早いもので、ボウルゲームもつい先日始まったことを書き始めたばかりなのに、今回はもうボウルゲームも終わり、選手権決勝の大一番を残すのみ、となった。感慨はさて置いて、もう少しドライに見るとこうだ。


 全米大学体育協会(NCAA)フットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)の2015~16年ボウルゲームは、12月19日のニューメキシコボウルを皮切りに、新春2日まで、各地で40試合を開催した。
 今年度の選手権大会の仕組みに組み込まれているオレンジボウルとコットンボウルの勝者、クレムソン大とアラバマ大の2校が11日のアリゾナ州グレンデールで開かれる決勝へ進出した。


 準決勝、決勝と選りすぐりの4校で勝ち抜き戦を行う選手権大会が発足して今回は2年目。選手権大会選考委員13人はランク1位に推したクレムソン大と2位に推薦したアラバマ大の勝ち名乗りに、さぞ安堵の胸をなでおしたに違いない。


 大西洋岸連盟(ACC)を制し、13戦全勝でオレンジボウルに進出したクレムソン大は、ビッグ12の王者オクラホマ大に37―17で快勝。高水準の南東リーグ(SEC)を勝ち抜き12勝1敗でコットンボウルに出場したアラバマ大は、名門ビッグ10優勝のミシガン州立大を38―0とシャットアウトした。


 内容はしかし、どちらもかなり一方的だった。午後4時からマイアミのサンライフ・スタジアムで開かれたオレンジボウルは収容人員の約9割に当たる6万7615人がスタンドを埋めた。
 前半は互角に推移した。第1Q11分41秒、オクラホマ大はゴール前1ヤードからRBサマジ・ペリンの右のオフタックルで7点を先取。3分55秒にはクレムソン大がグレグ・ヒューゲルの26ヤードのFGを返し、さらに第2QにはQBデショーン・ワトソンが自ら中央を突いて5ヤードのTDラン。さらにヒューゲルが36ヤードと43ヤードのFGを決めた。


 オクラホマ大もオースティン・セイバートが22ヤードのFGを決め、1分40秒にはQBベイカー・メイフィールドがマーク・アンドルースへ11ヤードのTDパスを通して、17-16で折り返した。
 もつれそうに見えたが、その期待を裏切って後半は一方的な展開となった。クレムソン大がオクラホマ大のランの中心ペリンを抑え込み、攻めてはQBワトソン、RBウェイン・ゴールマンらが本領を発揮した。


 第3Qの11分22秒にはゴールマンがラインの中央を突破。4分42秒にはワトソンがWRハンター・レンフローへ35ヤードのTDパスを決め、第4Qの11分39秒にはゴールマンが右のオフタックルで4ヤードを前進と、堂々の3連続TDを重ねて突き放した。手に汗握る接戦などどこにもなく、クレムソン大は楽々と14戦全勝とした。


 準決勝のもう一つの試合は、テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで、現地の中部時間で夕刻7時から行われた。観衆は8万2812人。ほぼ満員である。
 試合は互いに守備を固めてスタートした。とりわけミシガン州立大は、ハイズマン賞のアラバマ大RBデリック・ヘンリーをがっちりとマークして、仕事をさせなかった。


 しかし第2Q半ば、アラバマ大はQBジェイク・コーカーのパスに切り替えてゴール前へ攻め込んだ。とどめはヘンリー。ゴール前1ヤードから中央を突いて見事先制のTDを挙げた。そして1分39秒アダム・グリフィスが47ヤードのFGを追加した。


 ミシガン州立大の後半の反撃が期待されたが、これまた大きく期待外れ。アラバマ大は最初のシリーズを粘り強く攻め、11分14秒、コーカーが左へ走ったカルビン・リドリーへ6ヤードのパスを決めてTD。17-0とした。
 大量点には守備からの得点、つまりインターセプトとか、ファンブルリターンとかで奪ったTDがあるとこの前書いたが、それ同様にパントリターンなどの得点も大量点の要素となることが多い。


 3分50秒にサイラス・ジョーンズが57ヤードのパントリターンで挙げたTDもそのうちの一つで、勢いづいたアラバマ大は2分41秒、コーカーとリドリーのコンビで50ヤードのTDパス。第4Q8分45秒にはヘンリーが11ヤードを駆け抜けてこの日2本目のTDを挙げた。
 一方、ミシガン州立大はすっかり戦意喪失。QBコナー・クックは、サック4本を浴びて何もできず、今季のボウルゲームでは唯一、屈辱のシャットアウト負けを喫した。アラバマ大は、開幕第3戦でミシシッピ大に取りこぼしたが、以後立て直して11連勝。


 今季のボウルゲームは序盤では競り合いが相次いだ。ご紹介したい試合が目につくが、大半は割愛しなくてはなるまい。
 勝率5割がボウルゲーム出場の境目だったが、ついに負け越し「2」のチームが登場する話を前回書いた。そのうちの2校、ビッグ10西地区のネブラスカ大とミネソタ大だが、ともに見事に白星を飾った。


 26日のフォスター・ファーム・ボウルで太平洋12大学(Pac12)南のカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)と戦ったネブラスカ大は、7―21と劣勢に立たされた第2Q半ばから何かに目覚めたような猛攻に転じた。
 第2Qで2TDを返し、第3QからはFG1本を挟んで2TDを挙げ、あっという間に37―21と逆転。UCLAの反撃を第4Qの8点に抑えて37―29で勝ちを握った。
 カリフォルニア州サンタクララのリーバイス・スタジアムには3万3527人のファンが詰めかけたが、この負け越しチームが演じた大逆転劇をどう見ただろうか。


 ミネソタ大は28日、ミシガン州デトロイトのフォード・フィールドでのクイックレーン・ボウルで、中部アメリカン連盟(MAC)西地区3位の中央ミシガン大と対戦した。
 3万4217人のファンが見守る中、一進一退の展開。そして第4Qに中央ミシガン大が14―13と1点をリードした。
 だが、ミネソタ大は5分18秒、QBミッチ・ライドナーがゴール前13ヤードからラインの中央を走り抜けて逆転。さらにパスで2点のTFPを成功させて21―14とし、白星をもぎ取った。ビッグ10勢の底力というべきかもしれない。


 今季のボウルゲームは、このあたりからランキングチームが続々と出場。手に汗握る試合の増加が期待された。
 だが事態は逆で、むしろワンサイドゲームが多くなったのは皮肉である。先にご紹介した選手権準決勝などは、その典型的な「凡戦」の例で、下手をすれば決勝も、と案じられるほどだった。


 ランク18位でアメリカン体育連盟(AAC)のヒューストン大と、9位でACCのフロリダ州立大のピーチボウルはヒューストン大が38―24で勝ったが、これなどは上出来の部類だ。
 1月1日の試合では23位でSECのテネシー大は45―6と13位でビッグ10のノースウエスタン大に大勝。7位でビッグ10のオハイオ州立大と8位の独立校ノートルダム大のフィエスタボウルもオハイオ州立大が44―28とスリルに乏しかった。


 シトラスボウルは14位ビッグ10のミシガン大が41―7と、19位SECのフロリダ大に大勝した。伝統に彩られたローズボウルは6位でPac12のスタンフォード大が45―16と大差をつけて、5位でビッグ10のアイオワ大を退けた。
 シュガーボウルは12位でSECのミシシッピ大が48―20で16位でビッグ12のオクラホマ州立大を下しているが、これなどはランク校のカードの中でもましな方であろう。


 延長戦は2試合。26日のニューヨークでのピンストライプボウルで、ACCのデューク大が延長で44―41とビッグ10のインディアナ大を破っている。
 もう一つはランク校同士の対戦で、唯一大接戦を演じた。11位ビッグ12のテキサスクリスチャン大(TCU)が、15位でPac12のオレゴン大と対戦したアラモボウルがそれ。
 前半31点をリードされたTCUはなんと後半、これに追いついての延長戦というから、いささか驚く。3延長目で後攻のTCUがTDを挙げて47―41と勝利を手にした。

【写真】ミシガン州立大に完勝して王座決定戦に進出したアラバマ大(AP=共同)