前週は南東リーグ(SEC)だった。今週は太平洋12大学(Pac12)でユタ大がオレゴン大を、それも大量点で倒す波乱が起きた。
 全米大学体育協会(NCAA)フットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)は9月25、26日、米国各地で第4週の熱戦を繰り広げた。


 ランク校同士の対戦は、今週はPac12で2試合が行われた。時間の経過(東部標準時)を追うと、まず午後8時、アリゾナ州ツーソンでAP、ESPN両ランク16位のアリゾナ大と9位11位のカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)の南地区決戦が行われ、豊かな攻撃力を誇るUCLAが56―30で地元アリゾナ大を退けた。


 これと並行して、オレゴン州ユージーンのオーツェン・スタジアムで、両ランク13位のオレゴン大が18位17位のユタ大を迎えていた。第2週でミシガン州立大に競り負けたオレゴン大としてはこの星を、しかも地元で落とすわけにはいかなかった。ところがユタ大が攻守にオレゴン大を上回った。62―20の快勝だった。


 同じようなランキング校が顔を合わせて、その結果が出る。一方が勝ち、片方が負ける。当然ではないか。ランク外のチームが勝ったのならまだしも、ユタ大だってベスト25の一員だ。何が波乱なのか。こうした疑問が出てきそうである。
 外電が打ってきた記事にはその背景がいくつか述べられているが、それはのちに紹介するとして、試合経過をざっとおさらいしよう。


 観衆は5万7146人。ここの定員からいえば超満員。さらに3000人ほどがあふれている、という状態であった。無論、その多くはオレゴン大のファンであろう。
 試合開始から10分近く経ったころ、自陣39ヤード地点から、ランプレーを積み重ねてオレゴン陣へ攻め込んでいたユタ大は、その7プレー目にアンディ・フィリップスが28ヤードの先制FGを決めた。ユタ大はその3分25秒後に、今度は44ヤードのFGを加えた。無理のない運びだった。


 これに対しオレゴン大は見事な速攻を展開。46秒後にQBバーノン・アダムズがRBロイス・フリーマンへ13ヤードのTDパスを決めた。逆転かと思わせたが、あえて狙った2点のTFPのパスは不成功に終わった。
 どうしても勝ち越しておかねばならない場面とは思えなかったが、ぶつかり合う選手、それを間近で見て、その空気を肌で感じるコーチ陣ら「現場関係者」にとっては、何か理由はあるのだろう。ただ一気に逆転して突き放してしまおうということだったら、いくらなんでも気が早すぎよう。


 反面、このTD直後のユタ大は、ドライブを念入りに仕上げた。第2Q4分、QBトラビス・ウィルソンがWRブリティン・コーベイへ26ヤードのTDパスを決めて、再び勝ち越した。
 これ以後、ユタ大は二度とリードを奪われなかった。そればかりか、試合の経過とともに差は開く一方となった。
 8分45秒にはウィルソンがWRケネス・スコットへ7ヤードのパスを投げて20―6。オレゴン大は10分52秒にパスでTDを返したもののこれが精いっぱい。ユタ大はウィルソンがまたも前半終了1分前にTDパスを放って27―13とオレゴン大を突き放したのである。


 この前半終了間際のTDから第4Q序盤にかけて、ユタ大のTDラッシュはとどまるところを知らなかった。
 この間、続けざまに6本のTDがオレゴン大に浴びせられた。ウィルソンのパスのほか、RBのデボンティ・ブッカーからコーベイへのパスプレーや、ボビー・ホブズの68ヤードのパンとリターンなど、何でもありの多彩さだった。


 Pac12に加盟してまだ日も浅いユタ大としては、点を取っても取っても取り返されるのではないか、という危惧があったのではと思いたくなるようながむしゃらさだった。
 この日のウィルソンは30本のパスを投げて、18本成功。227ヤードを稼ぎ出し、4TDを記録した。また走っても、6回でチーム最多の100ヤードをマーク。TD1本を挙げた。
 ちょうど1年前、相手のオレゴン大にマーカス・マリオタという、同じようなQBがいて、ハイズマン賞をかっさらっていったのを思い出させる活躍だった。反面、オレゴン大にとってこの失点は、オーツェン・スタジアムでは初めての大量失点でもあった。


 惨敗を喫したオレゴン大はこの週、APの13位からランク外へ一気に転げ落ちた。2009年から切れることなく続いていた快挙は、つまりランキング保持の全米第2位の長命記録は、とうとう98で途切れたということになる。
 また9月に2敗を記録したのは、2004年以来の出来事でもあった。ESPNのランキング表では辛うじて25位にとどまっているが、オレゴン大にとっては屈辱の黒星ということになる。
 この結果、ベスト25確保の連続記録上位3校は、アラバマ大の120回をトップに、2位フロリダ州立大の58回、オハイオ州立大の55回となった。


 第3週までのランキングでは13位とユタ大の18位とはわずか「5」しか違わないのに、なぜオレゴン大が強いだろうと世間が見ていたのかは、こうした過去のいきさつがあったからにほかならない。
 一方のユタ大はこの週、APでは一気に「8」ランクはね上がり、ESPNでも「5」段階上昇した。何よりも目立つのは、APの投票で1位票が1票投じられたことで、これはランキング史上初めてだった。


 もう一つのランク校対決はUCLAの順当勝ちだった。アリゾナ大は第1Q2分40秒、QBアヌ・ソロモンンがWRネート・フィリップスへ36ヤードのパスを決めて先行したものの、UCLAは即座に反撃。その2分過ぎ、QBジョシュ・ローゼンが35ヤードのTDパスを通した後、さらにRBポール・パーキンスの16ヤードの突進で勝ち越した。


 第2QではパーキンスのTDラン、ローゼンからWRジョーダン・ペイトンへのTDパスと畳みかけた。前半で6TDの42点。アリゾナ大が一つ返すと、二つやり返されるといった有様で、ランク校同士とはとても見えぬゲームだった。新人のローゼンは28本で19本成功。284ヤードを獲得し、2TDを記録した。
 大西洋岸リーグ(ACC)では両ランク20位のジョージア工科大がランク外のデューク大に29―34で競り負けた。第1Qの大量19失点が最後まで取り返せなかった。


 これを番狂わせと言っていいのかどうか。APランク22位で独立校のブリガムヤング大(BYU)がランク外のミシガン大に0―31と完敗を喫した。
 オハイオ州立大とレギュラーシーズン最終戦で戦うビッグ10の名門校が、ランク外というのがおかしいのだ、と言ってしまえばそれまで。初戦にユタ大に敗れたことなどを考えると、たぶん戦力的には十分ではないのかもしれない。
 でも古くからの執筆者としては、AP22位に2年ぶりに戻ってきたのをきっかけに、ランキングの常連としてがんばれ、と言いたくなる。


 そのビッグ10ではオハイオ州立大が西ミシガン大を38―12で下した。何の不思議もない。ファンが目を向けたのは「QBは誰だ」である。
 この日はカーディール・ジョーンズだった。23本投げ19本が決まり、288ヤードのゲインで2TD。しかし1本奪われた。次回は? 
 2位のミシガン州立大は中央ミシガン大を30―10で退けた。ESPNもランクを3位から2位へ一つ上げた。11月の1、2位決戦を期待したい。


 SECはアラバマ大がサンベルト連盟(SBC)のルイジアナ大モンローを34―0と完封した。格下でも完封は難しい。
 立ち直りのきっかけかどうか、である。ESPN25位のオーバーン大はミシシッピ州立大に9―17とまた黒星を付けられ、これまたランク外へ消えた。
 3位5位のミシシッピ大はバンダービルト大に食い下がられたが、27―16で白星キープ。このほか14位15位のテキサス農工大が、アーカンソー大と激戦を展開。延長の末28―21で勝った。


 25位23位のミズーリ大はケンタッキー大に13―21で敗れた。またルイジアナ州立大(LSU)は、RBレオナード・フォーネットの244ヤードを走る活躍で、34―24とACCのシラキュース大を破った。
 ビッグ12は3位2位のテキサスクリスチャン大(TCU)がテキサス工科大と死闘を演じた。55―52の3点差の勝負。TCUは残り23秒でQBトレボーン・ボイキンがアーロン・グリーンへ4ヤードの逆転決勝のTDパスを決めて、全勝を守った。
 ライバルの5位4位のベイラー大はライス大と対戦し、70―17と大量点して圧勝した。トータル793ヤードはすごい。ノートルダム大は前半こそマサチューセッツ大に粘られたが、次第に地力の差が出て62―27と大勝した。


 ランキングからはAPではオレゴン大、アリゾナ大、ジョージア工科大、ミズーリ大、BYUが落ち、代わって2013年以来のミシガン大、フロリダ大。今季初の西バージニア大、2009年以来のカリフォルニア大が登場した。ほかにミシシッピ州立大。これは今季再登場である。

【写真】オレゴン大WRネルソンに激しいタックルを浴びせる白いジャージーのユタ大守備陣(AP=共同)