米大学フットボールの王者を決める選手権大会の出場校と、その組み合わせが決まり、選考委員会から6日発表された。
 選出されたのはクレムソン大、アラバマ大、ミシガン州立大、オクラホマ大の4校。長い間続いてきたボウルゲームでの王者認定に代わって、勝ち抜き戦によるチャンピオン決定の仕組みが誕生して今年は2年目、連続出場のアラバマ大以外は初出場である。


 大会は12月31日にクレムソン大とオクラホマ大、アラバマ大とミシガン州立大の準決勝が行われ、2016年1月11日に決勝の運びとなる。
 準決勝は大晦日の午後4時(東部標準時)から、フロリダ州のオレンジボウルで開かれる。大西洋岸リーグ(ACC)を制し、ランキング1位に挙げられたクレムソン大は、リーグ戦8戦全勝、シーズン総合で13戦全勝と、全米で唯一の全勝校として登場する。


 相手はビッグ12のチャンピオンでランキングは4位のオクラホマ大。シーズン半ばテキサス大に不覚を取りながら盛り返し、リーグ戦は8勝1敗、通算で11勝1敗の好成績を収めて、前週一足早く選手権出場を確実にした。
 このときランキングは3位だったが、4位のアイオワ大と5位のミシガン州立大のビッグ10の優勝決定戦が組まれており、このうちの1校に抜かれることがあっても、4位以下に後退しないので、出場が確実となっていた。


 もう一つの準決勝は第1戦の4時間後、東部時間の午後8時からテキサス州ダラスのコットンボウルで行われる。アラバマ大はシーズン当初のミシシッピ大から受けた敗戦をばねに、高水準の南東リーグ(SEC)を堂々と勝ち進み、リーグ戦7勝1敗、総合で12勝1敗の数字を残してランキング2位に付け、昨年の準決勝敗退の雪辱を遂げようと意気込む。


 対するミシガン州立大はネブラスカ大に敗れただけで、強豪ぞろいのビッグ10東地区を勝ち上がり、リーグ戦7勝1敗、トータルで12勝1敗。ランキングは3位に付けた。昨年のオハイオ州立大に続いて、ビッグ10へ栄冠を持ち帰れるかどうか。
 決勝は年明けの1月11日、月曜日の午後8時半、アリゾナ州グレンデールのフェニックス大スタジアムを舞台に王座をかけた熱戦が展開されよう。


 さて全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)の第14週は、12月4、5の両日、各リーグの王者を決める優勝決定戦を中心に各地で行われた。
 まず4日には中部アメリカン連盟の優勝決定戦があり、豊かな攻撃力を誇るボウリンググリーン大が北イリノイ大を34―14で下した。翌5日はビッグ12のレギュラーシーズン最後の試合で、古豪テキサス大がランク12位のベイラー大を23―17で破る番狂わせを演じた。


 地区制を採用するカンファレンスはそれぞれに優勝決定戦を開く。それが集中した5日はFBSの7リーグの優勝決定戦が次々に開かれた。
 その中で最も注目されたのが、ビッグ10の決戦だろう。ランキングから見ても西地区のアイオワ大は4位だし、東地区のミシガン州立大は5位と、まるで申し合わせたかのように接近したランクで並んでいる。


 アイオワ大はこの日まで12戦全勝。ランキングに顔を出していたウィスコンシン大とノースウエスタン大を破った時点で、次の目標は全勝で選手権大会進出だったことは間違いない。
 一方のミシガン州立大は強豪ぞろいの東地区を勝ち抜いてきた自負があっただろう。ネブラスカ大で星は落としたものの、州のライバル、ミシガン大を破り、地区の強敵オハイオ州立大を下した実績は高く買われていた。


 試合は両校にとっての「中立地帯」で開かれるのが原則で、舞台となったのは、インディアナ州インディアナポリスのルーカス・オイル・スタジアムに6万6985人を集めて行われた。
 両チームの戦いは、互いに慎重な試合運びで、守りに傾いた展開となった。TDの気配はなく、第1QからFGの応酬に終始した。


 ミシガン州立大が先行し、アイオワ大が2FGを返して前半を6―3で折り返した。第3Qは逆にミシガン州立大が4分23秒と57秒に2FGを奪って9―6と逆転した。
 ここでアイオワ大にビッグプレーが出た。第4Qに入って最初のプレー、第1ダウンのパス失敗に続く第2ダウン、QBのCJビーザードがWRテボーン・スミスとの間で85ヤードのパスプレーに成功、この試合初のTDを記録。13―9とリードを奪った。


 パントを交換して迎えた9分31秒、ミシガン州立大は先ほどのアイオワ大の速攻とは対照的な攻撃を展開した。
 出発点は自陣18ヤード。9分4秒の時間と22プレーを費やした、まれに見る息の長い82ヤードの逆転決勝のロングドライブは後々までの語り草となろう。


 RBのLJスコットとQBのコナー・クックがひたすら走るTDマーチだが、それなりに凄みがあったことだろう。
 とりわけ自陣37ヤードでダウンを更新しての第2ダウンに、10ヤードの罰退を取られたピンチをあっさり乗り切ったのは大きかった。22プレー目はゴール前1ヤード。スコットが突進して貴重なTDを挙げた。
 アイオワ大に残された時間は27秒。2プレーほどあがいてみたが、どうにもならなかった。目の前の全勝と、選手権出場の望みは、夢と消えた。


 ACCでは、ランク10位のコースタル地区の北カロライナ大が、ランク1位のアトランチック地区のクレムソン大に挑んだ。だが、北カロライナ大が善戦したものの、クレムソン大には歯が立たなかった。
 北カロライナ州シャーロットのバンクオブアメリカ・スタジアムに7万4514人を集めた優勝決定戦は、北カロライナ大がFGを先取した後、互いに点を取り合う目まぐるしい展開となった。
 しかしクレムソン大は前半終了2秒前にパスを決めて勝ち越し、第3Qにもランとパスとの2TDを加え、35―16と突き放した。
 ヒーローはQBのデショーン・ワトソン。投げては289ヤード、走っては131ヤード、トータルオフェンス420ヤード、5TDを挙げる記録的な大活躍は、多彩なタレント陣の中でも群を抜いていた。


 カリフォルニア州サンタクララのリーバイス・スタジアムには、5万8476人が詰めかけた。太平洋12大学(Pac12)の優勝決定戦には波乱の予感もあったが、あっさりと裏切られた。
 昔人間はつい、米国のカレッジフットボールに親しみ始めたころの強豪に目を向けてしまうが、南加大とてそう毎年トップの座に君臨するわけではない。対戦はランキング通りの結末に終わった。


 前半残り10秒のFGまで、北地区スタンフォード大の堅守に得点を封じられていた南地区の南加大は第3Q、QBコディ・ケスラーのパス、TBロナルド・ジョーンズの27ヤードの快走などで16―13とリードを奪った。
 ところがこのビハインドをこの第3Qであっさり跳ね返してしまうあたりが、ランク7位と20位の違いかもしれない。スタンフォード大は3分11秒QBケビン・トーマスが自らの7ヤードのランでリードを奪い返し、さらにレッドシャツの1年生DEソロモン・トーマスのファンブルリターンで27―16。スタンフォード大は第4Qには万能RBのクリスチャン・マカフリーのパスとランとで2TDを加えて41―22と突き放した。


 アトランタのジョージアドームには7万5320人の大観衆。南東リーグ(SEC)西地区のアラバマ大が第2Q半ばから第4Q半ばにかけての2FG,3TDの攻撃と、この間無失点の堅守を見せて、東地区トップのフロリダ大を寄せ付けず、29―15でこれまたランク2位と18位の差を見せつけた。
 チームの記録統計を見ると違いは歴然。アラバマ大のラン232ヤードに対して、フロリダ大は21プレーで15ヤード。ダウン更新は25回と7回。攻撃時間は43分29秒と16分31秒といったように、極端な数字がズラズラ並んでいる。


 なお7日には、恒例の全米最優秀選手賞の「ハイズマン・トロフィー」の候補者3人が、ニューヨークのダウンタウンクラブから発表された。
 この日、アラバマ大で大活躍した3年生のRBデリク・ヘンリーをはじめ、スタンフォード大の2年生RBクリスチャン・マカフリー、それにクレムソン大の2年生QBデショーン・ワトソンと、各優勝決定戦の花形選手の名が、そのまま挙がっているのはさすがである。


 同トロフィーの授賞式は12日に行われるが、昨年まで5年間続いたQBの受賞はそろそろ途切れるのではないか、との噂が出ている。


 このほかのリーグ優勝決定戦を並べておく。まずUSA連盟(CUSA)は西ケンタッキー大が45―28で南ミシシッピ大を下して優勝。アメリカン体育連盟(AAC)はランク19位のヒューストン大が24―13でランク22位のテンプル大をかわした。
 山岳西部連盟(MWC)は西部地区のサンディエゴ州立大が27―24で、山岳地区の空軍士官学校に競り勝った。
 FBSのレギュラーシーズンの最終週は12日、フィラデルフィアでの陸海両士官学校の対校戦で幕を下ろす。

【写真】今シーズンの「ハイズマン・トロフィー」候補、スタンフォード大RBクリスチャン・マカフリー(AP=共同)