あと3カ月足らずで、本場米国のカレッジフットボールが始まる。
 19世紀末、1869年の秋に米国東部ニュージャージー州ニューブランズウィックのラトガーズ大のキャンパスで、同校とプリンストン大の学生たち各25人が、ゴム製ボールを蹴り合った米国初のカレッジフットボールの試合から数えて148年目。2016年度の大学フットボールの開幕を前に、今シーズンのあらましに触れておこう。


 一種の線引きをする。本場の大学フットボール、という名目でなんでも取り上げるときりがなくなるからで、ここでは全米大学体育協会(NCAA)のフットボール部門ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)に限ることにしている。


 米国の大学スポーツをまとめるNCAAは、1906年に創立。フットボールとバスケットボールを中心に野球、テニス、ゴルフ、陸上などを統括している。
 中でもフットボールは歴史、伝統、人気度などを勘案した上で条件を定め、1部から3部まで区分けがされている。
 1部はこのFBSの1ランク下にフットボール・チャンピオンシップ・サブディビジョン(FCS=1部AA)というクラスがある。さらにその下には2部、3部だ。


 FBSを構成するのは今年は昨年と変わらず128校。FCSは125校前後で構成されるのが常である。
 このFBS128校は10のリーグと四つの独立校で形成されている。リーグは、正式には「カンファレンス」と呼ぶ。だがカンファレンスではリーグに比べて字数が多い。それに大学フットボールの組織を紹介し始めた4、50年以前の日本のスポーツ界では、外来語として全く定着していなかった。
 そこで、便宜的にアイビーリーグ、野球の六大学リーグでなじみのある「リーグ」に置き換えて今日まで過ごしてきた。長くなってもいいと、スポーツ界全体でカンファレンスに取り換えようという機運が高まるかどうか。


 FBSにはレベルの高いリーグ五つある。まず中西部の「ビッグ10」。14校が加盟し、オハイオ州立大、ミシガン大らの東地区と、アイオワ大、ネブラスカ大らの西地区とに7校ずつ分かれる。
 それと内陸部の「ビッグ12」。12とはいうが現在は10校で、オクラホマ大やテキサス大などが名を連ねる。ほとんどのリーグが採用する地区制も採っていない。


 最強と思えるのが、南部の南東リーグ。正式にはサウスイースタン・カンファレンスだが、こう書くと長い。14校がテネシー大やジョージア大の東地区と、アラバマ大やルイジアナ州立大(LSU)の西地区に分かれる。


 南部では大西洋岸リーグ(ACC)の14校が急上昇してきた。一つはアトランチック地区と言い、フロリダ州立大やクレムソン大が中核だ。もう一つはコースタル地区でフロリダのマイアミ大らが軸。最後が西海岸で太平洋12大学(P―12)地区は東西ではなく、6校ずつ南北に分かれる。


 北地区はカリフォルニア州の北部までで、スタンフォード大とカリフォルニア大が入る。南はカリフォルニア大ロサンゼルスと南加大にアリゾナ、ユタ、コロラドの各州勢が加わる。


 忘れてはならないのが独立校。昔からある米大学スポーツの原点で、どこのリーグにも加わっていないチームである。
 今季は4校。マサチューセッツ大が中部アメリカン連盟(MAC)を抜けて、ノートルダム大、ブリガムヤング大(BYU)、陸軍士官学校の仲間入りをした。


 MACは1校減って12校、東西6校ずつと地区のまとまりがよくなった。MACをはじめ、残りの5リーグは強弱や技術水準から言えば、先の「5大リーグ」には及ばない。差別ではなく、区別して処理するのがわかりやすくていい。


 新興のアメリカン体育連盟(AAC)は、昨年海軍士官学校の加盟があって注目を集めた。12校の大学が東西6地区に分かれて競うが、東はコネティカット大、テンプル大のフィラデルフィア。南はフロリダ州、西はテキサス州のチームがあり、その広がりはこれまでになく大きい。
 それぞれの地域の有力校に負けまいと、出遅れを取り戻そうとする意欲がギラギラしている感じが強い。


 USA連盟(C―USA)は、13校が東地区7校西地区6校に分かれる。これも結構所属校の散らかり具合が広いリーグだ。
 山岳西部連盟(MWC)はロッキー山脈地方の各州やカリフォルニア州やハワイのチームが12校。日本から見ると、どことなく親しみやすい12校が6校ずつ山岳地区と西地区に分かれてリーグ戦を展開する。


 最後はサンベルトリーグ(SBC)。南部の連盟だと思っていたらロッキー山脈のアイダホ大がその真ん中で頑張っていたので驚かされた。
 何年か前、ランキングの連名にどっかと腰を据えて健闘していたのを思い出す。加盟11校、地区分けはない。


 さてシーズンが開幕すると毎週のランキングが注目される。開幕前に始まって全日程が終了するまで続く。
 AP通信は全米のマスコミのフットボール担当者ら約60人、全国紙USAトゥデーとスポーツ専門放送局のESPNは有力校の監督60人に、それぞれ投票を依頼してそれを集計し順位を出す。かつては10校ほどを選んでいたが、最近では25校がリストアップされるようになった。


 昨年度から始まった4校の勝ち抜きによる、全米大学選手権は、10月末から11月末にかけて大会選考委員がランキングを作成して出場校を決める。
 注目の準決勝はピーチ、フィエスタ両ボウルゲーム、決勝は1月9日、フロリダ州タンパで行われる。


 少し後戻りするが、米国時間の8月27日に豪州のシドニーで行われるハワイ大―カリフォルニア大で幕を開けるカレッジフットボールは、「ビッグ12」とSBC以外の八つのリーグで12月初めに地区1位同士のリーグ王座決定戦を行い、レギュラーシーズンの幕を閉じる。
 続いて12月17日からはボウルゲーム。約40試合がシーズンの最後を飾る。

【写真】昨シーズンの米大学フットボールはアラバマ大が王座に就いた(AP=共同)