2016年の全米大学体育協会(NCAA)のフットボール部門は8月末に全米各地で開幕し、翌17年の1月まで、ファンを熱狂させる。
 その中心となる1部校は258校、これが上下に二分され、上位のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS)128校と、下位のフットボール・チャンピオンシップ・サブディビジョン(FCS)に分かれる。


 FBS、つまり昔で言う1部A128校は現在10のリーグと4校の独立校に分かれ、1週に1度の割合で試合を行い、年間12試合を消化する。この後、地区制を採用している8リーグでは、地区1位同士のリーグ優勝決定戦を行う。


 続いて昨年から始まった勝ち抜き形式の選手権大会に出場する4校が、有識者のランキング投票で決まる。
 準決勝は大晦日のピーチ、フィエスタ両ボウル。1月9日にフロリダ州タンパで開かれる決勝戦で王者が決定する。
 この間、元日恒例のローズ、オレンジ、シュガー、コットンの4大ボウルに至るボウルゲーム38試合が、各地でこれまで通り華々しく開かれる。このほかに、オールスター戦もいくつか行われる。


 128校の実力を見定めるのはかなり難しい。しかし米国では、開幕前にその実力を推測して順位をつけ、これを集計して全米ランキングの名のもとに開幕前に発表。以後1週終わるごとにその週の成績に基づいてランキングを差し替える。
 主だったものは、各地の報道機関を代表する記者が投票するものと、有力校の監督、関係者らが投票するものがあって、記者投票は米国を代表する通信社のAP、監督投票は全米をカバーするスポーツ放送専門のESPNがそれぞれ管轄している。


 投票者は約60人。25校を連記し、1位に25点、2位24点…24位2点、25位1点と点数を割り振り、これを集計して得点順に順位をつける。やり方はAPもESPNも同じである。
 選手権大会の出場校を決めるランキングも、選りすぐりの有識者13人の投票を集計したものが基準となっている。


 開幕前には数多くの雑誌、専門誌がさまざまな形でランキングを発表し、自らの見識や判断を読者に示している。
 特徴を出すためにいろいろな工夫をしているが、こうしたものでもいくつか雑誌を集めて、普通の計算方式で並べ替えると、結構常識的なランキング表ができるのは面白い。


 今回はこの開幕直前のいくつかの雑誌三つのランキングを拾い上げて、集計し直してみた。今季の全米の勢力分布図としては、さほど不思議ではないものが出来上がったのは面白かった。


 3誌に共通していたのは、首位にそろってアラバマ大を推したことだろう。昨季の王者であることはご承知の通り。近年勝てなかったときでも、チャンピオン争いの場には間違いなく顔を出し続けてきた名門である。


 1位25ポイントの点数をつければ、75ポイントの満票のチームだ。強みは守備力。アスロン誌のユニット別のランクを見るとDEジョナサン・アレンが率いる守備ラインが文句なしのトップ。LB陣もリーダーのルーベン・フォスターやライアン・アンダーソンらスター選手が目白押しだ。
 バックスも上々の顔ぶれで、マーロン・ハンフリー、ミンカ・フィッツパトリックという名が上がる。ルイジアナ州立大(LSU)をトップに推す向きもあるが、比較する相手がいないディフェンスと言える。


 アラバマ大は開幕戦で、ベスト25の中ほどに位置する南加大と対戦するほか、所属する南東リーグ(SEC)との厳しい試合が続く。
 西地区のミシシッピ大、アーカンソー大、LSUはランクの順位は高く、全く油断できない相手だ。それ以上なのが、日程の真ん中に控える東地区の優勝候補テネシー大。レギュラーシーズンを取りこぼさずに戦い抜くのが連覇への鍵と言えよう。


 ランキングの2位と3位には大西洋岸リーグの2強が並ぶ。アトランティック地区に君臨するクレムソン大とフロリダ州立大で、昨2015年はクレムソン大が、その前は2年続けてフロリダ州立大が全米の王座争いに食い込んだ。
 両校は10月の終わりに地区のタイトルをかけて激突し、その勝者が選手権出場を狙う。ルイビル大もいるが、1位争いには厳しいレースである。このほかコースタル地区の北カロライナ大とフロリダ州のマイアミ大が油断できぬ存在だ。


 ビッグ12のオクラホマ大の評価も高い。ライバルはベイラー大、テキサスクリスチャン大(TCU)で日程はやはり厳しい。
 9月半ばにビッグ10のオハイオ州立大との決戦がある。ランキングは同じくらいで、それだけに選手権大会の出場権を考えると互いに取りこぼせない。


 ビッグ10はオハイオ州立大のほかミシガン大、ミシガン州立大と東地区が優勢で、西地区のアイオワ大はやや出遅れの感がある。
 優勝争いは結局、11月最後のオハイオ州立大とミシガン大の伝統の試合ということになりそうな気配である。


 太平洋12大学は前年に引き続いて北地区がリードする。全米のタイトルにはやや力不足と見られているが、ランキング10位以内に付けていれば、チャンスは十分。強行軍のスタンフォード大は、北の相手ばかりではなく、南の南加大、カリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)の2強をどうかわすかがポイントになる。
 南加大は日程最後のUCLA、次いでノートルダム大との連戦をどう戦うかが見もの。


 独立校のノートルダム大は腰を据えて戦えば、好成績が期待できる日程。10月の終わりから始まる選手権ランキングの4位以内をどう確保するかが焦点となろう。


 3誌のランキングは、SECの9校がトップで、ACC、ビッグ12、太平洋12大学は5校ずつ。ビッグ10が4校であとはノートルダム大。アメリカン体育連盟(AAC)のヒューストン大が顔を出したのは珍しい。


 このほかランキングとは無関係だが、2年目の海軍士官学校、東地区を制したテンプル大と、話題豊富なAACである。

【写真】2012年シーズンに2年連続で全米王座に就き、選手に祝福されるアラバマ大のセーバン監督(中央)=マイアミ(AP=共同)