日曜日の午後、所用で外出した。ベスト25の試合のうち東部標準時で午後7時開始の試合が続々と終わりかけていた。波乱の少ない週だった。
 その中でもたつき気味の試合が一つあった。APのランキングでは22位、ESPNのでは18位のデューク大が、フロリダ州のマイアミ大を地元ウォーレス・ウェード・スタジアムへ迎えた、大西洋岸リーグ(ACC)の沿岸地区の試合だった。


 開幕前の評価はもちろんマイアミ大の方が上だった。しかしその後の成績から、デューク大はランキングに顔を出し、マイアミ大はランク外へ落ちた。だが、いつも言っている通り、こういう試合こそランキングとは逆の結果が出ることが多い。


 AP通信のスコアボードを見ていると、先行したのはマイアミ大で、これをデューク大が追う展開だった。しかし第4Qの終盤、デューク大が一気にTDを重ねてついに27―24と試合をひっくり返した。残りはわずか6秒だった。私は「あ、やっと済んだな」と、何のためらいもなくパソコンを閉じた。
 外出から戻ってからは、雑用に追われ、パソコンを開いたのは夜も更けてからだった。2試合ほど点検すればこの日の作業はおしまいだった。
 唯一のランキング校対決は、両ランク9位の独立校ノートルダム大が、アメリカン体育連盟(AAC)東地区の21位22位のテンプル大を24―21と辛くも退けていた。


 太平洋12大学北地区同士の対戦は、両ランク8位のスタンフォード大がランク外のワシントン州立大に30―28とこれまた辛勝だった。そういえば出かける前に決着がついた試合も接戦だったな、と勝敗の一覧表に目をやった。
 違和感があった。再度注視した。なぜかマイアミ大が勝っている。ランキングからいうと番狂わせである。「そんなはずはなかろ」と読み返す。マイアミ大30―27デューク大「え、マイアミ大?」―。


 あわてて見出しのページを開く。「ワイルド ウイン」とある。「マイアミ大、8ラトラルで30―27とデューク大を破る」。このわずか6秒の間に何が起きたのか。知りたいでしょう? 私だって知りたい。
 6秒だろうが、60秒だろうが、時間が残っている限り、試合はキックオフで再開される。デューク大ロス・マーチンのキックはマイアミ大25ヤード地点でマイアミ大のダラス・クロフォードがつかんだ。リターンはできなかった。5ヤード下がったクロフォードはコーン・エルダーへ最初のラトラルをした。3ヤードほど進んだエルダーはジェイカーン・ジョンソンへ球を回した。二つ目のラトラルだった。


 ジョンソンも進めず23ヤード地点で受け取ったボールは、8ヤード後退して15ヤード線のマーク・ウォルトンへ三つ目のラトラルパス。ウォルトンは6ヤード挽回して21ヤード地点からジョンソンへ四つ目のラトラルをした。3ヤード下がり、ジョンソンはタイアー・ブラディーへ五つ目のラトラルが回る。18ヤード地点にあった球はしかし一気に8ヤード後退。ブラディーはエルダーに球をつないだ。六つ目のラトラルだった。


 自陣10ヤード地点で球を受けたエルダーはさらに7ヤードをロスした。エルダーはクロフォードへ七つ目のラトラル。クロフォードは6ヤードを挽回しエルダーへ八つ目のラトラルパス。自陣9ヤード地点からするすると抜け出したエルダーはそのまま91ヤードを走り抜けて、逆転決勝のTDをものにしたのである。


 こうした細かい話は、得点経過やら個人成績やらチーム記録やらが山ほど詰まっているAP通信の試合記録の中に、全プレーを記録した「プレー・バイ・プレー」という項目があって、その最後の部分をいただいたわけなのだ。
 余談だが、プレー・バイ・プレーの最後は大体短い言葉で締められている。最近よくある「サヨナラ勝ち」で2行ほどだ。
 しかし今回の最後のプレーを記した箇所は一体何行あっただろうか。それにしても、前週クレムソン大に0―58と大敗し、解任されたアル・ゴールデンの後任ラリー・スコット監督にとっては忘れられない試合となったことだろう。


 太平洋岸でも番狂わせが起きかけた。両ランク8位のスタンフォード大が、ワシントン州立大のペースに巻き込まれて大苦戦。FGを先取したものの、第3Q初めまでエリック・パウエルの連続5本のFGを許して3―15と後手に回った。


 今月から大学選手権の出場校を決める選考委員会のランキングが発表されるが、太平洋12大学(Pac12)の代表として、現時点では最有力のスタンフォード大としてはここで星を落とすわけにはいかない。
 後半必死の反撃で第4Q初めには27―22とリードした。ワシントン州立大はTDパスを決めて再びリード。しかし2点のTFPを落として優位は1点。スタンフォード大は残り1分54秒でコンラッド・ウクロピアが19ヤードのFGで30―28と逆転した。


 ところが、ワシントン州立大は最後の力を振り絞ってスタンフォード大陣内へ攻め込んだ。地点は27、8ヤード。キッカーはもちろんパウエル。立ち上がりの連続5FGのうち1本は46ヤード、もう1本は47ヤードだった。それから見ると、この43、4ヤードのFGは難しい距離ではなかった。
 気になったのは雨と風の悪コンディションぐらいだった。しかし結果はスタンフォード大に吉と出た。パウエルのキックは右へそれた。悲喜こもごもの最後のプレーである。


 先ほど少し述べた第2回の全米大学選手権大会への出場校は、有識者による選考委員会が策定するランキングで4校が選び出される。最終決定は12月6日ということになっており、有力校にとっては、いよいよこの1カ月が正念場である。


 11月3日に発表された選考委員会のランキングは、しかし、私の予想をはるかに超えていた。ということは、私が頼りにしてきた二つのランキング、つまり向こうの記者、監督の平均的な予想をも、超えたものだったということになる。


 トップはACCのクレムソン大。南東リーグ(SEC)のルイジアナ州立大(LSU)が続き、ビッグ10のオハイオ州立大は3位だった。いずれも全勝校だが、4、5位に1敗のチームが並ぶとは思っていなかった。4位SECのアラバマ大(7勝1敗)、5位独立校のノートルダム大(7勝1敗)である。
 6位からは全勝チームが並んだ。7戦全勝のベイラー大、8戦全勝のミシガン州立大、テキサスクリスチャン大(TCU)、アイオワ大とビッグ12、ビッグ10のチームが交互に顔をそろえた。


 10位にSECのフロリダ大が入って、11位以下に7勝1敗のPac12勢が初めて登場する。先ほど述べたスタンフォード大、次いでユタ大である。
 ランクは低いがこうしたPac12のような有力リーグの優勝校は、最後まで選考の対象なので、目を離せない。11月戦線は選手権への出場権、あるいは全勝対決といった重要カードが私たちをときめかせる。


 ビッグ10では11月21日のオハイオ州立大―ミシガン州立大の決戦や、リーグ優勝決定戦が続く。注目のアイオワ大はこの週、メリーランド大を31―15で退けている。
 ビッグ12は10月29日、西バージニア大に40―10と快勝したTCU、31日に76―53という驚異的な大量点をやり取りした末にテキサス工科大を下したオクラホマ州立大も土つかず。
 ベイラー大と合わせたこの3校は、まず7日にオクラホマ州立大―TCU、21日にオクラホマ州立大―ベイラー大、27日にTCU―ベイラー大と目の離せぬカードが続く。


 全勝対決ではないが、7日のSECのアラバマ大―LSU、ACCのクレムソン大―フロリダ州立大の試合も注目したい。

【写真】全米大学選手権選考委員会のランキングトップはクレムソン大(AP=共同)