記事は、5月23日付の夕刊に載った。
 しかし、いくら米国の「国技」だからといって、フットボールが年中行われているわけはない。秋の開幕戦に、この庄島選手が出場するかどうか。ここが最大のニュースなのである。ファンの方々はあと1カ月余りお待ち願いたい。


 それまでに確認しておかねばならぬことがあった。向こうの「雑誌」に庄島の名が出るかである。カレッジフットのイヤーブックで、私は確認を続けた。
 一番初め、5月の終わりに出た「アスロン誌」には、その名はなかった。続く「スポーティングニューズ誌」にも見当たらなかった。そして最後の望みをかけて6月末に購入した「フィル・スティールズ誌」の「カリフォルニア大ロサンゼルス」のページに、庄島選手の名を見つけてほっとした。ポジションはセンター。選手名は「ギョウ・ショウジマ」。尭の字を音読みにして選手名としたようだ。


 ほかには週刊誌の「スポーツイラストレイテッド」のカレッジフット特集号が開幕直前に出るが、これはそれほどスペースが広くはないので、ラインの選手が名を出すには、よほどの大物でもない限り、字にはなるまい。
 重ねて申し上げるが、名前が出たからといって、これがゴールではないことは言うまでもあるまい。むしろ、本人にとっては厳しいレギュラーポジション争いの始まりなのである。


 掲載誌によると、ショウジマは身長190・5センチ、体重140・6キロ。一流校のラインとしては何ら見劣りすることはなく堂々たる体格を誇る。
 ただ、同一ポジションに名を連ねるスコット・クエッセンベリーは、ショージマと体格は変わらないものの、まぎれもなくリーグを代表するセンターとして広く知られており、ショウジマはその控え。この立場の違いをシーズン中に覆せるほどの成長を見せてほしいと、日本のファンとして声援を送りたい。


 なお朝日がショウジマと合わせて記述したユタ大のRBジェームズ高田選手については、残念ながら現時点では3誌ともに何も触れていない。他日を期待するにとどめる。


 さてショウジマが属するUCLAが加わるリーグについて簡単に開幕前の展望を試みる。リーグ(厳密にいうとカンファレンスだが)の名は「太平洋12大学」。アメリカ西海岸の三つの州、北からワシントン、オレゴン、カリフォルニアと一歩東へ入ったアリゾナ、コロラド、ユタ3州の、それぞれ主だった大学で構成されている。


 昔は西海岸3州の有力校、ワシントン大とワシントン州立大、オレゴン大とオレゴン州立大、カリフォルニアへ入ってサンフランシスコ近郊のカリフォルニア大とスタンフォード大、ロサンゼルスの南加大とUCLAの8校らが中心で、いたってわかりやすかった記憶がある。
 多少の出入りは省くが、その後カリフォルニアの南部に隣接するアリゾナのアリゾナ大とアリゾナ州立大の2校が加わり、さらに隣り合った州のユタ大とコロラド大とが参加して、今の12校リーグとなった。歴史と実力を兼ね備えた組織であることは、改めて言うまでもない。


 加盟10数校のリーグが地区制を採っているのはご承知の通り。多くは東西制だが、ここは南北制。北の州から2校ずつとカリフォルニアの北部の2校で北地区が計6校。カリフォルニア南半分とアリゾナ、ユタ、コロラドの計6校で南地区を構成する。


 ショウジマのUCLAはこのリーグの強豪であり、名門校である。南地区では南加大と毎年のように覇権を争う。
 ホームスタジアムはロサンゼルス市街の東、パサデナの「ローズボウル」。各イヤーブックによると、南地区は今季もUCLAと南加大との競り合い、との予想が目立つ。


 UCLAの看板はリーグを代表するパサーで2年生のQBジョシュ・ローゼン。昨季は新人らしからぬ好リードを見せて、チーム全員の信頼を勝ち取った。
 QBを守るラインが大型なのも頼もしく、ショウジマもその一人である。レシーバーは最上級生のイシュマエル・アダムズや1年生のセオ・ハワードらのWR陣が軸になる。


 ラインとくれば南加大の攻撃陣がリーグ一で、OTのザック・バナーを中心に大型でまとまりもいい。RBはリーグを代表するジャスティン・デービスとロナルド・ジョーンズの2枚を持ち、レシーバーもWRに全米級のジュジュ・スミスシュースターを擁している。
 鍵となるQBは腕の立つ控えが多く、激しい競り合いから、マックス・ブラウンが一歩リードした。問題は守備。DBはアンドリー・ジャクソン、イマン・マーシャルがそろうがDL、LBの人材不足が気がかり。


 3番手はユタ大とアリゾナ州立大の争い。攻撃陣にこれといったスターはいないが、守備に人材がそろって試合運びが安定している点で、各誌ともユタ大を推している。続いてはアリゾナ大でコロラド大は昨季に続いて多くは期待できそうもない。


 北地区はワシントン大とスタンフォード大が激しく競り合う。前回のオールアメリカの話で取り上げたが、スタンフォード大の万能選手クリスチャン・マカフリーの脚力は一見に値するという話である。
 無論今季もハイズマン賞の最有力候補の一人でもある。こうしたスーパースターがいると、その存在を利用して他の分野でも効果を上げることができるのが、フットボールの面白さでもある。誰とは言えないが、パス攻撃にもディフェンスにも、新たなタレントが生まれてきそうな気配だ。


 ワシントン大は昨季の顔ぶれがほとんど残り、安定した戦力を誇る。特に2年生のRBマイルズ・ガスキンの成長が期待されている。
 問題はリーグ内の成績が芳しくないことで、2001年から5勝4敗以上の成績を挙げていないのを、フィル・スティールズ誌が指摘していた。高く評価されていた年でもこの不成績が付きまとったようで、果たして地区代表、リーグ優勝へ持っていけるかどうかが注目される。


 3位以下は各誌ともオレゴン大、ワシントン州立大、カリフォルニア大、、オレゴン州立大でそろった。
 それではどれだけ力の差があるのか、という話だが、実のところそれほどの差はあるまい。オレゴン大のRBロイス・フリーマン、WRダーレン・カリングトン。ワシントン州立大のQBルーク・フォーク。カリフォルニア大のQBデービス・ウェブらの活躍に期待したい。

【写真】「ギョウ・ショウジマ」として専門誌に名前が載った庄島辰尭選手