全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)の2015年度シーズンは、アラバマ大の王座獲得でその幕を下ろした。
 米国を代表するスポーツとして、プロのNFLにも劣らぬ人気に支えられるカレッジフットボールは、これで9月までの長い休眠に入る。NFLも2月の催しを終えるとカレッジ同様の長いお休みとなる。大学と違ってこの間、米国のプロスポーツ界をリードするNFLのドラフト会議で、大いに盛り上がるが、これはまた別の話題。


 9月から1月半ば。4か月半である。NFLでも5カ月余り。米国を代表するスポーツであるフットボールは1年の内、半分にも満たない期間でファンの前から姿を消す。
 「短すぎはしないだろうか」と感じる方も多いと思うが、私としては、この辺を詮索されることをお勧めする。そこから他国のスポーツ文化を知り、日本とはまた異なった考え方を認識することができるからである。
 この問題は今触れ始めると「大長編」ができてしまう。今後は折に触れ、必要に応じて小出しにするので、そうご理解いただきたい。


 で、今季のFBSである。旧1部253校は128校のFBSと、125校のフットボール・チャンピオンシップ・サブディビジョン(FCS=旧1部AA)とに分けられるが、現実問題としてFCSを日本のスポーツ記事で扱うことはほとんどない。
 カレッジフットボール、大学フットボールと名付けた記事は、本稿もそうだが、ことごとくFBSのことだと思っていただいて差し支えない。
 そのFBSは10のカンファレンスと呼ぶ組織と、そのいずれにも属していない3校の独立校から成っている。校数には増減があり、今季は128校だった。


 さて10のカンファレンスだが、これをそのまま文字にすると7文字分のスペースが必要になる。連盟の2文字、リーグの3文字に比べると、大変扱いにくい。そこで原則として私は連盟を採用した。しかし、もう一つのリーグが捨てがたかった。
 日本では野球で東京六大学リーグ、などという表現がある。人々が慣れているこのスポーツ用語の魅力はフットボールでもサッカーでも同じである。米国もそうだろう。かつて「タッチダウン」誌のカレッジフット担当を命じられた私はそう思った。


 これが大間違いだった。リーグなどと呼んでいる組織は、後にも先にも「アイビー」だけで、他はことごとくカンファレンスだった。かなりのショックを受けた。当時、共同通信の社内では「連盟」を多用し、「タッチダウン」誌では外来語という点を強調して「リーグ」を多用していたのを思い出す。
 「南東リーグ」「大西洋岸リーグ」などという表現をご覧だろうが、これはそうした理由によるものである。


 例によって横道へぐんぐんそれている。今季の総括をするつもりで書き始めているので、それに沿って話を進める。開幕前に各リーグの強弱の見方のようなものを申し上げたが、まずはそれに基づいて強かったリーグから順に述べていきたい。


 FBSの中で強かったのは、つまりリーグ全体の水準が高かったのは、やはり南東リーグ(SEC)だろう。加盟14校、7校ずつ東西2地区にに分かれ地区内総当たりで6戦、他地区と2戦でSEC内8戦。他リーグと4戦。レギュラーシーズン後は地区1位同士のSEC優勝決定戦と、10校が出場したボウルゲーム。さらに選手権準決勝のコットンボウルを勝ったアラバマ大には、選手権決勝の勝利もついてくる。


 ざっと計算してみると、外部とは56戦で45勝11敗、8割を超える圧倒的に高い勝率で他を圧倒しているのが分かる。ボウルゲームは例の準決勝を加算して8勝2敗。それに記者投票のAP通信のランキングでは5校、スポーツ放送専門のESPNの監督投票では6校が名を連ねた。
 開幕前に出るイヤーブックの「フィル・スティールズ」誌は取材に基づいて各リーグを順位付けして並べているが、例年通りといえばそれまでだが、今季はSECがトップだった。


 FBS内の最古参のリーグ「ビッグ10」もSECに負けず劣らずの好成績を残している。加盟14校、東西2地区、8試合のリーグ戦、外部と4試合。地区1位同士の優勝戦、ボウルゲーム、選手権戦出場とSECとは大差ない仕組みである。
 ここも他の組織とはボウルゲームを含めて50勝10敗。勝率はSEC以上で8割3分だった。ボウルゲーム史上例を見ない負け越しチームの招待がネブラスカ大とミネソタ大の2校もあった点でも、このリーグの伝統がうかがえる。
 ただ10校の成績は5勝5敗だった。また二つのランキングには両地区から3校ずつ計6校が選ばれている。


 太平洋12大学(Pac12)は12校加盟、南北2地区に分かれ、所属地区は6校総当たりで、もう一方の地区とは4校と対戦、計9試合のリーグ戦を行う。外部とはSECやビッグ10とは異なり3試合である。
 優勝戦付きで、ボウルゲームは10校が出場した。外部との成績はボウルゲームの6勝4敗を合わせて、35勝12敗。7割5分近い勝率である。選手権戦は逸したものの、名門リーグに恥じない数字を残している。ただランキングにはAP、ESPNとも同数の3校にとどまった。


 昔の南西リーグとビッグ8、両リーグの流れをくむ「ビッグ12」は地区制を採らず、加盟10校が総当たりのリーグ戦を行い、外部とは3戦のスケジュールを組んでいる。
 この3試合は24勝12敗。ちょうど6割6分7厘で、7校が招かれたボウルゲームは3勝4敗の負け越しとなった。ただランキングには記者、監督の両方に各4校が名を連ね、太平洋12大学を上回っている。


 FBSをけん引する組織の最後に登場するのは大西洋岸リーグ(ACC)で、これまでの組織と合わせて「5リーグ」とひとくくりにしてしまうことが多い。
 ただ歴史は浅いし水準が高いといっても、今季のクレムソン大、その前のフロリダ州立大のように突出したチームが目立つリーグといった方がいいかもしれない。


 14校が所属し、アトランティック、コースタルの2地区に分かれるのは他のリーグと同じ。地区総当たりと他地区2試合、計8試合のリーグ戦に、4試合の外部との対戦も同じ。
 ボウルゲームには9校が出て4勝5敗だった。ただ選手権決勝のクレムソン大の黒星を加算すると外部とは43勝26敗となる。勝率は5番目だ。両ランキングには各3校の名がある。


 アメリカン体育連盟(AAC)は独立校から海軍士官学校が参加し、その海軍士官学校がボウルゲームにも招かれるという活躍で、話題を集めた。
 12校が東西2地区に分かれ、同一地区総当たり、他地区3試合の計8試合のリーグ戦、他組織4試合も同様で、ボウルゲームには8校が出た。ボウルゲームで勝ったのは、ヒューストン大と海軍士官学校の2校だけで、ランキング入りもこの2校だけだった。


 このほか独立校ではノートルダム大がランキングの中ほどに位置したのと、USA連盟の西ケンタッキー大がランキングの末尾に顔を出しているのが目立った程度。
 ボウルゲームの戦績は独立校が2校出たが、白星なしに終わり、USA連盟は5校で3勝2敗、中部アメリカン連盟(MAC)は7校で3勝4敗、山岳西部連盟(MWC)は8校で4勝4敗、サンベルト連盟(SBC)は4校で2勝2敗と、いずれもバランスの取れた成績で締めくくった。

【写真】ハイズマントロフィーを獲得した王者アラバマ大のエースRBデリック・ヘンリー(AP=共同)