全米大学体育協会(NCAA)のフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)は11月27、28日に米国各地で行われた。レギュラーシーズンももう大詰め。それぞれのチームにとって重要な試合が相次いだ。


 重要な試合、とした。タイトル獲得や、順位争いを左右する試合だけではない。豊かな伝統や長い歴史に彩られた、そのチームにとってかけがえのない試合のことである。
 多くは隣り合った州の代表的な強豪が、其の州の名誉を背負って相まみえる試合があれば、其の州のチャンピオンを決するカードもある。


 市内の王者決定戦だって、そのチームの関係者にしてみればとても粗略には扱えない。先だって、ランク外のテキサス大が上位のオクラホマ大を倒す「大番狂わせ」を演じたように、波乱が発生する可能性は高いのである。


 選手権試合選考委員会選定のランキングに基づく1位から5位までのチームは、内容はさまざまだが、とりあえず白星をキープした。
 1位の大西洋岸リーグ(ACC)アトランティック地区のクレムソン大は、ランク外で南東リーグ(SEC)東地区の南カロライナ大と対戦した。南カロライナ州のいわば王者決定戦でもあるだけに、37―32で勝ったものの、クレムソン大にとっては緊張を強いられる試合であることに変わりはなかった。


 ランキング2位の南東リーグ(SEC)西地区のアラバマ大は、ランク外のオーバーン大との「伝統の一戦」に臨んだ。うかうかすると手痛い目に遭う相手だが、この日はRBデリク・ヘンリーが271ヤードを稼ぎ出す働きで29―13と快勝した。
 3位のビッグ12のオクラホマ大は、同州のライバルオクラホマ州立大と対戦し、58―23と予想外の差をつけて勝った。


 4位のビッグ10西地区のアイオワ大は、全勝でレギュラーシーズンを終えたいところだった。相手のネブラスカ大はその意味では手ごわい相手だったが、アイオワ大は28―20でこれを乗り切った。 5位のビッグ10東のミシガン州立大は、今期の好調さを維持し、難敵ペンシルベニア州立大を55―16と寄せ付けなかった。


 本来ならばリーグ全体から、いや全米から注目されるビッグ10の看板カード、オハイオ州立大とミシガン大は、今年はやや色あせた感じ。しかし、ランク8位のオハイオ州立大はTBエゼキエル・エリオットが214ヤードを走って、同10位のミシガン大に42―13と快勝した。


 乱戦続きの太平洋12大学(Pac12)は、前週までで北地区のスタンフォード大が体一つ抜け出し、ランクは辛うじて一桁の9位につけていた。
 他は北でオレゴン大、ワシントン州立大。南がカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)とユタ大あたりが20位を挟んでひしめいていた。選手権戦は難しくともこれ以上ランクを落とすと鼎の軽重を問われかねない。


 この日のスタンフォード大としては、かなり追い詰められた心境だっただろう。しかし迎える相手は名門ノートルダム大。ランクはこの時点で6位だった。
 定員5万人のスタンフォード・スタジアムは5万1424人の満員の観衆で埋まった。取ったら取り返すといった1TD差以上は開かない緊迫した流れが続いていた。スタンフォード大は第1Qを14―7とリードしたが、第2Qにはノートルダム大が反撃して20―21とその差1点。第3QにはRBジョシュ・アダムズの62ヤードの独走でついに29―28と逆転に成功した。


 しかし、スタンフォード大は第4Q最初のプレーでQBケビン・ホーガンがTEのオースティン・フーパーへ10ヤードのTDパスを決めて35―9と再度逆転した。
 第4Q半ば過ぎ、ノートルダム大は粘り強いドライブを開始した。6分18秒を費やした末、その15プレー目にQBデショーン・キーザーが2ヤードを突進して36―35と逆転した。
 残り時間は30秒。スタンフォード大の最後の反撃は自陣27ヤード地点からだった。ランがコールされ1ヤードの前進。だがここでスタンフォード大は思いもかけぬ判定に「恵まれ」た。ノートルダム大にフェースマスクの反則がコールされた。ボールは43ヤード線へ進んだ。


 スタンフォード大にとってこの反則は単なる「前進」ではなかった。これならFGを狙える位置まで十分近づけるのではあるまいか。そんな希望が生まれた反則だったとみていいだろう。
 パス不成功後の第2ダウン、ホーガンは中へ走らせたWRデボン・カジャストへパスを決め27ヤードを稼ぎ出した。ボールはノートルダム大陣の30ヤードへ置かれた。15秒が残っていた。パスが1本不成功となり、10秒残り。RBのクリスチャン・マカフリーがが中央をついて2ヤード前進。コンラッド・ウクロピナが45ヤードのFGに挑み、38―36と逆転勝ちを収めた。


 リーグ戦8勝1敗、総合で10勝2敗と面目を保ったスタンフォード大だが、そのリーグの優勝決定戦の相手は、この日22位のUCLAを40―21で倒したランク外の南加大となった。
 日取りは12月5日である。こうして勝ち星が多くに散らばったPac12は7校が勝ち越し、3校が勝率5割、負け越しは2校だけという数字が残った。


 各リーグの優勝決定戦をご紹介する。ここからは12月1日に発表された選考委のランキングに基づいた数字になる。
 上位5校は前週と変わらず同じ顔触れが並んだ。各リーグの優勝決定戦の結果待ちのようだ。6位以下はここまでのランキングとはかなり異なるのでそのあたりをご承知いただきたい。日付けは中部アメリカン連盟(MAC)の4日(金)以外はすべて5日(土)である。


 まずACCは、1位クレムソン大が10位の北カロライナ大と対戦する。ビッグ10は4位アイオワ大と5位ミシガン州立大の対決。SECは地区に格差ができたため、2位アラバマ大と18位のフロリダ大の顔合わせとなった。このリーグはPac12位以上に「勝ち越し校」が多く、東地区3校、西地区では6校、合計9校が勝ち越した。
 西の7校目がオーバーン大で、これが6勝6敗だから、この地区の負け越しは「0」だった。なおPac12は先ほど述べた通り。新しいランクではスタンフォード大が7位、南加大が20位である。


 有力リーグでもビッグ12は地区制ではないので、優勝決定戦は行われない。レギュラーシーズンが終わるとそのままシーズン終了。選考委ランキングで3位に挙げられたオクラホマ大は、このまま選手権大会出場となる。


 このほかの優勝決定戦はMACがボウリンググリーン大と北イリノイ大。5日に入ってアメリカン体育連盟(AAC)は22位テンプル大と19位ヒューストン大。山岳西部連盟(MWC)はサンディエゴ州立大と空軍士官学校。USA連盟(CUSA)は西ケンタッキー大と南ミシシッピ大といったペアリングである。サンベルト連盟(SBC)も地区制ではないので優勝決定戦はない。

【写真】ノートルダム大戦で、決勝の45ヤードFGを決めたスタンフォード大のキッカー、ウクロピナ(AP=共同)