これまで、幾度となく全勝について述べてきた。カレッジフットボールは12試合前後のレギュラーシーズンと、それに続くリーグの優勝決定戦や、ボウルゲームを合わせるとほぼ14試合、これに昨シーズンから選手権大会が組み込まれた。これを全勝で乗り切るのは、この時期になるとやはり難しいことだと思えてくる。


 全米大学体育協会(NCAA)フットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)は、11月12日から14日にかけて、全米各地で第11週を行った。さてその全勝校だが、第10週の時点で128校中6校を数えた。
 「6校しか」か「6校も」なのか。多い、少ない、の議論はさて置き、今週はどうなったか。


 全勝6校はいずれもランキング校である。うち5校が白星を挙げた。敗れたのは「ビッグ12」所属で、選手権大会選考委員会ランキングの6位に挙げられていたベイラー大だった。
 相手はオクラホマ大。ランクは12位だから、ビッグ12のタイトルの行方を左右するカードの一つであることは間違いない。ベイラー大はその「決戦」で敗れた。


 場所はテキサス州ウェイコーのマクレーン・スタジアム。定員オーバーなど少しも珍しくないスタジアムで、この日も5000人近く定員を超す4万9875人がスタンドを埋めた。
 しかし試合はオクラホマ大のペース。ベイラー大は34―44でオクラホマ大に屈して、2012年10月12日、テキサスクリスチャン大(TCU)に21―49と敗れて以来の、地元での負け戦となった。地元での連勝記録は20でストップした。


 オクラホマ大は先月、テキサス大に苦杯を喫した後、気分を一新。4試合続けて50点超えで勝ち星を伸ばしてきた。この試合もQBベーカー・メイフィールドとインサイドのWRスターリング・シェパードのコンビが冴え渡り、シェパードは自己最多の14本を受け、177ヤード、2TDを記録した。
 前半はほぼ互角の展開で、ベイラー大がTDを先行、オクラホマ大が反撃して一進一退。前半終了間際にQBメイフィールドの2ヤードの突進で20―13とオクラホマ大がリードした。


 後半、ベイラー大に追いつかれたオクラホマ大はまずメイフィールドがシェパードへ5ヤードのTDパスを決めた。そしてベイラー大の攻撃を4プレーで断ち切った直後、RBサマジ・ペリンがいきなり55ヤードを駆け抜けた。1分そこそこの間に2TD。これが大きかった。


 ベイラー大はこの後、パスでTDを返し、第4QもFGを許した後、QBジャレット・ステッドハムがWRジェイ・リーへTDパスを決めて3点差に迫るなど、豊かな攻撃力を使って最大限の抵抗を試みた。
 しかしオクラホマ大は残り4分47秒、WRディミトリ・フラワーズがメイフィールドから7ヤードのパスを受けて再び10点差。古豪の貫禄を見せて貴重な勝利をもぎ取った。
 つまりオクラホマ大とすれば、この後に続くTCU、オクラホマ州立大との直接対決を勝ち抜けば、選手権への道が大きく開けてくる。


 他の全勝校は勝ったものの接戦が多かった。同じビッグ12のランク8位、オクラホマ州立大がアイオワ州立大を退けたゲームも35―31と僅差の勝負だった。
 それもオクラホマ州立大は第1Qに7―17と先手を取られたまま。第4Qに入ったときは21―31と10点差をつけられていた。しかしオクラホマ州立大は1TDを返して残り3分、QBのJWウオルシュがジェフ・カーへ7ヤードのTDパスを決めて逆転勝ち。かろうじて全勝を守った。


 大西洋岸リーグ(ACC)ではランク1位のクレムソン大が、QBショーン・ワトソンの3TDパスを決める活躍で、シラキュース大を37―27と退けて10戦全勝。ビッグ10は3位のオハイオ州立大が、RBエゼキエル・エリオットの181ヤードを記録する活躍でイリノイ大に28―3で完勝した。
 苦戦ではなかった全勝校はこれぐらいで、5位のアイオワ大はミネソタ大に猛追を受けながら40―35で辛勝。土つかずの10勝目をマークした。


 全勝チームの最後に取り上げるのはアメリカン体育連盟(AAC)のヒューストン大。ここは最近までテンプル大、メンフィス大などが奮戦していたが、ここへきて負けが込み始めた。
 一方、1敗でなんと海軍士官学校が頑張っており、ヒューストン大との11月27日の決戦がにわかに盛り上がってきた。


 そのヒューストン大はこの日、メンフィス大と1点差の死闘を演じた。立ち上がりからメンフィス大に2TD、2FGを奪われ、前半終了まで37秒の時点で初めてTDを返す始末。後半もTDの後、第4Q初めにかけて逆に連続TDを許し、14―34と敗色濃厚だった。ところがここから21点、つまり3TDを挙げて逆転したのだから大したものである。


 まず残り12分56秒、大黒柱のTBケネス・ファローが10ヤードのTDラン。5分49秒にはRBジャビン・ウェッブが1ヤードを突進して加点。最後にはQBカイル・ポスティマが7ヤードを駆け抜けた。残り時間は1分27秒だった。決勝点はTFPで、タイ・カミングズがキックを決め、35―34と勝利をつかんだ。


 全勝チームがいない南東リーグ(SEC)は1敗ながら2位に上げられているアラバマ大が、ミシシッピ州立大相手に9サックの「猛守」を見せて31―6と快勝。前週アラバマ大に敗れ、ランク9位に退いたルイジアナ州立大(LSU)は気落ちしたのか、アーカンソー大にも14―31で負ける番狂わせも起きた。


 これまで、パッとしなかったので、取り上げにくかったのが太平洋12大学(Pac12)。上位に上がってきたチームが、その都度足をすくわれて後退するケースが毎週のように続いていた。
 リーグの展開としては面白いと思うが、本稿のようにランキングを基準にアプローチしている者にとっては、どうしてもカットとなる。今週はそのランク校がまとめて敗れた。今季のPac12そのものを象徴する週だった。


 選考委員会ランキングには3校がいた。一番上が7位スタンフォード大。オレゴン大と息詰まる接戦を展開した。
 しかしオレゴン大はQBバーノン・アダムズが好リード。38点を記録して終盤を迎えた。10点差をつけられていたスタンフォード大は残り10秒でTDを挙げたが、2点のTFPに失敗し、36―38で敗れた。


 10位ユタ大はアリゾナ大と延長戦にもつれ込んだ。だが、その第2延長、先攻のアリゾナ大に奪われたTDに追いつけず、30―37で涙をのんだ。
 19位のカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)は、相性の良いワシントン州立大が相手だったにもかかわらず27―31とよもやの黒星を喫した。


 成績はスタンフォード大とユタ大が8勝2敗。UCLA、ワシントン州立大、オレゴン大、南加大が7勝3敗で続き、Pac12の順位争いは混とんとしている。今季の選手権はよほどの幸運でもない限り見送りだろう。


 最後になったが、4位ノートルダム大はウェークフォレスト大を28―7で下し、1敗をキープしている。ランクは上がったわけではないが、レギュラーシーズン最後のスタンフォード大との試合を落とさない限り、選手権出場が望めそうだ。

【写真】ミシシッピ州立大との第2Q、74ヤードの独走TDランを記録したアラバマ大RBヘンリー(AP=共同)