ボウルゲームの時期になった。米大学フットボールも間もなく終わりである。全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)のボウルゲームは、12月19日から選手権大会決勝の2016年1月11日まで各地で41試合を行い、2015~16年のシーズンの幕を下ろす。


 19日はその初日、5試合が行われた。カレッジフットボールの通例として、日曜日は休み。月曜日の21日に1試合と、各地で途切れることなくシーズン最後の熱戦を展開する。今回どれだけカバーできるか不明だが、各試合を簡単になぞってみる。


 この時期のボウルゲームは開催地の地名をそのまま採用したボウルゲームが多い。開催を決めいざ広報となったとき、これといった大会名が思い浮かばなかったのか、「ニューメキシコ」だ「ラスベガス」だ、といった開催地むき出しの試合が多い。
 準備期間がたっぷりあればいい大会名が生まれてくるかといえば、これもそうではあるまい。しかるべき日に、しかるべき場所で、しかるべき名を持った大会というのは意外に難しいのである。


 この日は競り合いが多かった。最後には大差になっても、終盤まで結構競り合う。おそらくスタンドは大いに沸いたことだろう。いい傾向である。
 まずはニューメキシコボウルから。太平洋12大学(Pac12)南地区5位のアリゾナ大と山岳西部連盟(MWC)山岳地区2位のニューメキシコ大は、その典型的な例で、先行するアリゾナ大をニューメキシコ大が激しく追い上げた。


 ニューメキシコ州アルバカーキのニューメキシコ大のスタジアムは、3万289人の入りで、しかも地元ニューメキシコ大の健闘に大いに沸いたことと思う。
 しかしPac12でもまれてきたアリゾナ大が、どうしても一枚上。QBアヌ・ソロモンのパスと自身のランににものをいわせて、アリゾナ大が45―37でニューメキシコ大を下した。これで両校は今季ともに7勝6敗となった


 この1時間半後にラスベガスのサムボイド・スタジアムで始まったランク22位でPac12南地区2位のユタ大と、独立校のブリガムヤング大(BYU)のラスベガスボウルは、この日のゲームの中でも飛び切りの話題性に富んでいたのではあるまいか。要するに、ユタ大が第1Qにいきなり大量35点を奪い、BYUの猛追を受けながら辛くも逃げきったという試合であった。


 余談だが、一方的なゲームで予想外の大量点が記録されることがある。こうした例は無論、攻撃側の速攻によるのだろうが、それ以上に守備からの得点、あるいはターンオーバーからの得点が多いことに由来しているのに気が付く。


 ユタ大の第1Qがまさしくそれだった。まずはBYUのQBターナー・マンガムをサックしてこぼれたボールをBYU陣25ヤード線で抑えたところから始まる。短いドライブの末、10分59秒にRBジョー・ウィリアムズが1ヤードを突破して均衡を破った。
 その17秒後、今度はDBのデビン・カーターがマンガムのパスを奪い28ヤードのインターセプトリターンで加点した。


 この1分41秒後にはカーターの再度のインターセプトを糸口にウィリアムズがまた1ヤードのTD。7分29秒にはCBドミニク・ハットフィールドがパスを奪って、46ヤードのリターンでTD。そして5本目がNTスティーブ・ツイコロバルが、BYU39ヤード地点でファンブルを抑えたのをきっかけに、5プレーのドライブ。4分38秒にQBトラビス・ウィルソンが20ヤードを快走してTDを奪った。6分21秒の間に35点を挙げた。


 BYUは前半終了直前にQBマンガムがTDパスを投げ、第3Qにはフランシス・バーナードがTDラン。第4QにはマンガムがパスとランでTDを奪ったが、あと1本が届かなかった。独立校BYUは今季9勝4敗、ユタ大は大台に乗せて10勝3敗。
 ユタ州のチーム同士がネバダ州に集結し、定員を5000人以上上回る4万2213人の目の前で、話題性豊かな試合をやって見せた。そのような日であった。


 ラスベガスボウルとは「逆」の試合もある。午後5時半からアラバマ州モンゴメリーのクラムトンボウルで開かれたカメリアボウルである。入りは2万1395人。
 組み合わせは中部アメリカン連盟(MAC)東地区3位のオハイオ大と、サンベルト連盟(SBC)2位の北カロライナ州のアパラチアン州立大。波乱はオハイオ大が第2Qの見事な攻守で24―7とリード。そして迎えた第4Qに起きた。


 17点差を追ったアパラチアン州立大は13分52秒、QBテイラー・ラムがバーナード・バーンズへ17ヤードのパスを決めて反撃ののろしを上げた。
 続いてオハイオ陣37ヤードでCBラトレル・ギブズがインターセプト。26ヤード線へ持ち込んだ後、RBマーカス・コックスが26ヤードを一気に駆け抜け、その差3点。さらにモリド・ウィリアムズのインターセプトの4プレー後、ラムがバーンズへ8ヤードのTDパスを通した。


 24―28と逆転されたオハイオ大はこの後セフティーの2点と、時間をたっぷり使った21ヤードのFGで逆転した。1分47秒が残されていた。
 ここでアパラチアン州立大は、自陣6ヤードから8プレーを費やしてゴール前6ヤードへ迫り、最後のプレーで23ヤードの決勝FGを決め、11勝2敗の好成績でシーズンを終えた。


 キュア、つまり医療と命名されたボウルゲームが登場した。組み合わせはMWC西地区3位のサンノゼ州立大と、SBC4位のジョージア州立大で、舞台にはフロリダ州オーランドのシトラスボウルが使われた。
 観衆は1万8526人。東西対抗とか南北対校といったオールスター戦にはチャリティーを主目的としたものがよくあるのだが、大学対抗のボウルゲームでは比較的珍しいといえる。


 スポンサーのフロリダの旅行業者「オートネーション」からは100万ドル、地元のオーランドスポーツ基金からは15万ドルが胸部ガン研究基金へ寄付された。こうした慈善の金額としては史上最多だった。
 ゲームはサンノゼ州立大が先行。第4Q10分6秒にいったん13―16と追いつかれた。しかし9分15秒、サンノゼ州立大はここでQBケニー・ポッターが42ヤードを快走。2分40秒にはポッターがジョシュ・オリバーへ1ヤードのパスを決め、27―16で勝った。


 今季の成績はともに6勝7敗。敗れたジョージア州立大に負け越しが記録されるのは仕方のないことだが、サンノゼ州立大もまた負け越しだったとは。
 実はサンノゼ州立大は今季のボウルゲームに5勝7敗で招かれていた。これまで勝ち負け同数で招かれた例は多いし、ゲームが増える一方の近年は、むしろ当然でもある。しかし負け越しで出場のケースは原則的にない。それが今季はこのような例が3校出た。他の2校はビッグ10のネブラスカ大とミネソタ大である。
 ネブラスカ大は2月26日のフォスターファームズボウルでカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)と、ミネソタ大は同日のクイックレーン・ボウルで中央ミシガン大と戦う。


 同日5試合目のニューオーリンズボウルは東部時間午後9時、あのスーパーボウルに3万2847人を集めて行われた。
 USA連盟西地区2位のルイジアナ工科大が、QBケネス・ディクソンの215ヤード4TDを挙げる活躍で、SBC2位のアーカンソー州立大を47―28で退けた。ディクソンは4年間の通算TDを87と伸ばし、トータルでも522点をマークして、前回お知らせした海軍士官学校のQBキーナン・レイノルズの85TD、512点のNCAA記録を抜き返した。


 なお前回、レイノルズがNCAAの古い記録を更新したように書いたのは私の不勉強で、得点数の争いは、この二人の競り合いだったことを申し上げて訂正とする。海軍士官学校があと1試合残しているため、レイノルズ優位との声も出ている。


 21日のマイアミ・マリンパークに2万1712人を集めたマイアミビーチボウルは、ランク25位でUSA連盟の東の1位を占めた西ケンタッキー大がアメリカン体育連盟(AAC)東2位の南フロリダ大を競り合いの末、45―35で下した。西ケンタッキー大は12勝2敗、南フロリダ大は8勝5敗。

【写真】ラスベガスボウルでBYUを破りトロフィーを掲げるユタ大の選手たち(AP=共同)