少し気が早いかもしれない。しかし今から準備をしておかないと、いざ開幕となったときに「あれもこれも」とやり残したことが次から次へと出てくる。
 昨季もそうだった。雑事に時間を取られて、長年作り続けてきたリーグ別の勝敗表を作り損ね、必要となるたびに他人が作った画面を開くわずらわしさに追われた。今季はその轍を踏むまいと、1カ月早くその第一歩を踏み出したばかりである。


 まずは大まかな日程である。これがないと新聞記者というものは空振りの連続を演じることになる。2016年の全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)は8月26日(金)に開幕し、12月上旬まで全米の各地で、レギュラーシーズンの熱戦を繰り広げる。


 この後すぐボウルゲームが始まり、選ばれたチーム同士が各地で対戦する。昨季から始まった4チームによる選手権試合は、大晦日が準決勝2試合で、2017年1月9日に、フロリダ州タンパの「レイモンド・ジェイムズ・スタジアム」で決勝を行う。


 8月26日の開幕戦、ハワイ大―カリフォルニア大は現地時間でいうと、実は27日。午前11時からシドニーのANZスタジアムでキックオフとなる。
 26日としたのは、ハワイ、カリフォルニアなどではすべて前日の時間だからで、ホノルルでは午後3時、バークリーでは午後5時、ニューヨークでは午後8時となる。オーストラリアで米大学フットボールが開かれるのは1987年以来で、シドニーでは初めてだ。


 大学フットボールの海外開催はもう1試合あって、9月3日にアイルランドのダブリンでボストンカレッジとジョージア工科大の大西洋岸リーグ(ACC)同士が対戦する。
 アイルランドでの試合は9試合目で、FBS勢では7番目になる。なおボストンカレッジは1988年に陸軍士官学校と帯同して以来で、この時は38―24と快勝している。


 なおこの試合のキックオフは昼の12時30分。米国の東海岸との時差は5時間なのでACCのファンからすれば、午前7時30分の試合開始。こんな朝早い試合の観戦とはと戸惑っているそうだ。
 2016年のFBSは、今のところ27校で監督が交代したと伝えられている。開幕までまだ3カ月余りあるので、もう少し増えるかもしれない。


 好カードを紹介する。日本では全米の王者と並んで、太平洋岸のチームがよく知られている。中でも南カリフォルニア大などはその筆頭だ。
 その南加大が9月3日、王者アラバマ大といきなり対決する。会場はNFLカウボーイズの本拠地AT&Tスタジアム。「カウボーイズクラシック」と名付けられ、開幕週の目玉と言っていい組み合わせである。


 両校の顔合わせは1973年以来8度目で、対戦成績はアラバマ大の5勝2敗。ちなみに前回の73年のレギュラーシーズンは、前年の王者南加大が24―14で勝った。
 しかし、アラバマ大はここから巻き返して全米の王者となっている。極論ではあるが、全米王座争いに直結するカードかもしれない。


 ちなみに、両校合わせるとこれまで、全米王座27回、8人のハイズマン賞受賞選手が生まれているそうだ。なお、アラバマ大のレーン・キフィン攻撃コーディネーターは元南加大監督である。


 このカードだけではない。9月4日はテキサス大とノートルダム大もある。場所はテキサス州オースティン。
 昨年の9月5日に続く組み合わせで、前回はノートルダム大が地元インディアナ州サウスベンドで38―3と快勝した。ノートルダム大がテキサス大の地元で戦うのは1996年以来で、この時は劇的な決勝FGで27―24とテキサス大を下した。


 NFLパッカーズの本拠地ランボーフィールドではウィスコンシン大とルイジアナ州立大(LSU)が戦う。ここで大学が試合をするのは4度目で、ウィスコンシン大が開幕戦をここで開くのは初めてという。


 全米王者アラバマ大が選手権決勝で戦った相手はご存知ACCのクレムソン大。王座を逃したそのクレムソン大が7カ月後にアラバマ大の最大の好敵手SECのオーバーン大と開幕戦を戦う。
 どちらも「トラ」をニックネームとするチーム同士。ただしこのカード、珍しい対戦ではなく、1899年に端を発する「伝統の試合」でもある。今年は50回目で対戦成績はオーバーン大の34勝13敗2分けである。


 ACC王者クレムソン大は花形QBでハイズマン賞有力候補のデショーン・ワトソンが健在で、昨季のアラバマ大同様、全米王座とハイズマン賞の独占を狙う。


 個人賞候補の登場が注目されるのは、太平洋12大学のスタンフォード大のハイズマン候補RBクリスチャン・マカフリー。2日のカンザス州立大のゲームに登場する。
 ビッグ12のオクラホマ大のベーカー・メイフィールドと、アメリカン体育連盟(AAC)のヒューストン大のグレッグ・ワードJr.が顔を合わせる「QBバトル」は見ものだろう。このほかミシシッピ大のQBチャド・ケリーも最終学年を迎え、大いに期待されている。


 またSECのテキサス農工大と太平洋12大学のUCLAは接戦必至の好カード。新監督の初舞台としてはブリガムヤング大(BYU)のカラニ・シタケ監督が、アリゾナ大のベテランリッチ・ロドリゲス監督の胸を借りる構図も注目だ。

【写真】今年1月に行われた昨季の大学選手権決勝で、95ヤードのキックオフリターンTDを挙げたアラバマ大のリターナー、ドレーク(右)(AP=共同)