全米大学体育協会(NCAA)フットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)は第3週に入り、9月17、18、19日に米国各地で激戦を展開した。
 ランキングに登場する有力校は今週、AP通信のと、ESPNのが同じ顔ぶれで、試合がなかった両ランク5位のベイラー大を除く24校が舞台に上がった。


 注目のランキング校同士の対決は4試合。いずれも19日に行われた。うち2試合は南東リーグ(SEC)西地区のリーグ戦で、ここで波乱が起きた。
 AP13位ESPN14位のルイジアナ州立大(LSU)が18位15位のオーバーン大をタイガースタジアムに迎えて、45―21で快勝した。一方、両ランク2位のアラバマ大は15位11位のミシシッピ大を地元のブライアント・デニー・スタジアムに招いたが、37―43で押し切られた。アラバマ州勢が枕を並べての初黒星である。


 8位10位の独立校ノートルダム大は14位16位の大西洋岸リーグ(ACC)のジョージア工科大をインディアナ州サウスベンドへ迎え入れ、30―22で快勝した。
 太平洋12大学(Pac12)南地区で10位12位のカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)は、19位22位の独立校ブリガムヤング大(BYU)とローズボウルで戦い、24―23の1点差で辛勝した。


 PAC12のリーグ戦でも波乱が起きた。6位7位の南加大が地元のロサンゼルス・スタジアムで、ランク外のスタンフォード大に31―41と手痛い敗戦を喫した。
 ランキング上位校では両ランク1位のBig10のオハイオ州立大が、中部アメリカン連盟(MAC)の北イリノイ大に食い下がられて、20―13と予想外の辛勝。
 3位のBig12のテキサスクリスチャン大(TCU)は同州の好敵手、アメリカン体育連盟(AAC)の南メソジスト大(SMU)と激しい点の取り合いを演じ、56―37で勝利を収めた。4位のBIG10のミシガン州立大は西部山岳連盟(MWC)の空軍士官学校を35―21で退けた。


 ここまでの全勝校は128校中34校。リーグ別にみると、Big12が7校で最多。SECが6校、Big10とACCがともに5校、Pac12とAACが各4校と続き、MACが2校、独立校がノートルダム大1校、となっている。
 USA連盟(CUSA)、MWC、サンベルト連盟(SBC)はゼロである。なお今年、独立校からAACの一員となった海軍士官学校は現時点で2戦2勝、34校の一角を占めている。
 一方、まだ勝ち星がないのは11校。CUSAの3校を筆頭に、MWCが2校、AAC、ACC、Big12、MAC、SBCの各リーグ1校、独立校の陸軍士官学校となっている。


 注目の試合をいくつか取り上げてみる。まずは波乱のSECから。
 ランキングから言えば2位と11位(ESPN)。下位が上位を破ることなど結構ざらにある。しかしこの試合は海の向こうでは間違いなく大波乱だった。
 私も20日、富士通スタジアムで関東学生の試合を観戦しながら、アラバマ大とミシシッピ大の成り行きを、時々友人にスマホで見ていただいた。目の前で試合をしているのに注意力散漫と叱られそうだったが、いつまでたっても追いつけないアラバマ大に、これはひょっとすると、とドキドキした。最終結果に接したときはやはりびっくりであった。


 互いにFGを交換しあった第2Q半ば、ミシシッピ大の攻撃に次第にエンジンがかかり始めた。7分30秒にゴール前1ヤードからRBジョーダン・ウィルキンズが突進してTD。その47秒後にはQBチャド・ケリーが4ヤードを走って17―3とリードした。これで流れはミシシッピ大へ移り、そのあとのアラバマ大の反撃をTDパス1本に抑えて折り返した。


 後半のケリーの活躍は目覚ましかった。第3Q2分7秒、WRクィンシー・アデボイジョへ66ヤードの一発を決めて差を開き、第4Qには3分15秒にWRコディ・コアへ73ヤードのTDパス。インターセプトでアラバマ大の反撃を切った後、4分58秒にはWRラクオン・トレッドウェルに24ヤードのパスを通した。
 前半わずかに36ヤードのゲインに終わっていたケリーだが、作戦を切り替えた後半は、実に305ヤードを稼ぎ出し、ミシシッピ大白星の原動力となった。


 実はミシシッピ大はこのアラバマ州タスカルーサの「ブライアント・デニー・スタジアム」ではこれまで勝ったことがなかった。同じSECのチームでありながら、優劣が極端に分かれ、ランキングがどうであっても常にアラバマ大優勢のカードだったのである。
 とりわけアラバマ大のホームでは25戦全敗。ミシシッピ大はこの4分の1世紀にわたる屈辱にこの日ピリオドを打ったのだった。またミシシッピ大は昨年地元オクスフォードで勝っており、アラバマ大戦2連勝は1988年以来の快挙でもあった。


 このミシシッピ大の「歴史的勝利」に比べれば、他のSECの試合は、特段のことはない。ただオーバーン大を倒したLSUが、西地区の首位争いで間違いなく優位に立ったことは確かである。
 光ったのは2年生のRBレオナード・フォーネットで、第2Qに40ヤードの快走を見せたのをはじめ、第3Qには29ヤードの快走と、1ヤードの突進を重ねて、計228ヤード、3TDを挙げる大活躍だった。同リーグ東地区でも同じ2年生RBのニック・チャブが相変わらず威力を見せる。この日のランク7位8位のジョージア大は、チャブらの奮闘で52―0と南カロライナ大に快勝した。


 南加大の敗戦も意外だった。もっともこの時点でランク外だったとはいえ、スタンフォード大は開幕時はれっきとしたベスト25の一員だった。
 初戦でBig10のノースウエスタン大に敗れて、ランクから消えたが、本来なら「激突」扱いの好カードである。それにしてもスタンフォード大が南加大から41点もの大量点を挙げるとは思いもしなかった。その立役者はQBケビン・ホーガン。4年生らしい落ち着いたコールで攻撃を指揮し、南加大のQBコディ・ケスラーに見事投げ勝った。同時にランプレーでは4年生のRBリマウンド・ライトが3TDを挙げる活躍を見せた。


 ローズボウルにBYUを迎えたUCLAは死闘を演じた。BYUは第1Q、RBアダム・ハインのTDで先行。第2Qは互いにFGを交わして後半を迎えた。
 UCLAはRBポール・パーキンズのTDランで追いついたが、ここからBYUがTDパスとFGで20―10と突き放しにかかった。UCLAは新人QBジョシュ・ローゼンが頑張り、第4Q2分44秒、WRジョーダン・ペイトンへのパスで差を詰めた。だがBYUはトレバー・サムソンの3本目のFGで23―17と差を広げた。


 UCLAは若いQBを補うかのようにRB陣が好調で、パーキンズは219ヤードをマークしてドライブを支えた。
 そして残り時間3分21秒、UCLAはネート・スタークスがゴール前3ヤードから突進して貴重なTDを挙げた。カイミ・フェアバーンのキックも決まって、この試合初めての逆転。辛くも敗戦を免れた。


 終了間際のジョージア工科大の2TDで接戦だったようなスコアが残ったが、中身はノートルダム大の快勝だった。
 ノートルダム大は第1Q、QBデショーン・キーザーがWRウィル・ファラーへ46ヤードのパスを決めて先制。第2Qにいったんは追いつかれたものの、前半終了間際にRBのC・Jプロサイスの17ヤードのランで勝ち越した。


 後半は波に乗るノートルダム大のペース。第3Qにジャスティン・ヨーンが29ヤードのFGを決め、第4Qには余裕のラン攻撃。この日198ヤードを稼いだプロサイスは、まず1ヤードの突進。8分2秒には91ヤードの独走で8万人余のスタンドを沸かせた。
 30-7と勝負は決まったが、ジョージア工科大はこのあと、約6分15プレーを費やす大ドライブを演じ、残り48秒でQBジャスティン・トーマスが、RBパトリック・スコブへ24ヤードのTDパス。2ポイントのTFPも決まって、続くオンサイドキックにも成功する。2プレー目、残り22秒で再びスコブが15ヤードのパスを受けた。


 ランキング1位、ビッグ10のオハイオ州立大はとても王者とは言えないような拙戦を演じた。あの全員ハイズマン候補とまで言われたQB陣が全く機能せず、MACの北イリノイ大に対して前半は10―10。第3QにFGの後、2年生のOLBダロン・リーがパスをインターセプト、41ヤードをリターンしてようやく20―10と差を広げた。
 守備が本来の力を出したので、大番狂わせとならずに済んだが、試合後報道陣から「次の試合の先発QBは?」と聞かれたアーバン・メイヤー監督は「いい質問だ」と受け、「まだ決めていないがね」と苦笑い。


 このほかランク3位のビッグ12のTCUはQBのトレボン・ボイキンが454ヤード、6TDの活躍を見せ、サザンメソジスト大(SMU)を56-37と退けた。
 ビッグ12で16位17位のオクラホマ大はQBのベーカー・メイフィールドがトータル攻撃572ヤードを記録してAACのタルサ大を52―38で下した。
 太平洋12大学のカリフォルニア大とビッグ12のテキサス大は、45―24とリードされたテキサス大が、第4Qに3TDを返す猛反撃。44点まで詰め寄ったものの、最後のTFPをキッカーが外し、万事休した。


 さてランキングだが、この時期は勝ち、負け一つ一つの振れ幅が比較的大きい。そして記者61人投票のAPでは、オハイオ州立大の1位票が42と大きく減少。その上2位にミシガン州立大が入るという大変動が起きた。
 ビッグ10の1、2位独占は2006年11月のオハイオ州立大、ミシガン大以来。もし、このままいけば、11月21日に両校の1、2位対決がみられる。


 監督64人投票のESPNのランキングでは、オハイオ州立大の1位は61人が支持。2位にはTCUが返り咲いた。ミシガン州立大は3位につけた。
 APではミシシッピ大が1位票11を得て急上昇。TCUと並んで3位を分け合った。大きく後退したのはアラバマ大で、両ランクとも12位。南加大も10位以上転落し、19位18位となった。新たに登場した、というよりカムバックしたのはスタンフォード大。入れ替わってAPではオーバーン大、ESPNではBYUがランク外へ落ちた。

【写真】相手のディフェンダーを飛び越えるアラバマ大WRリチャード・マラニー(AP=共同)